第11話幸せ
乳幼児の時はあやすことと食べさせることに手いっぱいでなかなかかわいいとは思えなかった。ただただがむしゃらに行動していた気がする。
3歳になった。
よく笑う子で女の子に間違えられる回数が多くなった。
子宝に恵まれて、地域では神童と呼ばれるくらい利発の男の子になった。
7歳までは座敷わらしとよく遊んでいたようだった。
子供には見える権利を授けていないらしい。
7歳を過ぎた後も記憶があるらしく、ガザゴソと音がしても気にしなようだった。
「かわいい子、彼に似て論理的思考回路みたいね」
「いつかは離れていく存在なのだろうが、かわいくて仕方ないの。彼女にモテるように教育しないとね」
典型的な飯、風呂、寝るというようなぶっきらぼうな男性になってほしくないから子供の頃から家事と小遣い管理をさせることにした。
取り決めをして丁寧に説明すると3週間ですべてを理解したようす。
掃除機のかけ方、自分で食べたお皿の洗い方などなどを次々飲み込んでいく。
(包丁とコンロの使い方はまだ先かな)
しかし、数字に強いらしく、掛け算はクリアしてきた。
(神童過ぎて怖いわ)
SEや数学の知識のいる職につくのもいいだろう。
(あとは体を動かしてくれれば満点なのにな。子供らしくていいわよね)
将来が楽しみな子供である。
父親になった夫は係長とかいう名目でいろいろな支店に飛んで査察をするという仕事をしているらしい。
何やら細かすぎる数字を追っているとかいないとか。
難しすぎて仕事の話を理解するのはあきらめている。
今夜もくたくたになって帰ってくるはずだ。
癒しになればと今日もおいしいご飯を用意しないと。
これがわたしたちの幸せの形である。
まぁ、座敷わらしは相も変わらずいるけれど、ちゃんと夫のいる時間には出てこないし、私にだけ見えるように買い物についてくるくらいだ。
そこで新鮮な野菜や果物をゆびさしてくれるから助かっている。
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