NEARLY
立花零
レイヴン
両側に麦畑が広がる道は、かつて国境線だったという。東は恐怖政治で統治され、西には自由主義の恩恵を享受する大国があった。そして南北には、いつできたとも分からない道だけが続いている。
一歩踏み出すたびに、対物ライフルの
この道の先、北へ向かうと、100年前の人類の墓標がある。ただし墓標にしては巨大で、少々無骨すぎるきらいがあり、おまけに放射能で汚染されている。ガイガーカウンターが先ほどから反応しているのは、そのためだ。
人類は、その種に宿す
それから戦争があり、災害があり、人類は緩やかに数を減らす道を選んだ。国家という区分は消え、地下と地上に複合都市を建造した。適切に管理された環境で、適切な決断をするために。
人類は、40億人まで減った。環境汚染は止まらなかったし、なにより
僕が今いるこの道も、
ほら、見えてきた。黒と灰色だけの世界。ガイガーカウンターが泣き喚いている。ここから先は、機動防護服を外してはいけない。
対物ライフルに初弾を装填しよう。
あそこには、たくさんの宝物が眠っている。早いところ持ち帰って、バイヤーに売りつけよう。
僕の名前は
NEARLY 立花零 @ray_seraph
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