カップ麺を作るのと同じくらい
俺のケージの隣に並べられたゆりちゃんのケージに向かってくんかくんかといい匂いを堪能していると、ゆりちゃんもこっちに気が付いた。
「こ、こ、こ、こんにちはっ。るぅですっ」
緊張でどもった。これじゃあ、初めて女の子と話をするチューボーみたいじゃねえか。
「こんにちはー、るぅさん♪ 見た事あります~~ ちぅっ」
おお! さっすが!! モフスタグラムの威力はすげえぜ!
ちゅっ♪
俺がゆりちゃんのケージに向かって鼻をひくひくさせていると、彼女も俺に鼻タッチをしてくれた。
うおおおお!! いい感じなんじゃねえか!?
俺たちがケージ越しに挨拶をするのを見ると、みずきたちは満足そうに離れていって、向こうのソファで世間話を始めた。
聞き耳をたてていると、ヨーコはアニキの事を、うちの主人が~~とか、旦那が~~とか、やたらと呼んでいる。
あの二人、いつの間に結婚したのか!?
でもアニキの方は、そんなヨーコの勢いに押されているみたいだ。
どうやら俺は、このままアニキんちに預けられるらしい。
タイミングをみてーー とか、アニキが言っている。
つまり…… ムフフ……っすね。
みずきと親父さんは、もう一度俺のケージを覗き込んでから帰っていった。
残されたのは、俺とゆりちゃん、そしてアニキとヨーコ。
「ヨーコ、調子に乗るなよ」
「だって、夫婦のふりをして欲しいって言ったのは、アキ
あー、やっぱりあれは嘘だったのか。
つまりは一人もんだと怪しまれたりするから、夫婦のフリをしていたらしい。まあ、確かにこういう時は
俺とゆりちゃんは、ケージ越しに何度か挨拶を繰り返し、互いの匂いを嗅ぎ合い、だいぶいい雰囲気になってきた。
彼女もご機嫌でまんざらでもないらしい。
「大丈夫そうだな。よっし、ケージの外に出すか」
キタ――!!!!!
俺やってみせますぜ! アニキーーー!!!
=== 砂時計(3分)の映像でお待ちください ===
ふぅ…… 成し遂げたぜ……
ゆりちゃんから誘ってきたくせに、最後はちょっとツンツンしてたが。いや。あれはあれでイイ……
満足した俺がぐでっと寝転がっていると、ヨーコがこちらを睨んでチッと舌打ちをした。
うん? 俺なんかしたっけか??
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