第4話

今日は、特に何も起こらず平和な一日になりそうだと思っていた矢先の出来事でした。

突然、警報が鳴り響きました。

私は、慌てて現場に向かうと、そこは、ショッピングモールだった。

モール内には、多くの人がおり、その中には子供もいました。

私は、まずは避難誘導を行います。

それからしばらくして、警察が到着して、犯人の確保を行うことになります。

「落ち着いてください!すぐに拘束するので少々お待ちください!」

私は、犯人にそう呼びかけるが、犯人は全く聞く耳を持たずに暴れまわっていた。

私は、仕方なく魔法で動きを止めようとしました。しかし、その時でした。

犯人がどこからか銀色のアタッシュケースを取りだし取っ手についたスイッチを押した瞬間、赤く血走ったような色をした大きな刀が出現した

明らかに箱の中に入らないような刀だが、それは問題なく取り出され、その刃を私に向ける 私にはそれがスローモーションに見えた。

私は、回避行動をとるが間に合わず、腹部に強烈な痛みを感じた。

あまりの激痛に意識を失いそうになるが、何とか持ちこたえることができた。

「こいつ....ただの暴徒じゃない....旧魔法省の局員か!!」

現在ある魔法省は元々あったではなく、魔法対策省という省庁を解体して作られた省庁で今の魔法省と違う点は使う武器にある

今の魔法省は

、今は、その解体前の部署に所属していた人たちが所属している部署が残っているだけである。

私は、そのことを思い出すと、犯人の拘束を諦め、犯人に投降するように呼び掛けたが犯人は無視して襲ってきた。

私は犯人の攻撃を避けながら、犯人の動きを観察していたのだが、犯人はまるでゾンビのように生気を感じさせない攻撃をしていた。

私は、その攻撃を何度か受けてしまう。私は、このままでは負けてしまうと思い、反撃に出る。

私は、犯人に向かって、火球を数発放つ。

すると、犯人はそれを防ぐことができず火だるまになるはずだった……

しかし、犯人には効かなかったのだ……それどころか、傷一つついていなかった。

私は、魔法が通用しない相手だと分かると、今度は接近戦を仕掛けることにした。

私はもしものために持ってきていた鎧型魔道具を起動する

この鎧型は、魔法に対する耐性が高いため、この鎧型を使えば、多少なりともダメージを与えられると思ったからだ。

予想通り犯人に効果的で一気に攻勢逆転、相手の魔道具を壊し、無力化することに成功した。

私は、これで終わりだと思い、油断していたのだろう。

背後からの不意打ちをくらってしまった。

私が振り向くとそこには先ほどまでとは明らかに雰囲気が違う人物がいた。

おそらく、こいつがリーダー格なのだろうと私は思った。

私は、すぐに立ち上がり、戦闘態勢に入る。しかし、私の体は限界を迎えようとしていた。

そのため、私は短期決戦で決めることにした。

私は、シェケナーの出力を上げていく。出力を上げるにつれて鎧が赤黒く変色していき、さらに禍々しいオーラを纏うようになった。

その光景を見て相手は、恐怖を覚えた。

私はアラタ改を起動し攻撃を仕掛ける。

私は、敵に肉薄し、大剣を振るった。

敵はそれを受け止めようとするが、私の持つ大剣はそんなことで受け止められるようなものではない。

敵の持っていた剣ごと両断したのだった。

敵のリーダーらしき人物は、真っ二つになり、絶命した。

私は、そこで緊張の糸が切れてしまったのか、その場に倒れ込んでしまった。

目が覚めると見慣れない天井が目に入った。ここはどこだろうか? 私は起き上がり辺りを見渡すとそこには見知らぬ男性の姿があった。

彼は、私が起きたことに気づくと、こちらにやってきた。

彼は私にこう言った。

「君のおかげで助かったよありがとう。」

私は、なぜここにいるかを思い出した。

そういえば、私はあの後気絶してしまったんだ。

私は彼にお礼を言う。

「いえ、気にしなくていいですよ。」

