第6話人外の者たち
「これくらいのペースならどう?」
神社の本当の主は少しだけ考えてから話だす。
「そうだのぅ。少しは減ったが、まだまだかなえられない願い事は消えぬな」
「そうか。私は完全に没落させたくはないの」
「ありがたいことだが、まだまだこのペースでは困るな」
「えええー居心地いいのに」
幼女の姿のままじたばたしてみる。
「ちぃーともかわいくないぞい」
「ちぇー」
「そんなこと言っていると、全然これなくなっちゃうよ」
「いっかいそれもいいかもしれんな」
今度は月1回のペースで様子を見てみようではないか。
「なら今の子にずー-っとついてよっかなぁ」
「いいのではないか。人間ならご利益あるのだろう?」
「まぁ、有益な存在だよねー。きっともうすぐ苗字変わるだろうし、
もしかしたら子宝にめぐまれてしまうだろうし」
「ほほほーう。いいじゃないか」
「だから、余計なことしないでよね。砂かけババ」
差しほどすれ違った老婆は実のところ、砂かけ婆だったりする。
「しないさね。お前さんが付いているおなごだからってそんな」
(このババ、いっつもいっつも、ちょろちょろと。
しかも今回は声をかけるなんて、何を考えているのか)
「あの子にいたずらしないでよ」
「小娘にはせんさ。幸運を運ぶものが付いているから、悪さのしようもない」
「ならいいわ」
ほかの誰かには何かをするということか。
十分に注意しておいた方がいい。
きっと狙うのは彼氏なのか、旦那になる人なんだろう。
「はー。気にしなければならなくことが増えたわ」
さて、いつ戻ろうか?
いっそ神社に一泊してから戻ろう。
今頃は人間でいう「らぶろまんす」なるものが繰り広げられているだろう。
自我が目覚めたころは、それを見るもの務めと思い、こっそりいることもあったが、いまは見る気分ではない。
「一泊させてよ」
神様は露骨に嫌な顔をしたが、仕方ない。
「それで、一番困ったこと教えてよぉぉ」
「わかったら、駄々をこねる出ない。見苦しい。齢300歳のやることではないわ」
「はぁーい」
ここの爺様は幼子の真似をすればなんだかなんだと許してくれるので
大好きなのだ。
やはり没落させるのはかわいそうだ。
翌日にはちゃんと自宅に戻っていく。
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