第8話子だから

 ☆☆

 1か月たったころに彼氏は相談してきた。

 今のところ負担なく同棲できていると思っている。

 幽霊関連を除いては。

 彼は男のプライドか科学を妄信しているのか。まだ科学で証明できないものを信じていない。

「ねぇ、今日は話があるんだけど、最近ガサゴソするでしょ」

「ああ」

「座敷童の仕業なの」

「は? マジでいってんの? この時代に非科学的な存在とかありえませんって。それよりガサガサしているのは隙間風とかだろ」

「ところがあえり得るのですね」

 信じてもらいやすいように7歳児程度のおかっぱ。そして浴衣姿で登場だ!

「座敷わらしはいるのですよ。見えるように力を付与したからもういつでも見られるぞ」


「――親戚の子だよな?」


「本当らしいの」


「結婚考えさせてくれ」


 急な待ったに動揺を隠せない。


「待ってよ。幸運を運んでくれるのだから」


「よくないよ。それって3人で生活するってことだよな?」


「子供ができなくて妖怪と生活ってありえないって」


「それがこの子がいるなら、子宝できるかもしれないわ」


「へぇー」

「それなら試そうよ」



 妖怪には確かにわからない。大人のらぶろまんすの時間らしいので子供は退散することにする。

 これ。聞いているのはやはり妖でもつらいので寝ようと思う。


 人間とはやはりわからん。




 とんとん拍子に婚姻届けを提出して家族になった。

 そして子供を身ごもったらしい。


 つわりがひどい。

 香りのするものがすべてだめらしい。

 唯一酢の物は大丈夫のようだ。

 先人の知恵はやはりすごい。


 前回の診断結果をもっていくと医師はびっくりした様子で告げている。

 前に子供はできにくいと診断した医師だ。


「ありえない。この症状では妊娠はしにくいと思うのに」


 まことに不思議だ。医師はしきりに首をかしげている。


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