第4話 いたずらさんは考えた!

眠る場所と定めて入ったクローゼット。


そこは呪いの儀式の衣装が入れてある場所。

「あった」

こんな縁起の悪いものは捨ててしまわないと。


座敷童たるこの私には、過去やられたことが見えている。

意地悪な先輩からの嫌がらせ。

表立っての仕事着を汚す。

筆記用具を隠すなど荷物への嫌がらせ、

同僚へのあることないことの吹聴。


確かに呪いたいこともあるかもしれないが、こんな道具をそろえているようでは出世はできない。


家主は気付いていないが、嫌がらせの原因は若さと有能さへの嫉妬である。


こればかりは自分自身の力で乗り越えないといけない。


「フルセット常備していたもんね」

頭にろうそく、白い衣装、たかい下駄。

ぜーんぶ廃棄。


新しくサンタクロースの衣装(女性用)を用意して入れ替えておく。

会社の余興としてでも、SNS映えの手段でもいい。


まぁ、日本の妖怪伝説に出ている座敷童がこんなことをしなくてもいいのだが、家主の幸せのためである。


「まぁ座敷童も食料の豊穣という意味ではあそこの神様がいるとこが心地いいんだけど、迷惑って言われるとしかたないなぁ」


憎悪、嫉妬、被害者意識に染まった彼女をプラス思考に戻したい。


3か月くらい一緒にいてから離れようかなとは思っている。

危なっかしい感じがしてもっと一緒にいたくなるかも。

とにもかくにも心地よい場所になることを願っている。


家主が出社して予想通りしばらく帰ってこない。

夜の11時45分。

彼女は興奮したような顔をして帰ってきた。

「知ってたの?元彼から復縁しよって!!できたら結婚も視野に入れたいって来たんですけど?」

「いいことあってよかったじゃない!」


「それに、お昼はいつもの先輩におごりだとか言われておごられるし」

「いった通りになってよかったよかった~」

「ほんとうにわかっていったの?」

「わかってたわけじゃないよ。なんとなくだよ」

「ふーん」


「その彼氏さんとはどこまでお話進んだの?」


「次の休みにうちに来ないかって。だから神社へはとても早めに行くしか時間ないんだけどそれでもいい?」

「多分、へいき!」

「そっかぁ。時間が被らなそうでよかった。幸福な時間のうちに頑張って仕事しないと。じゃあお風呂入ってくるね」


わが主は急いで風呂に行った。


「呪いなんか勉強しないで、出世目指せばもっと元カレからの連絡来るの早まったのに」

この家主はせんべいは食べないからチョコでも何かストックしていないかな。


座敷わらしはふらふらと食料を探しに行くのである。

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