それよりもあなたは大丈夫ですか? 私は自分の体を確認する。どうやら怪我は治っているようだった。

はい、もう大丈夫です。

「それはよかった。よくあんな敵を倒せるよね、」



「まあ、それなりに鍛えているものですからね。ところであの人は?」

私はもと魔法対策局員彼のことを尋ねた。

「ああ、彼なら今頃事情聴取を受けているんじゃないかな。」

「そうなんですか……」

「それより君はこれからどうするつもりだい?」

「そうですね……退院したらとりあえず家に帰りたいと思います。」

そう言って私は立ち上がろうとする。

しかし、体に力が入らずそのまま倒れてしまう。

私は、また倒れることになるとは思っていなかったので少し驚いた。

やはりまだ本調子ではないようだ。

私はそう思いながらも何とか立ち上がることに成功した。

そして、私は退院申請をしようと歩き出そうとした。

しかし、足がもつれて転んでしまう。

私は、再び立ち上がる。

さすがにおかしいと思い、私は医者に診てもらうことにした。

私は、病院の先生に事情を話す。

すると、驚くべき答えが返ってきた。

なんと、私には魔力がほとんど残ってないというのだ。

私は驚きのあまり言葉が出なかった。魔力がなくなるのは魔法少女ならたまにあるのだがそれはすぐに回復するくらいの減りなのだが

私の場合は魔力機関を酷使しすぎために魔力が生成できない...という症状だった

この症状を発症した魔法少女の中には一生魔力が戻らない者もいるとのことだ。

それからしばらくして、私は入院することになった。

私は、しばらくリハビリと検査を行うことになった。

私は、病室に戻る途中、廊下の窓から外を見る。

そこには、たくさんの人が忙しく動き回っていた。

私はその光景を見ながら、自分がどれだけ大変なことに巻き込まれていたかを改めて実感したのであった。

私は、現在リハビリを行っている最中である。

しかし、なかなか思うようにいかない。


「はぁ……はぁ……全然ダメだわ。」

私は、息を整えながら言う。

すると、後ろから声をかけられた。

「頑張ってるみたいじゃないか。」

そこにいたのは、私の担当医だった。

私は、医師に尋ねてみた。

「ねぇ、あんまりうまく行ってないんだけど、本当に治るのかな……?」

医師はその質問に対して答える。

「今の君の状態じゃ厳しいかもしれないね。だけど諦めなければきっといつかできるようになるよ。」

私は、その言葉を胸に刻み込む。

「わかった。ありがとう。」

私はその後、毎日のようにリハビリに通い続けた。


「今日もダメか……。」

私は大きくため息をつく。

その時、扉を叩く音が聞こえる。

「はい、どうぞ。」

私が返事をする。

そこには一人の男性が立っていた。

私は見覚えのない顔だったので、誰なのか聞いてみることにする。

「あの、どちら様でしょうか?」

男性は私の問いに答える。

その男性の名は、田所 良介と言った。

田所さんは、魔導具の開発をしているらしい。

私は、何でこんなところにいるのかわからなかったので、もう一度訪ねることにした。

しかし、今度は田所のほうから話しかけてきた。

私は、その話を聞くことにし、耳を傾ける。

内容は私のことだった。

私に会いに来た理由は、私が保有しているアラタ改について聞きたかったからだそうだ。

私は、アラタ改について説明する。

それを聞いた田所は、私に興味を持ったらしく、ぜひ自分の会社に来てほしいと言ってきた。

私は、突然の話に戸惑ったが、やることもないのでついていくことにした。

私は、退院した後、田所に連れられ、とある場所に来ていた。

そこは、大きなビルのような建物であり、中に入るとそこには多くの人たちがいた。

私は、受付の女性に案内され、応接室に通された。

しばらく待っていると、ドアをノックする音と共に、一人の女性が入ってきた。

女性は、私に名刺を渡してくる。

私は、その名刺を確認する。

