第7話 春の訪問者
アニータは、その日、ガーランド公爵家の中庭で兄と母とお茶会をしていた。
春の日差しは暖かく、心地いい風が頬を撫でる。侯爵家の中庭には、様々な花が植えられている。色とりどりの花は、これからの出会いと期待を連想させる。
なのに、アニータは、、、、
美しい花を見ながら、別れた愛しい夫の事を思い出し、アニータは涙ぐんだ。
そんなアニータを見て、母は言った。
「まあ、まだ辛いのね。アニータ。」
兄もアニータに言う。
「それにしても、本当に離婚するとは。ロビンは離婚したくないと言っていたのだろう。」
アニータは言った。
「でも、私は愛されていないわ。ロビンには、私よりお似合いなクリスティーナがいるのよ。」
その話を聞いた母は、少し顔を顰めて言った。
「その事だけどね。貴方はあの人からなにか聞いていないかしら?結婚前にロビンについて公爵家も調べていたのよ。あの人が、クリスティーナについてアニータに伝えると言っていたはずだけど。」
アニータは不思議そうに母に言った。
「お父様が?いいえ、なにもお聞きしていませんわ。」
母は、言った。
「おかしいわね。あの人まさか、、、、」
兄は、母に言う。
「まあ、アニータの事を溺愛していますからね。父なら、なにかしそうですよね。」
そんな二人をアニータは不思議そうに見ていた。
そこへ、来客を告げられた。
ロビン・グリセンコフ侯爵が尋ねて来たと言うのだ。アニータに会いたいと言っているらしい。
母と兄が心配そうにしているが、アニータはロビンと会う事にした。
クリスティーナがグリセンコフ侯爵家に来た時は、アニータは酷く取り乱してしまっていた。ロビンには、せめて元妻のできるだけ美しい姿を記憶に残して欲しい。
今日は、アニータが元気になるようにと、身だしなみも髪も公爵家の使用人達が念入りに整えてくれている。
最後に笑顔で別れを告げるのよ。愛しい人に。
アニータは使用人へ言った。
「お通ししてください。」
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