イエローゼラニウム~あの日、あの場所で~

@ayuayu728

第1話

あの日、あの場所で出会えた奇跡。余命宣告された僕に一筋の希望を与えてくれた。


僕は普通の男子高校生だった。少なくとも、自分ではそう思っていた。普通に生まれ、普通に進学し、普通に結婚して死んでいくものだと考えていた。神様はイジワルだ。普通の人生を過ごすはずだった僕にこんな試練を与えたのだから。


「奏響くん、あなたの余命はあと1年です。」

「そんなっ…」

そう言って崩れ落ちたのは僕じゃなくて母だった。僕はと言うと、何を言われたのかわからなくて病院らしい消毒液の匂いを感じていた。確かに最近不調なことが多くて、心配だからと言われ病院に来たが、そこで余命宣告されるなんて誰が考えるだろう。

「先生っ、治す方法はないんですかっ?」

母が必死に訴えている。それに対して先生は少し目を伏せたあと、

「今の技術では難しいかと…」

そう言われ、崩れ落ちる母。それを見て、僕はほんとに死ぬんだと感じた。

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