どうやら彼女は、この会社の社長だったようだ自己紹介を終えると、早速本題に入る。

話は、私の持つアラタ改についてのことだ。

私は、アラタ改を起動して見せた。

すると、社長は興味深そうに見つめる。

そして、私に声をかけてきた。

君さえよければうちで働いてみないか? 私は迷よってしまう

このまま魔力が戻らなければ、その道もありかもしれないが、今はそんなことを考えている場合ではないと思った。

私は、お断りさせていただきます。とだけ伝えて、その場を去った。

それから数日後、私は田所のいる研究所にやってきた。

私は、彼に自分が来た理由を伝える。

彼は、私の話を聞き、残念そうな顔をしたが、またいつでも来てくれと言うので、私はまた来ることを約束した。

私は、その後、仕事がひと段落ついたので、いつも通り病院に向かうことにした。

病院に着くと、私は田所に呼び出された。

なんでも、頼みたいことがあるらしい。

私は、その内容を聞く。

それは、ある人物の護衛だった。

どうやら、最近ここの近くに住み始めたようで、そこが危ないとの情報を入手した。

しかし、その人物はなかなか隙を見せないため、護衛を付けることができないようだ。

そこで、私に白羽の矢が立ったようだ。

私は、少し悩んだものの、引き受けることにした。リハビリにはもってこいだろう

幸いにも魔力はちょっとずつ戻ってきているため、戦闘になっても大丈夫なはずだ。

そして、私はその場所に向かった。

そこは、小さいが豪邸と言えるような一軒家だった。

どうやら、ここに住んでいるらしい

私は、田所から事前に情報を聞いており、すぐに察することができた。

私は、気を引き締めて中に入ろうとする。

その瞬間、いきなり魔法弾のようなものが飛んでくる。

私は間一髪避けることができた。

よく見ると、そこには一人の少女の姿があった。

見た目は小学生くらいの少女に見える。

その子は、こちらに問いかけてきた。

あなたは誰ですか? 私は、正直に答える。

「私は、あなたの護衛としてきました、郡菜上等魔法少女です」

すると、警戒心を解いたのか、攻撃をやめてくれた。

すると、奥から別の人が出てくる。

その人は、とても若い女性だった。

その人が、田所さんの言っていた依頼主であることがわかった。

私は、まず自己紹介する。

相手の名前は、天川 美波といった。

彼女の容姿は、とても綺麗なものだったが、どこか陰があるように感じられた。

私は、彼女に事情を説明する。

しかし、彼女はなかなか信じてはくれなかった。

そこで、私は実際に変身して見せることにした。

私は、変身し、見せてみる。

彼女は驚いていたが、とりあえず納得してくれた。

その後、田所のほうからも説明が入り、ようやく理解してもらうことに成功した。

私は、早速二人の警護につくことになった。

二人は、部屋に戻っていく。

私は、何かあった時のために待機しておくことにする。

私は、田所に連絡を取り、状況報告を行う。

田所からは、特に何もなかったので、そのまま待機していてくれという返事が来たので、私は言われたとおりにすることにした。

しばらくすると、田所から連絡が入る。

田所によると、特に何事もなく終わったとのことなので、私は安心する。

しかし、油断はできない。いつ敵が現れるかわからないからだ。

私は、引き続き警護を続けることにし、部屋に近づかないように言い聞かせておく。田所は、私の言葉に素直に従ってくれたため、私は少しホッとした。

私は、再び田所との連絡を取る。

田所からの話では、明日は外に出かける予定があるため、今日よりも厳重に警備するようにと言われた。

私は、それに了承した後、通信を切った。私は、窓の外を見つめる。

外を見ると、満月が出ていた。

私は、しばらく見惚れていたが、すぐに視線を戻す。

「ん?」

ふと、人の気配を感じ取る。

私は、すぐさま構えると、そこには一人の男性がいた。

