→はい/→いいえ/→第三の選択肢


 暗い視界の中で色々とアナウンスが流れる。面倒なのでスキップ。OK、友人は意見を聞いてくれた面倒くさがりを許したらしい。

 さて、スキップを終えて主人公の設定を決めよう。

 暗い視界の中でステータス画面が現れる。

 顔は自分の顔をそのまま。名前はいつもの。性別は、現実同様女の方が良いかな?ステータスは……



先ず基礎的な強さの水準となるレベル。経験値を得る事で基礎能力が上がるRPGお馴染みのテンプレシステム。

これに関しては初期レベルが1で、このゲームだとどうやらモンスターを倒す以外にもレベルを上げる手段が存在するらしい。

そして、レベルを上げる事で上がる能力が8つ。

・攻撃を受けると減少して0になるとゲームオーバー。ダメージを表す『HP』

・魔法行使の際に対価として消費する『MP』

・殴る蹴る武器で攻撃する時の補正や重い物を持つ時に補正が掛かる『筋力』

・殴る蹴る武器の攻撃で減少するHPの値を軽減し、高い所から落ちたり重いものの下敷きになった時に何とかなる『防御力』

・魔法行使で発生するダメージや影響力に関わる『魔力』

・魔法からのダメージや干渉に抗える『魔法防御力』

・移動速度や機動力にまつわる『敏捷性』

・物を作る時や細かい作業をする時、更に攻撃が当たるときの会心率に補正が掛かる『技巧度』


 初期設定の今とレベルを上げて貰えるステータスポイントを使う事でこの辺を弄れるらしい。

 例えば魔法使いになりたかったらレベルを上げた時にMPや魔力を増やして魔法を数多く、そして高威力で使えるようになる。という感じだ。

 「じゃぁ、敏捷性と技巧度に振って後は0ってことで。」

 もうステータスの振り方は決めていた。高速機動で翻弄しつつ的確に相手に連続で痛打を与えるテクニカルアタッカー?いやいや、前評判を見る限り、友人を信頼する限り、そしてボクのスタイルからしてこれが一番強い。

 決定したステータス画面が閉じて光に包まれる、スキップスキップスキップ連打………


 「おぉ、勇者よ!荒ぶる魔王を倒し、この世界に安寧をもたらしてくれまいか⁉」

 赤い高そうなマントに王冠、大きな宝石があしらわれた首飾りをして玉座に座った白髭の恰幅良いおじさんがそんなテンプレセリフを目の前で言っている場面に辿り着いた。


 サンタか王様か分からないキャラデザからよくもここまで王様を主張した格好にデザインした事は成長したと私は感動した。


 服装は初期装備として最低限用意されていた数種類のセットから選んだ結果革の鎧と短剣というシンプルなもの。

 自分の選んだ要素が反映されている事、体の動きを確認して、次に周りを見回すと、全部が豪華絢爛でキラキラしていた。

 窓は半分がステンドグラスで床は高そうな真っ赤なカーペット。王に控える様に白銀の鎧と武器を身に着けた騎士が一糸乱れぬという感じで並んでいる。

 あ、でも王様の横に控えている騎士は周りより少しだけ大きいし鎧が金色っぽい。

 周りを見回した感想としては、視覚的に『王の間』と分かる場所だった。

 人の方を見てみれば王様は私をちょっと下心ありありで見ているし、鎧の騎士達に少し悪戯っぽく視線を送るとちょっとだけ鎧が揺れる音がした。

 超絶美人相手に人間っぽい反応が返ってくる。名無しのキャラまで細かい反応が出来るような人工知能AIを仕込んで細部にまでこだわっている辺り、腕上げた?

 「さてさて、景色は…?」

 ステンドグラスの窓は開きそうもないから近くの透明な窓ガラスに近寄る。

 それを見た王様は目を丸くして騎士達は動揺して鎧の音を立てる。

 「勇者よ、何を……?」

 「あぁ、王様失礼致します。ボク、世間に疎いもので少しばかり見聞を広めたく……」

 窓の外に見える景色は退廃していた。

 『魔王の軍から攻め込まれて疲弊している国』という感じが出ている。

 「いやぁ、失礼致しました。

 友人が世界と本気で向き合い細部まで妥協しない立派な人間になった事に感動していたものでつい……」

 美人のニッコリスマイル。それに対して王は鼻が少し伸びたニッコリスマイルで返すが、そうもいかない人が居た。

 「勇者よ、王の御前である。慎め!」

 王様の傍に控えていた金鎧の側近っぽい奴が高圧的にこちらに向かって迫ってきた。

 おー、迫ってきて気付いた。身長2m近くあるなぁ。

 「これはこれは失礼致しました。世間や礼儀も知らぬ娘故……」

 「勇者だからと驕っているのなら大間違いだ。

 我々精鋭近衛騎士隊は王の護衛という任あって仕方なく貴様を使っている。それを勘違いするなよ。貴様の代わりは幾らも居るのだぞ。

 サッサトコタエロ。」

 最後の方は王様に聞こえない様に囁きながら自分の背中で隠してボクを睨み付ける

 「あぁ、そうでした。これは失礼。では、王様お答えいたします。」

 そう言いながら側近をすり抜けて素早く王様の座る玉座へと近寄って









 初期装備のナイフを突きつけた。


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