第11話
私が首を傾げていると、隣にいる女の子が元気よく挨拶をした。
「こんにちは! 私はアイラと言います! よろしくお願いしますね! お姉ちゃん!」
「えっと……、どういう状況なのか、いまいち理解できていないのですが……」
「実はね、私の旦那が急な用事で家を開けなくちゃいけなくなってね。それで、しばらくの間は実家に帰ることになったんだけど、娘も一緒に連れて行くことにしたの」
「なるほど……」
「でも、この子は人見知りが激しくてね。知らない場所で暮らすのは不安らしいの。それで、私がいない間だけでも、面倒を見てくれる人を探そうと思ったわけ」
「そういうことでしたら、別に構いませんよ」
「ありがとう。本当に助かるわ」
「それで、どれくらいの間、預かれば良いんですか?」
「そうねぇ……。とりあえず、一週間ぐらいでどうかしら?」
「分かりました。それじゃあ、その間は責任を持って預かります」
「頼んだわよ」
「任せてください」
「うん。偉いわね」
「えへへ……」
「それと、お金の方は少し多めに渡しておくから、足りないものがあれば買ってあげて」
「はい。分かりました」
「よし。これで話は終わりね。早速だけど、そろそろ行きましょっか」
「はーい」
「えっ? 行くってどこにですか?」
「もちろん、あなたの家よ」
「えっ?」
「大丈夫よ。すぐに着くから」
「あの……、まだ依頼を受けていないのですが……」
「そんなの後回しにしなさい」
「いや、それはちょっと困るというか……」
「大丈夫だって。それに、その依頼ならもう達成しているわよ」
「はい?」
「ほら、この子が無事だったんだから、依頼を達成したことになるじゃない」
「えっ!?」
(どういうことだ?)
私は混乱しながらも女の子に目を向けてみると、彼女は嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
「お姉ちゃん。これからよろしくお願いしますね!」
「あっ、う、うん……」
「さぁ。時間がないんだから急いで」
(どうしてこうなった)
私は戸惑いながらも、二人と一緒に自宅へと向かうことになった。そして、無事に家に辿り着き、三人で生活する生活が始まった。しかし、これが悪夢の始まりだとは思いもしなかった―――。
「ねぇねぇ。今度一緒に遊びに行きませんか?」
「えっ?」
「ダメ……、かな?」
「い、いや、ダメではないけど……」
「やった! それじゃあ、約束だよ!」
「わ、分かった……」
「ふふふ。楽しみにしてるから」
「……」
「……」
(どうしよう……。すごく気まずいな……。話しかけたいのに話題が見つからない)
(なんか最近避けられてる気がするな……。やっぱり、私と遊ぶより他の人と遊んだ方が楽しいよね……)
二人はお互いに距離を取りながら過ごしていた。すると、突然、扉をノックされる音が聞こえてきた。
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