どうやら、窓から入ってきたようだ。

その男は、まるで死神のような格好をしていた。

その手には鎌を持っている。

私は、すかさず臨戦態勢に入る。

「貴様!どこから来た!」

すると、男は答えた。

「俺の名は、死霊使いのザインだ。お前を倒しに来た」

そう言うと、彼は私に向かってきた。

私も彼に攻撃を仕掛ける。

しかし、彼の動きは速く、なかなか捉えることができなかった。私は、魔力を足に集中して、蹴りを繰り出す。

何とか命中したが、あまり効いていないようだった。

私は、さらに追撃をする。

今度は、拳を使い殴りつける。

彼は吹き飛ばされるが、すぐに体勢を立て直す。

それからは、激しい攻防が続く。

お互いに一歩も譲らず、お互いの攻撃を繰り出していく。

しばらくして、彼は突然姿を消した。

私は、警戒して周りを見回すが、どこにもいなかった。

私は、緊張の糸が切れたのか、その場に座り込む。

その時、後ろから声が聞こえた。

振り向くと、そこには護衛対象の天川親子がいた

「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」

私がそういうと、彼らはうなずく。

「ありがとうございます。おかげで助かりました」

天川が礼を言う。その顔には笑顔が戻っていた。

「いえ、当然のことをしたまでです」

私は、そう言って立ち上がる。

私は、二人に危険が及ばないように、魔法省管轄の病院に送り届けることにした。

病院に着く頃には、日が昇り始めていた。

私は、病院の外で待つことにする。

しばらくして、田所が出てきた。

私も挨拶をして、その場を去る。

田所は、私を呼び止めて、私にある質問をした。

君はいったい何者なんだ? 私は、彼に答える。

私は、魔法少女です。

そして、付け加えて言った。

あなた方を守るために戦う存在だと。

私は、自分の正体を伝えることができた。

これで少しは信用してくれただろうか。

私は、そんなことを考えながら、帰路に着いた。

私は、最近あることをしている。それは、上位魔法の練習である。

実は最近、少しだけだが上位魔法が使えるようになってきたのだ。

今はまだ、簡単な上位魔法しか使えないが、これから練習を重ねて、もっと上達させたいと考えている。

なぜこんなことを始めたかというと、ある日のこと、私は任務を終え、家に帰って休んでいた時に、ふと思ったことがあった。

私は、今までほとんど一人で活動してきたため、誰かと協力して戦ったことがない。

しかし、今後また一人で活動することになるかもしれないため、せめて前よりも洗練された戦闘技術だけでも身に付けておきたいと考えたからである。

そこで、まずは基本的なことから始めようと始めたわけだが、これが意外にも難しいものだった。

しかし、私は諦めずに続けている。いつかきっと役に立つと信じて。

ちなみに、私は田所さんと一緒に行動することが多いのだが、あの人は強いだけでなく、とても優しい人でもある。

いつも私のことを気にかけてくれている。だから、私はあの人を信頼し、一緒にいることが多い。

田所さんのほうも、私を仲間として受け入れてくれているため、私としても非常に心強かった。

そんなある日のことだった。

私は、この日も田所さんと二人で仕事をしていた。

その仕事というのは、とある施設の調査である。

調査の内容は、施設の警備システムの確認である。

私たちの仕事は、主に警備システムの点検を行うことがある。

今回もそれで、私たちはここに来ていた。

しかし、これは表向きの理由でしかない。本当の目的は別にあった。

今回は、敵のアジトを突き止めることになっている。

そのため、私と田所さんは、警備システムをわざと壊し、侵入しやすくする。

それからは、順調に進んでいき、ついに敵の拠点を発見することに成功した。

そこは、一見するとただの倉庫だったが、中には大量の武器や弾薬があった。おそらくここで、物資を調達していたのだろう。

