死神と呼ばれた僕と君
翌朝、僕は昨日の彼女の言っていた浅倉という男を探すことにした。組織の命令ではなく自分の意思で。
彼は、有名人だからな自宅も個人情報も簡単に集められた。
「ふーんささっと終わらせますか。」
僕はいつもの様に、家に入り気配、足音を立てずに進んでいく。
「何もないただの部屋?」
何もないあたり一面真っ白い部屋…
「…ふーんここから行けるのか。」
どうやら壁に地下への通路を隠していた。僕は沢山の人を殺したりしている関係上、異様に勘が冴えている。その為今回の隠し通路も見つけられたというわけだ。
「地下で研究とは、なかなかやりますね。」
そして一歩一歩進んでいく。声がかすかに聞こえて来る。
「くくく…こ…れで…と…も」
途切れ途切れで聞こえて来る。
そして最後の階段を僕は降りターゲットを最速で探し最短で殺す。
「ふーん、お前こんな事して楽しいの?」
「だ、誰だお前は…」
僕は、瞬時に浅倉の背後に忍び寄り言葉を投げる。すると彼は、笑い出した。
「残念だけど、お前の方が立場的にピンチな様だ…」
「……」
辺りを見渡すと、僕の四方に大量の人がいる。
「ふーん、それで僕を止められるとでも思っているのかな!」
喋り終わりと同時に僕は、走り出し一番近くにいた奴を殺した。
僕は、殺した奴の顔を一瞬見たが…
な、なんだ、全員昨日の人?
よく顔を見ると昨日迷っていた僕の拳銃を盗み自殺した女の子にそっくりな物が、50、150…
「驚いただろう?俺の研究は、クローンだ!じゃあお前は、もう死んでくれ。」
クローンだと‼︎今の時代そんなことが、
浅倉が言い終わった瞬間クローン達は、銃を一斉に撃ち始めてきた。
「くっ…」
流石の僕でも一斉に撃たれては、避けきれない…だが…ずっと撃っていればいいわけではない。集中しろ。
『目線と殺気』撃つ瞬間に見れば弾丸は予測出来る。
僕は、リロードをしているクローンから雷光の様な速さで詰め寄りナイフで切る。クローンを切った感じ血が出ている人間そっくりに作られているみたいだ。悪趣味な男だ。
拳銃とナイフ両方を使いながら 一体また一体と確実に処理しているが無数に出てくるクローン。
「キリがないな。」
「…?」
弾丸を交わしながら逃げている最中に異様な程に雰囲気の違うドアを見つけた。
「とりあえず入ってみるか。」
ドン
ドアを蹴り無理やり開け中に入り、近くにあったもので簡単にドアが開かない様にした。
「ふーんこの部屋は?」
やはり明らかに雰囲気が違う部屋。
「…?」
足元にはコードが沢山敷いてある。
何か重要な機械がこの部屋にはあるのか?
一歩一歩ゆっくりと、進んでいく。
ドン
何かにぶつかった音が聞こえた。俺は、持っていた携帯でライトをつけた。
「…‼︎」
2mある人でも中に入れるほどのデカさの機械がそこにあった。
そして、女の子が一人入っていた。見た目は、クローンと同じ顔、体型…
「…!」
もしかしてこの中に入っている女性が本物?
ドン ドン
「クソ…」
鈍く重い音が部屋に響く。
「迷っている暇がない。」
コードをナイフで切り回路が機能しない様にし、ガラスの中に入っている女の子を助ける為に拳でガラスを割った。多少女の子に傷がついてしまったが、致命傷な程ではない為後回しだ。僕は、お姫様抱っこをして女の子を持った。もちろん武器は使えない…極力戦闘は避けたい。
「あとは、逃げるだけだが……」
「⁉︎」
「緊急停止…緊急停止…。」
いきなりクローンが話し始めた。
緊急停止?今が逃げる最大のチャンスだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
僕は、気がつけば息が切れるほど全力で走っていた。
「なんとか…逃げれたのか?」
とりあえず今は、家に帰るしかない。
考えている暇もなくただ男は、走り続けた…
「ここは…?」
「やっと起きましたか。」
「え、えぇ」
「貴方は、クローン生成装置で眠らされていたので無理やり破壊し、僕の家まで連れてきました。」
「あぁ、私の名前は、浅倉マーシャ。貴方の名前は?」
「…」
名前…いつも死神と呼ばれた。子供の頃にいた組織の教育者にはNo.1445としか呼ばれていなかった。生まれた時から名前なんて贅沢なものはなかった。
「ミーシャ…。」
名前で呼ばれたことなんてない僕だったけど…咄嗟に出てきた名前が『ミーシャ』だった。『ミーシャ』自分の中でスッと入ってきた言葉だった。
「そう…ミーシャって言うのね。」
「君は、ハーフなのか?それに浅倉って事はあの有名な…」
「えぇ、そうよ。」
先程から彼女の瞳にハイライトがなく、明日を生きる事も考えてないような…気がした。
「母は、父に殺されたわ…私は、逃げたけど変な装置に入れられてそこから記憶がないわ。」
「僕は、これから君の父を殺しに行く。君はどうしますか?」
「どうするって?」
「僕と一緒に行くか、ここでまだ待っているか…」
少し間を空けてから僕は…
「それか、今ここで君は僕に殺されるか。」
「君の瞳や、表情には、明日を生きるという希望が感じられない…そんな人を一緒に連れて行っても邪魔になるだけです。」
僕がそう伝えると彼女は、数秒悩んだ後答えた。
「私は…死にたいの、沢山の人に勝手に期待させられ出来なかったらみんな消えて…出来たとしてもあの浅倉の娘なんだからこれくらい出来て当然だなって言われる。その繰り返しをずっと続けてきたわ。だからもう嫌なの。でも…母を殺した父だけは許さないだから…父を殺しに私も一緒に行く。その後で私を殺して。」
有名な人の娘であるが故の期待…それが彼女には重かったみたいだ。
「ふーん、わかりました。僕と一緒に父を殺しに行きましょう。その後で貴方を殺します。だから僕以外の人に殺されたら怒ります。貴方を殺すのは、この地球で一人僕だけですから忘れないでください。」
「そう…ありがとう。忘れないでおくわ。」
彼女の瞳に先程と違って光が見えた。
「ただ、父を殺しに行く前に貴方の服を買いましょう。」
「私、お金持っていないのだけれど…」
「大丈夫です。衰弱して死んでも、使いきれないほどの量のお金があります。」
「ど、どれだけあるのよ…」
「僕も数えたことがないですからね…さぁ早く行きましょう。」
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