第四夜 事故車
事故車…もちろん事故を起こしてしまった車で修復可能な場合の車の事を言います。
私の長く付き合いのある友人のユカは大学卒業後に初めて購入した車が事故車でした。
ユカは自分の運転技術に自信が無く、何処かに当てたりするならまずは中古車で格安のモノと中古車販売店に行った所、この車を勧められたそうです。
車の車種は軽のミニバンで、事故車にしてはとても綺麗で事故車とは思えない程だったそうです。
買って間もない頃は、普通に何もなく出掛けては帰宅するという当たり前の事が出来ていたそうです。
購入から3ヶ月程経った時、この日はあいにくの雨でこの車に乗り出して初めての雨の日だったそうです。
いつもより帰りが遅くなり、家に向かって少し急ぎ目にスピードをあげていたそうです。
家まであと少しと迫った所で、ガクンッと車の前エンジンルーム辺りから地面にめり込むような感覚におそわれ、脱輪でもしてしまったのかと車から降りて前のタイヤから全体を見渡しても脱輪もしていなければ、脱輪するような穴も無い。
これは故障?とユカは思ったそうですが、エンジンもついているし運転には支障は無さそうでした。
とりあえず他の車の妨げになるので、その日は帰宅したそうです。
朝になり、車を見ても何もなっていない。
修理に持っていっても故障部分は見られないということでした。
修理業者にもそう言われた事で特に気にせず乗っていて、この件も忘れ掛かっていたある日、この日もあいにくの雨で帰宅が遅くなってしまった日でした。
いつも通り家に向かっていると、あと少しの所でガクンッとなり、「前の時と一緒だ!」とユカは思ったそうです。
この時、ユカはちらっと腕時計を見ました。
時計は21時23分を示しています。
ユカはもしかして…と思い、別の雨の日で帰りが遅くなった日に家のあと少しの所でガクンッとなるか実験してみました。
やはりなるのは、雨の日の21時23分なのです。
恐くなり、購入したお店にしつこい位に聞きに行きました。
最初は教えられないと言っていた店主も、観念したように「実はこの車はお爺さんが以前乗っていて、旅行から帰ってくるお婆さんの為に駅に車を飛ばしていたそうで、雨も強くなりつつあったこともあり、スピードはかなりオーバーしていて、目の前の塾帰りの男の子を跳ね飛ばし亡くならせてしまった。」という事でした。
そして、あの21時23分が病院で跳ねられた男の子が亡くなった時間でもあったそうです。
ユカは車を手放して、別の車に乗り換えたそうですが、今でもこのミニバンは何処かで誰かに同じ現象を与え続けているのかもしれません。
第4夜終了です。
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