第3話自宅に来たら
自宅への帰り道。幼女はウキウキしながら話し始める。
「他の人には見えないから安心してね」
(やっぱり見えないんだ)
「ん」
人に見られても不信にならない程度に返事をする。
座敷わらしは家に繫栄を、いなくなると没落をするといわれる。
自宅についた。
「いいの? 私についてきて。あの神社って衰退するの?」
「神様に出てけって言われてるって言ったじゃん。あの神社の神様は専門外のことをお願いする人が増えてね、ぶちゃけ迷惑なんだって」
あの神社はもともと豊穣を祈願する場所であり、食に対してのあれこ
れを願う場所なのだ。
最近は健康になりたいという願いしかなくて困り果てているという。
「ふーん。確かに文系に理系の難しい式について聞くようなものなのかなぁ」
「まぁ、人間に関するとそんな感じ。あまりに衰退するのかわいそうだから
週末はお参りしてね」
「まじか」
これは丑の刻参りをした罰かもしれない。
ということは私のところを去るときにも衰退が来るってことだよね。
(案外、この子、迷惑な存在かもしれない)
「繁栄するって話聞いたけどあなたが家にいるとどうなるの?」
「お金は入ってくるよ。あと食糧かなぁ」
「衰退するってどのくらい」
「人より貧乏になるよ」
ざっくりとした答えにため息が出てくる。金額とか数字とかには疎いらしい。
「そうなんだ。よっし! 貯蓄しよ」
「んー疲れた。遊ぶー」
集中力が切れたらしく、バタバタといろいろな場所を開けたり、閉めたりしている。
「んで、あの神社様のお供え物って何がいいの」
「んーお酒?」
「でしょうね」
「うん。今日は寝るね」
クローゼットの扉を開いて中に入ろうとしている。
「明日は良いことあるよ」
明日は仕事だ。
「お弁当は必要ないよ。誰かがおごってくれるから。それより明日はおしゃれに気を使っていった方がいいよ」
「えっ」
「好きな所に連れて行ってもらえるから。んじゃおやすみ~」
「お、お休み」
幼女はクローゼットを閉めてしまった。
「おごってもらえる? おしゃれ?」
最近は心当たりがない。
しかし、神様の言うことだ。初めの3回位は信じてみよう。
肌の手入れとネイルと、コーディネイトを考えてみよう。
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