FINALSTAGE.Heart
出て来たのは『FINALSTAGE.Heart』というテロップ。
「お……、おお!」
遂に最終ステージだって!? 正直さっきのステージで心が折れかけていたから、ゴールが目の前と教えてもらえるのはありがたい! もう一踏ん張り、頑張るぞ!
そんな僕の目の前に広がるのは、先程と同じような赤黒い空間。違いは足元が赤黒い液体で満たされている点くらいか。
その風景の中現れた敵は中央が凹んだ赤い円盤にコアを囲まれている。ちょうどさっきのステージの雑魚敵の攻撃と同じような。
コアが包まれている……、嫌な予感がする。とにかく相手に向かってレーザーを打ち込んでみると、五発でようやく溶け崩れ落ちていく。
「
テンポが重要なシューティングにおいてこれはキツ過ぎる! いよいよ鬼畜度も極まってきたな!
対する相手は、赤い液体をブシャアッと吐き出してくる。これが散弾じみて躱し
「マジかっ!」
今度の弱体化は緊急回避のクールタイム! またも見透かしたように的確な足の引っ張りをしてくる! なす
キツい。ものすごくキツい。液体を吐き出すスタイルの攻撃だから、射程が短いように見えて細かい
結果、予定外の被弾が
せめてスピードがあれば一気に走り抜けるとかが出来る。せめて火力があれば撃たれる前に倒せる。せめて緊急回避が自由に出来れば大事を取った回避が出来る。
その全てが奪われている。どんどん怒りが高まり、気が付くと虚無の方に振れ始めている。もう一踏ん張り! とか浮かれていた自分の姿を脳裏に映して冷ややかに見詰める自分がいる。
むしろその境地が良かったのだろうか。進んでは死に、死んでは進むのデスマーチを何処か他人事のようにぼんやり進めている内に『BOSS STAGE』のテロップが現れた。
ぼんやりしていたところに気を入れ直し正面を睨む。現れた『GOD:K』は、
「最後はシンプルだな」
何本も壁から伸びる太い管によって宙に固定されただけの、後は何も付いていないスキンヘッドだった。今までに比べたらまぁ無茶苦茶な造形はしていてないが、脈打つ管が妙に生々しくて生理的嫌悪感は一番かも知れない。
『GOD:K』はブルリと大きく身体(顔)を震わせた。その振動が管を伝いステージの水面に伝わり、奴を中心にして波紋が広がる。
勘だがこれは当たったらダメージがあるやつだ。ジャンプで跨いでやり過ごす。細かい波紋が何度も来るので、細かくジャンプを挟むか一回で幾つか纏めて躱してしまうのかの判断が重要になってくる。
しかしこれは淡々とこなして行けばなんとかなりそう、そう考えて足元ばかり気にしていると、スキンヘッド本体が唇を尖らせる。
「なんだ?」
すると、
『チュッ♡』
うわっ! あいつハート型の投げ(?)キッス飛ばして来やがった! 最悪だ! これだけは被弾したくない! HP関係無くメンタルが一撃必殺だ! これこそ『絶望のシューティング』だ!
しかしこれが罠。ハート弾を躱そうとすると足元が疎かになるだけでなく、自分の位置を動かすことになり波紋との距離感が変わってしまう。するとハート弾に被弾するよりマシという心理もあってついつい被弾してしまう。
「この、この……!」
気持ちもクリアすることより『意地でもハート弾にだけは被弾しない』に切り替わるので、攻撃が疎かになって中々終わりが見えない。これは参った……。
だが一応物理的には心が折れる難易度をしていない。希望を持ちつつジリジリ続けていると遂に!
『GOD:K』を繋ぐ管が全てブチブチと千切れ、オオオオオオン、と謎の呻き声と共にスキンヘッドが水面に叩き付けられる。
「やった!」
『STAGE CLEAR』のテロップが出て来て、晴れてANNRAKU完全攻略だ!
さぁ! スタッフロールよ僕を祝福しろ! と愉悦と余韻に
『エキストラステージ ヲ プレイ シマスカ?』
……なんだって?
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