第6話
それから私は屋敷に帰ると、すぐにアルポンズさんに会いに行った。
「これはこれは……。どうかなさいましたか?」
「実は……」
私は昨日の出来事を説明した。
「そうですか……。それは大変でしたね」
「はい……。それで何か心当たりはありませんか?」
「うーん……。そうですね……。あっ、そうだ。もしかすると、魔王の配下の仕業かもしれません」
「魔王の配下のですか?」
「はい。彼らは魔物を操ることができますので」
「なるほど……。確かにそうかもしれませんね」
「はい。ですので、十分にお気をつけください」
「分かりました。貴重な情報を教えてくれてありがとうございます」
「いいんですよ。困った時はお互い様ですから」
「そう言っていただけると助かります」
「はい。それではお気をつけてお帰り下さい」
「はい。それでは失礼いたします」
こうして私たちは魔王軍との戦いに向けて準備を進めることにしたのであった。
次の日の朝、私たちは再び魔法学園へと向かった。そして、門番の女性に事情を説明しようとしたのだが、なぜか門前払いされてしまった。
(なぜなんだ?)
私が不思議に思っていると、タカリアナが理由を察してくれた。
「おそらくじゃが、魔王軍が攻めてくると噂になっておるからのう」
「なるほど。だから警戒しているということですね」
「恐らくそうじゃろうな」
(参ったな……。これじゃあ、中に入れないじゃないか)
「すみません……。どうにかなりませんかね?」
「申し訳ございません……。規則ですので……」
(やっぱりダメか……。どうしようかな)
私はしばらくの間、頭を悩ませていた。すると、その時、ある考えが頭に浮かんできた。
それは『変装』をして中に入るというものだ。
「よし、やってみるか」
「何か思いついたようじゃな」
「はい。とりあえず、試してみましょう」
私はまず、門番さんの顔をじっと見つめた。すると、徐々に変化していき、最終的に別人の顔になった。
「こんな感じでしょうか?」
「ふむ……。なかなか良いのではないか?」
「そうですね。とても似合っていますよ」
「そうですか……。良かった」
「それでは行くとするかのう」
私たちは堂々と学園の中へと入っていった。それから学園内を歩いていると、生徒らしき人たちの姿がちらほらと見えてきた。
「ここの生徒たちは皆、優秀な魔法使いの卵たちなのじゃな」
「そうなのですか?」
「はい。ここは魔法学園の中でもトップクラスの成績を誇る学校らしいですよ」
「へ〜……。そうなんですか」
「はい。ちなみに生徒たちが身につけているペンダントをよく見てください」
私は言われた通りに見てみた。
「あのペンダントはなんでしょう?」
「あれは魔法の威力を抑えてくれる効果があるものじゃよ」
「つまり、生徒が危険な目に遭わないようにするためということですか?」
「その通りです。なので、私たちも着けておいた方がいいかもしれませんね」
「そうじゃな。それがいいじゃろ」
「では、買いに行きましょうか」
「そうじゃな」
私たちはペンダントを買うために売店へと向かうことにした。だが、そこに一人の女性が近づいてきた。
「あら? あなたたちは……」
「もしかして……」
「はい。私はこの学校の校長をしているダディリディアナと言います」
「私はラフィリエーネと申します」
「妾はタカリアナと言うのじゃ」
「私はロリコゼッターと申します」
「皆さん、よろしくお願いしますね」「よろしくお願いします」
「ところで、今日は何をしに来られたのですか?」
「実は……」
私はこれまでの経緯を説明することにした。
「なるほど……。そういうことだったのですね」
「はい。それで許可をいただきたいのですが」
「もちろん構いませんよ」
「ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ。わざわざ、ご足労頂きありがとうございます」
「いえいえ、とんでもないです」
「それでしたら、少しお話を聞かせてもらえませんか?」
「話ですか?」
「はい。実は最近、魔王軍の侵攻が近いという噂が流れていてですね」
「そうだったんですか?」
「はい。それで、もしも魔王軍が攻めて来た時の対策について考えておきたくてですね」
「なるほど。わかりました。私で良ければ協力させていただきます」
「本当ですか!? それは助かります!」
「はい。それで何を知りたいですか?」
「そうですね……。まず、敵の戦力はどれくらいのものなのですか?」
「うーん……。正確なことは分かりませんね。ただ、魔王軍は魔物の軍勢を率いているという話です」
「なるほど……。では、魔王の実力はどの程度のものでしたか?」
「魔王の実力ですか……。確かかなり強いと聞いたことがありますが、詳しくは知りませんね」
「そうですか。ありがとうございます」
「いいえ。少しでも力になれたなら良かったです」
「はい。本当に助かりました」
「いいんですよ。それでは頑張って下さいね」
「はい。頑張ります」
こうして私は校長先生の協力を得ることに成功した。
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