私は、すぐに報告しようとしたが、少しだけ様子を見てからにすることにした。

私は、田所さんに相談してみる。

「どうしますか?このまま攻め込みますか?」

すると、彼はこう答えた。「そうだな……もう少し様子見するか」

「わかりました」


しばらくすると、異変が起きた。

急に、銃声が鳴り響き、悲鳴が上がる。

私は、すぐに飛び出して助けに行く。

そこには、武装した男達が何人も倒れており、その中には、警備システムを管理していたと思われる人物もいた。

どうやら、すでに制圧されていたようだ。

しかし、まだ終わってはいなかった。

奥の部屋から一人の男が出てきて、こちらに向かってきた。

「おい!貴様!よくも俺の部下をやってくれたな!」

男は怒りの形相を浮かべながらそう叫ぶ。

「人違いです」

そういうと、彼は懐に手を入れる。

取り出したのは拳銃だった。

私は、すぐに攻撃態勢に入る。

相手も私に向けて発砲するが、それをかわす。続けて撃ってくるが、それも避けた。

私は、反撃に出る。

魔力弾を撃ち込むが、相手の防御魔法によって防がれてしまう。

どうやら、かなり強力な魔法障壁を持っているらしい。

私は、さらに攻撃を加えるが、すべて無効化されてしまう。

それでも、何度も撃ち込むが、効果は薄いようだった。

すると、彼は突然笑い出す。

「クックック、やはりお前はいいな」

「どういう意味だ」

「そのままの意味さ」

そう言うと、彼は何かを取り出した。


それは、手榴弾のような物だった。私は、危険を感じて離れようとするが遅かった。

次の瞬間、爆発が起こり、周りを吹き飛ばす。

私も吹き飛ばされたが、何とか防御することができた。

しかし、それで終わることはなかった。

今度は、無数の銃弾が飛んでくる。

私は、慌てて回避したが、いくつか当たってしまった。なんとか体勢を立て直すことに成功する。

見ると、彼の手にはマシンガンのようなものが装備されていた。

私は、再び攻撃を仕掛けるが、簡単に避けられてしまい、逆にカウンターを食らう。

私は、壁に叩きつけられた後、地面に倒れる。

意識はあるが、身体中が痛くて動けない。

私は、彼に問い詰める。

なぜ私を狙うのか? その質問に対して彼が答える前に、別の場所から叫び声が聞こえてきた。

私はそちらを見ると、そこには天川の姿があった。

彼女は、必死に逃げようとしていたが、男たちに取り囲まれて捕まってしまう。

私は、彼女を助けようとしたが、足が動かなかった。

それから、私は彼女を人質として連れ去られてしまった。

私は、今危機的状況に陥っていた。

目の前では、先ほどの男が、彼女に銃を突きつけている。

私は、両手を上げて降伏の意志を示した。

しかし、それがいけなかった。

私が大人しく従ったことが気に食わなかったようで、逆上して怒号を浴びせてくる。

そして、彼女の頭に銃口を押し当てて、脅しをかけてきた。

私は.........仕方ない......秘密兵器を使うか

「MEAコア起動、フルドライブ!!」

私は、MEAコアの制限を解除し魔力ブーストを発動させる。

すると、私の身体が光り輝いた。

それと同時に、周囲の時間がゆっくり流れ始める。

私は、ゆっくりと男の背後に近づくと、剣を振り下ろして切り裂く。

次に、もう一人の男に接近し、同じように倒す。

二人を倒したことで、残りの二人は動揺しているようだったが、すぐに持ち直したらしく、私に向かって銃を構えようとした。

しかし、それよりも早く、私は接近して二人の武器を破壊する。

これで、残るは一人になった。

私は、最後の男のほうを見る。

すると、男は怯えているような表情を浮かべていた。

おそらく、自分よりも格下の存在だった人物が格上の存在になったことで恐れを抱いているのだろう。

すると、彼はいきなり逃げ出し始めた。私は、逃がさないように追いかける。

