　おっす！オラ、チンチラ！　可愛い盛りの生後6カ月！

　……じゃねえ。このノリは違う。言ってる事は間違いじゃあねえけど。

　姿形ははこんなに可愛い（自画自賛）チンチラの俺だが、実は前世の記憶がある。

　前世の俺は「リュウ」と言う名のチンピラだった。

　それが何の因果か、こんなに弱っちそうな小動物に転生してしまった。

　前世の記憶を思い出したのはいいんだが、厄介なのは自分がチンチラとして今まで生きていた記憶もしっかり残っている事だ。

　親チンチラに甘えまくっていた記憶も、おっぱいをちゅぱちゅぱ吸っていた記憶もバッチリ残っている。うおお、恥ずかしい。

　それだけじゃねえ。昨日彼女にすり寄りまくっていた記憶も……

「るぅちゃんー♪」

　ねこなで声を出しながら、俺の家……いや、ケージを覗きこむ女の子。彼女が俺の飼い主だ。しかも女子高生！

　チンピラとしての記憶を取り戻した俺が、昨日みたいにベタベタ甘えまくるなんて恥ずかしくってやってらんねぇ。

　心の中で「ケッ」と悪態をついてしまったのは条件反射みたいなもんだ。

　でも飼い主相手にはさすがにそうはいかない。差し出された指に付き合い程度に鼻を寄せると、彼女は満足そうに微笑んだ。

　今呼ばれた、この「るぅ」ってのが俺の名前だ。

　……本当はリュウなのに……

　チンピラ≠チンチラといい、リュウ≠るぅといい、なんでちょっとだけ惜しいんだよぉ！！

　しかも、なんてファンシーな名前なんだ！

　そんな女々しい名前よりカッコいい名前の方が良かったぜ。

　第一、オスの俺様に……　うん？？　オス？？

　ごそごそ……　ごそごそ……

　あれ？　俺って、オスメスどっちなんだ？？

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