第16話
私は思わず声を上げた。「嘘だろ!?」私は慌ててセレーナの顔を見たが、彼女は何の反応も示さなかった。
(まさか、こんなところで真実を知ることになるとはな……。だけど、どうして彼女がそのことを知っているんだ?)
「アイラ……、あなたは知っていたの?」
「うん……。お母さんに教えてもらったもん……」
「そっか……、それなら仕方がないわね……」
「もしかして、セレルナはセレナさんの息子だったりしないわよね……? だって、年齢が合わないもの……」
「さすがにそれはありえませんよ。セレルナは私より年上ですから」「えっ……?」彼女は驚いた様子を見せると、恐るおそる私の顔を見つめてきた。
「本当にセレナさんはセレナさんのご子息ではないのですか……?」
「ええ、違いますよ。セレリナは俺の双子の妹なんですよ」
「双子……? 確かに顔立ちが似ているけれど……、髪の色が違うから……」
「まぁ、そこら辺の事情については後々説明しますよ。それよりも今はセレナについて話した方が良いと思いますし……」
「それもそうね……。それじゃあ、詳しい話は中で聞かせてもらうことにしましょうか」
ピーシャは私とアイラを連れて家の中に入ると、応接室のような場所に案内してくれた。そして、ソファーに腰掛けると、彼女から改めて自己紹介をされた。
「改めまして、私はピーシャといいます。それで、こちらの方が私の夫である……」
「アンリーアと申します」彼は軽く頭を下げた。
「セレナです……。それと、こちらは妹のアイラです……」
「セレナの妹のアイラだよ! よろしくね!」アイラはとても明るい笑顔を浮かべていた。
「セレナさん、それにアイラちゃんもよろしくお願いします」ピーシャは礼儀正しくお辞儀をしてみせた。
「そんなにかしこまらなくても大丈夫ですよ……」
「そうですか……。それでは、普通に接するようにさせていただきますね……」
「はい、そうしていただけると助かります……」
「分かった! それで、セレナはどうしてここに来たの?」
「ああ、実はな……」私はこれまでの経緯を話し始めた。
「なるほど……。そういうことだったのですね……」ピーシャは納得した表情を見せた。
「ええ、そういうわけなんです。そこで、ピーシャさんとアイラに聞きたいことがあるんですが、いいですか?」
「ええ、もちろん構いませんよ」
「ありがとうございます。それで、セレナのことなのですが、彼女は今どこにいるのか分かりますか?」
「それは……」彼女は少し困ったような顔をして黙ってしまった。
「何かあったんですか……?」
「いえ、そういうわけではないのですが……」
「お母さん! セレナにはお父さんがいるんだよ!」
「そうなの?」私はアイラの言葉を聞いて、ピーシャの方を見た。
「えっと、正確にはいたと言った方がいいかもしれませんね……」
「いた……? ということは、もう亡くなってしまったということなんですね……」
「はい……。セレナさんは一年前に亡くなられました……」
「そうでしたか……。それは残念でなりませんね……」
「でも、セレナさんは幸せだったんじゃないかしら……。あの子、とても良い顔をしているもの……」
「そうなのかな……」私は彼女の言葉を聞きながらセレーナのことを思い出そうとしたが、全くと言っていいほど思い浮かばなかった。
「ねぇ、セレナのことについてもっと教えてよ! どんな人だったの?」アイラは興味津々といった様子で尋ねてきた。
「うーん、そうねえ……」ピーシャはしばらく悩んだ末に口を開いた。「一言で言うなら優しい方だったわ……。私と夫が喧嘩をしている時に仲裁に入ってくれたり、いつも私たちを支えてくれたりして……」
「へぇーっ、セレナって意外とお姉さんなんだね……」
「ふふっ、確かに言われてみればそうかもしれないわね……」ピーシャは嬉しそうに微笑んだ。すると、彼女は急に真剣な顔つきになって私の顔を見つめてきた。
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