それから数秒ほど経った時のことだった。

逃げていた男が急に立ち止まると、こちらに振り向いた。

すると、突然銃を向けてきて、発砲してきた。

私は、咄嵯の判断で横に跳んで避ける。

「もうそんな銃じゃ私には効かないよ!」

私は、すぐに反撃しようと試みるが、その時違和感を覚えた。

なぜか、敵の様子がおかしかったのだ。

よく見ると、相手の持っている銃にヒビが入っていた。

私は、すぐに敵の攻撃の正体に気づく。

おそらく、奴の魔法によって武器の威力を上げる代わりに武器の強度を下げられたのだろう。

おかげで、銃を破壊してダメージを与えることができたわけだが、この程度なら問題はない。

私は、すぐに決着をつけるために相手に近づいていく。

しかし、敵は意外な行動に出た。

なんと、自爆したのである。

私は、すぐに対応してよけることができたが.....男は普通に巻き込まれてズタボロのぼろ雑巾になっていた

私は、とりあえず安心する。

今回は、相手が強かったし、それに油断していたこともあって追い詰められたが、次は負けないだろう。

そう思いながら、私はその場を後にした。

その後、アジトの制圧が完了したという報告を受け、作戦は終了した。

ちなみに、天川はというと、無事に助けられていて今は安静にしているようだ。

今回の件を受けて、私はさらに強くなることを心に誓ったのであった。

あれから数日が経過して、ようやく職場に復帰できるようになった

私にとっては久々となる仕事が始まる。

まず最初に行うべきことは情報の収集である。

そこで、私は部下たちに指示を出して街に出て情報収集を行った。

その結果、いくつかの事実が判明した。

どうやら、最近になってこの街では髑髏マスクにオリーブの葉が書かれた黒いマントを羽織った謎の集団による襲撃事件が相次いでいるらしい。

襲撃されている場所は様々であり、食料品店、レストラン、雑貨屋など、とにかく様々な場所で被害が出ているそうだ。

また、被害者の中には重傷者もいて、命の危険に晒されている人もいるとか……。

これに関しては、私も知らなかったことなので、少し驚いた。

というのも、最近は忙しくてニュースを見ていなかったからである。私は、その事件について詳しく調べるために、部下に調査を任せることにした。

それから数日後、部下が報告にやってきたので話を聞くことにした。

それによると、被害者の共通点としては、全員が女性ということだった。

そして、襲われた場所についても、やはり全て飲食店だったということだ。

ここまで聞く限りだと、何か目的があるように思えた。

そこで、私はそのことについて考えてみたのだが、なかなか答えが出てこなかった。

そもそもの話、何故こんな事件が多発しているのか分からないからだ。

犯人の目的が見えない以上は対策しようがない。

だからと言ってこのまま放置しておくわけにもいかないだろう。

私は、このことを上司に相談することにした。

すると、その話を聞いた途端、彼の顔が青ざめた。

まるで、恐怖を感じているような感じだ。

私が不思議そうな顔をしていると、彼は震え声で言った。

お前の考えている通りだ。あの連中の仕業に違いない。

私は、どういう意味なのか分からなかったので問い詰めた。

すると、彼は怯えながらも説明してくれた。

それは、ここ最近の出来事についてだった。

少し前まで、この街では殺人事件が起こっていた。

その事件の犯人は捕まったものの、共犯者は未だに捕まっていない。

それだけならばまだいい。1番隊が動くって聞いたし......死んだな、その共犯者。

しかし、この事件には続きがあったのだ。なんとその死体の一部が行方不明になっているのだという。しかも、それが女性の死体に限定されているという。

私は、それを聞いて背筋が凍るような感覚に陥った。

なぜならば、私の目の前にいる上司がそういった類の話を非常に苦手としているからだ。そんなんで魔法省の職員が務まるのか?

