第7話

 それから私たちは教室へと向かった。すると、そこには大勢の生徒たちが集まっていた。

「おおっ! すごい人数だな」

「まぁ、当然のことじゃろうな」

「そうですね」

私たちは席に着くと、授業が始まるのを待つことにした。しばらく待っていると、一人の男性が教壇に立った。

「みなさん、おはようございます」

(この人が担任の教師か)

「私の名はダディリディアナといいます。これから一年間、よろしくお願いします」

『はい!』

「まず初めに、みなさんの自己紹介をしてもらいましょう。一番から順番に前に出てやってくれ」

『はい』

「よし、次はお前の番だぞ」

「はい。俺は……

そんな感じで次々と自己紹介が行われていった。そして、ついに私の順番となった。

「次、ロリコゼッター君」

「はい。私は……」

私は適当に名前だけ言うことにした。

「ロリコゼッターです」

『……』

すると、なぜか教室中が静まり返ってしまった。私は不思議に思って聞いてみた。

「あの……。何か問題でもありましたか?」

「い、いや……。特に問題はありませんよ」

「そうですか……。それでは失礼しました」

私は自分の席に戻ることにした。すると、隣に座っているタカリアナが小声で話しかけてきた。

「どうするつもりなのじゃ?」

「どうするって?」

「今の名前じゃよ」

「ああ……。そのことですか。大丈夫ですよ。ちゃんと考えていますから」

「ほう。どんな名なのじゃ?」

「それは秘密です」

「なんじゃ、教えてくれぬのか?」

「すみません。ちょっと事情がありまして」

「ふむ……。仕方ないのう」

「すみません」

「謝ることはないのじゃ」

「ありがとうございます」

それから私は気になっていたことを質問することにした。

「ところで、このクラスには私以外の転生者はいないんですかね?」

「さあ? どうかのう……」

「このクラスにはいないみたいですね」

「そうなんですか……」

「まぁ、そのうち会えるじゃろ」

「それもそうですね」

私はとりあえず待つことに決めた。それから私は周りを観察しながら、どうやって過ごすかを考えていた。

しばらくして、私は一つの結論に至った。

(やっぱり、目立たないようにするのは無理があるな。だからといって目立ちすぎるのも良くないし……。困ったな〜)

私は途方に暮れていた。すると、タカリアナが話しかけてきた。

「お主、何を悩んでおるのじゃ?」

「いや……。目立つと面倒なことになりそうだなって思いまして」

「確かにな。じゃが、お主には妾がいるのじゃ。何も心配はいらんよ」

「そうかもしれませんけど……」

「それにお主なら上手くやっていけると妾は信じておるよ」

「うーん……。わかりました。やってみます」

「うむ。その意気じゃ」

私は覚悟を決めると、授業に集中することにした。だが、やはりというべきか……。私は何度も集中力を切らすことになったのであった。

昼休みになると、私たちは食堂へと向かうことにした。だが、その途中で一人の男性に声をかけられた。

「おい! そこのお前!」

「はい?」

「お前は俺様のことを覚えていないのか!?」

「いえ……。全く記憶にないのですが」

「嘘をつくな! 俺はお前にボコられたんだぞ!」

「えっ?」

私は驚いたふりをすると、タカリアナが私の代わりに答えてくれた。

「お主は誰なのじゃ?」

「ふん! よく聞けよ! 俺はマラーギリュノ・ダレッドナードンだ。覚えておけよ」

「うーん……。悪いが、忘れてしまったようじゃ。それで結局、何用なのじゃ?」

「それはもちろん復讐だよ」

「なるほど。つまり、また喧嘩を売ってきたということか?」

「そういうことだ。いい加減に理解したようだな」

「はぁ……。相変わらず馬鹿な男じゃな」「なんだと! もう許さん。決闘だ!」

(めんどくさい奴だな)

「わかったのじゃ。受けて立とう」

「よし、決まりだ。場所は闘技場で行う。せいぜい逃げないようにするのだな」

「ふっ……。それはこちらのセリフじゃ」

「では、後で会いましょうぞ」

「ああ。楽しみにしておるよ」

(はぁ……。本当に面倒だ)

こうして私たちは再び、面倒なことに巻き込まれるのだった。

私はダディリディアナ先生に呼び出された。そして、私は一人で校長室へと向かった。コンコン……

「失礼します」

私が部屋に入ると、そこにはダディリディアナ先生の姿があった。

「いらっしゃい。ロリコゼッター君」

「どうも……」

「そこに座ってくれるかしら?」

「はい……」

私は椅子に腰掛けると、話を始めた。

「早速だけど本題に入るわね」

「はい」

「あなたにお願いしたいことがあるの」

「お願いですか?」

「ええ。実は、今から一ヶ月後に開催される魔法大会に出て欲しいのよ」

「なぜですか?」

「実はこの学園の生徒の中で一番強い生徒を決める大会でして、その大会で優勝すると、この学園での地位を得ることができるのよ」

「地位ですか?」

「ええ。だから、ぜひ出て欲しいのよ」

「はあ……」

「もちろん、ただとは言わないわ。もし優勝できたら、賞金として100万ゴールドを渡すわ」

「お金はいらないですよ」

「あら? それはどうしてかしら?」

「だって、どうせすぐに手に入りますから」

「そういえば、あなたは冒険者ギルドに所属しているのよね?」

「はい」

「それなら、依頼を受けたらどうかしら? そうすれば、すぐに大金が入ると思うけど」

「依頼ですか……」

「もしかして、何か問題でもあるのかしら?」

「いや……。特に問題はありません」

「そう……。それじゃあ、引き受けてくれるかしら?」

「わかりました。でも、一つだけ条件があります」

「どんなことかしら?」

「私のことは内密にしてもらえませんか?」

「まぁ、別に構わないけれど……。どうしてなのかしら?」

「ちょっと事情がありまして……」

「なるほど……。わかったわ。秘密にするって約束しましょう」

「ありがとうございます」

「いえいえ。ところで、話は変わるんだけど……。あなたはあの有名なタカリアナちゃんと友達なの?」

「そうですけど……」

「やっぱりそうなのね。それじゃあ、これからも仲良くしてくれないかしら?」

「構いませんよ」

「良かった。これで少しは安心できるわ」

「どういう意味でしょうか?」

「彼女はとても人気者でしょ? だから、変な男が寄ってくるんじゃないかと心配していたのよ」

「確かにそうですね」

「でしょう。それじゃあ、私はそろそろ行くけど、大会の件についてはよろしく頼むわね」

「はい。わかりました」

「うん。頼んだわよ」

こうして、私は大会に出場することになった。

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