第7話砂かけ婆

「うん。そろそろ入れ替わりの時間かのぅ?」

 砂かけ婆もなにかしらの話があってきているらしい。


「気に入ったぞ。あの娘。あまり不幸にならせないでくれよ」

「わかっているわよ。こっそり家に入り込んでたくさんお金行くようにするから」


 自宅につくと、あるじが出社の支度をしている。

「あ、遅かったのね。おかえりなさい。今夜帰ったらはなしたいことがあるの」

「わかった~」

 主はバタバタと出ていった。

 ってそんなことを言われても、話の内容はわかっている。

 同棲なのだろう。

 さて、どうするか。クローゼットをまた貸してもらうか、旦那様候補にも姿を見える特権を付与するか。

「うむ。見える力を付与する方向でいこう」


 定刻には主が返ってきた。

 やはり同棲したいとのこと。

「お化けとか非科学的なことを信じるタイプか?」

「信じないタイプね」


「そうか。ではしばらく黙っていて、変に思われたら、私の口から説明しよう」

「わかったわ。しばらくは彼もおびえると思うけれど」

「仕方なかろう。言って信じないなら、実感してもらわないと」

「そうね」


 ☆☆

 一応、聞いてみる。昔の彼と変わっているかもしれない。

「ねぇ。お化けって信じるタイプだっけ?」

「は? そんな非科学的なことはありえないね。そんなの子供に悪ささせないためにつくられたものなんだよ」

「そうよね」

 やはり信じない彼だ。ブレないというべきか、学生時代に培った価値観は大人になっても変わらないということか。


「なぁ、カサカサ音がしているんですけど」

 いま、座敷わらしちゃんがコンビニ袋をあさっている。

 食べるわけではないのだろうが、いつも面白いものを探している。

「気のせいよ」

「気のせいじゃないよ。なんかいつもガサガサしてるんだよ」

 私のいないところでも何か面白いことはないか探しているらしい。


 服とか全種類見られていそうで怖くなる。

 まぁ、一応、神様だから人間のファッションとか見慣れているんだろうなと思うことで不気味さを相殺している。

 果たして彼はこんな風に割り切ってくれるのか。とても心配だった。

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