以前、彼がオカルト関係のホラー番組を見ていた時に、あまりに怖すぎて気絶してしまったことがあった。

それ以来、彼がこういった類のものを口にすることはなくなった。

もし、そんな彼が聞いたらどんな反応をするのか? 私は、恐る恐る聞いてみることにした。

すると、案の定彼から返ってきた言葉はこうだった。

あぁ……これは間違いなく奴らの犯行だよ。

それからしばらくして、彼は倒れた。

おそらく、精神的に限界だったのだろう。

私は、彼を医務室に連れて行った後、再び自分の席に戻った。

それからしばらくすると、上司が起き上がってきた。

彼は、先ほどとは打って変わって冷静沈着な態度で私にある提案をしてきた。

それは、この事件を解決するために特別行動班を設立するというものだった。

なんでも、この一連の事件はあまりにも不可解で、早急に対応する必要があると判断したようだ。

そのため、急遽特別行動班を設立し、そこに所属する隊員たちと共に捜査を行うことを決意したらしい。

私は、正直乗り気ではなかった。

しかし、上司の真剣な表情を見た瞬間、断ることができなかったのである。

こうして、私は嫌々ながら特別行動班に所属することになったのであった。

そして、その日から私は特別私は特別行動班の一員として動き始めたのであった。

最初は、情報収集と簡単な戦闘訓練が中心に行われた。

その間、私は同僚たちから色々な質問を受けた。

特に多かったのは、何故魔法省の魔法研究部に所属しているのかということだった。

私自身、その理由についてよく分かっていないのだが、なぜかこの部署に配属になったので仕方がない。

おそらく、上からの命令なので逆らうことはできなかったのだろう。

とはいえ、今の所は特に不満はない。

むしろ、ここでの日々はとても充実していて楽しいと思っているくらいだ。

そんなある日のことだった。

私は、ある人物に出会った。

その人物は、いつものようにフードを被っており、怪しい雰囲気を醸し出していた。

「えーと.....あなたは特別行動班に配属された人ですか?」話しかけてきたのは向こうからだったので、私も応じるように返事をした。

私は、名前を名乗り、相手の名前を聞いた。

相手の名前は、エルドレッド・マーカス。年齢は、見た目では判断できないがかなり若いようだ。

年齢を聞くと、どうやら14歳らしい。

ということは、中学生くらいか……。

私は、少しだけ驚いた。

というのも、中学生にしてはかなりしっかりしている印象があったためだ。

ちなみに、彼は現在14歳ではあるが、既に大学を卒業しているそうだ。

そのため、特例として今回の任務に参加しているのだという。

私は、彼に色々と話を聞いた。

そして、わかったことは彼が優秀な魔法使いだということだった。

聞けば、数々の魔道具を開発して特許を取得している天才なのだとか。

また、魔力量もかなりのものらしく、私よりも遥かに多いという。

彼の実力については、今はまだわからないが、いずれわかる時が来るだろうと思った。

そして、私は彼と別れると再び情報収集のために街へと繰り出した。

それから数日後、私はようやく犯人の正体を掴むことができた。

それは、被害者の女性の遺体の一部を奪っている髑髏マスクの人物たちがいるということだった。

その話を聞くなり、私はすぐに調査を開始した。

まずは、被害者の身元の確認だ。

私は、事件を担当している警官に連絡を取り、被害者について詳しく教えてもらった。

すると、驚くべきことがわかった。

なんと、殺された女性たちは全員、魔法学校に通う学生だというのだ。

私は、それを聞いて驚きを隠せなかった。

まさか、魔法学校の生徒が関係しているなんて……。

私は、更に詳しい情報を聞き出そうとしたのだが、残念なことにこれ以上の情報は得られなかった。

私は、仕方なく捜査を打ち切ることにした。

これ以上は、踏み込むべきではないと判断したからだ。

そう思った理由は2つある。

1つ目は、この事件には黒幕がいることだ。

いくら調べても情報が出てこないのはおかしい。

つまり、どこかの組織が動いているということになる

でもまぁ、十中八九あの仮面の組織だろうけど......


「あの……どうかしましたか?」

2つ目の理由だが、それは犯人についてだ。

犯人たちは一体何者なのか? これだけの数の若い女性を殺してまで何をしようとしているのか? そんなことを考えていると頭が痛くなってきたため、考えることをやめたのだ。

こうなった以上、特別行動班が動くことになるだろうし、任せておけばいいだろう。

私は、自分にできることをやるだけだ。

そんなことより、今は仕事に集中しよう。

私は、気持ちを切り替えて次の目的地へと向かった。

翌日、私は上司から呼び出された。

なんでも、例の特別行動班の初陣が決まったらしい。

正直、気が乗らなかったが上司の命令なので従うしかなかった。

それにしても、どうしてこんなに急に決まったんだろう? 私は、不思議に思いながらも上司の話に耳を傾けていた。

すると、彼はとんでもない命令を出してきた。

それは、私が単独で犯人たちのアジトに潜入しろというものだった。ふざけんなよお前!!

さすがにそれは無理だと抗議したが、結局聞き入れてもらえなかった。

上司曰く、お前ならできるとのことだ。

いや、そういう問題じゃないんだけどなぁ……。

私は、頭を抱えながら上司の元を去った。

それから数時間後、私はとある廃ビルの中にいた。

ここが、今回のターゲットである髑髏マスク集団の隠れ家になっている場所だ。

私は、事前に準備を整えてから突入することにした。

まず、私はとなりの建物の中にある全ての部屋を確認した。

その結果、隠れられるような場所はどこにもなかった。

次に私は、建物の屋上に向かった。

そして、そこから周囲を見渡してみた。

しかし、それでも怪しい人物を見つけることはできなかった。

そこで私は、一度建物内に戻ってみることにした。

すると、あることに気づいた。

この建物の裏口に当たる部分に小さな扉があるのだ。

私は、その扉を開けてみるとそこには地下に続く階段があったのである。おそらく、この先に何かあるのだろう。

私は、ゆっくりと階段を降りていった。

しばらく降りると、大きな空間に出た。

そこは、まるで工場のようなところだった。

そして、そこに数十人の髑髏マスクを被った男たちがいたのである。

彼らは、私の方をじっと見つめながらニヤリと笑っていたのであった。

私は、警戒しながら彼らの方へ近づいていった。

すると、1人だけ他の者たちとは雰囲気が違う人物を見つけたので彼に話しかけてみることにした。

その人物こそ、今回の事件の黒幕であり、今回の任務の対象でもある男だ。

彼の名前は、ジャック・スミス。年齢は25歳くらいだろうか。

彼は、とても若い感じがする。

しかし、見た目とは裏腹にかなり強そうなオーラを放っているように思えた。



「ほう……君は、魔法省の人間だね」

「はい……今回の件について話を聞かせてもらいたいのですが……」

「断ると言ったらどうするつもりだ?」

「その場合は、力づくになりますかね」

「ふっ……面白い。ならば、俺と勝負してみるか?」「望むところです!!」

こうして、私は彼と戦闘することになった。

戦いが始まると、彼はいきなり攻撃してきた。


「アイスバレット!」

氷の弾丸が飛んできたので、私も対抗するように炎の弾を放った。

すると、お互いの攻撃が相殺されてしまった。

私は、すかさず攻撃を仕掛けようとしたが、向こうの方が早かったようだ。

「ダークショット」

闇の塊のようなものがこちらに向かってきたので、咄嵯の判断で回避した。

危ない……今のは当たってたらヤバかったかも。

その後も、魔法を撃ち合ったがどちらも決定打を与えることができなかった。

私は、このままではマズイと思い、一気に決めることにした。

「鎧魔道具、起動!」【ヴェアヴォルフS+レート】を纏った状態で彼に突っ込んでいく。

「ちくしょう!あいつ鎧持ちかよぉ!!あの野郎聞いてねぇぞ!!」

彼がそんなことを言っていたが気にせず刀を振り下ろしたが、ギリギリのところで避けられてしまった。

その後、再び距離を取ることになったのだが、今度は逃さない。

私は、すぐに彼の元まで駆け寄り、右腕を掴んだ。

「捕・か・ま・え・た♡」すると、彼は必死に抵抗し始めたが、もう遅い。

そのまま、勢いよく地面に叩きつけた。

ドゴォーン!!! ものすごい音が鳴り響いたが、なんとか倒すことができたみたいだ。

「!!!.....もう倒されたんですか!!」

「?あぁ、3課の人ですか?後処理をお願いします」

私は、そう言ってその場を離れた。

本当は、もっと詳しく聞き出したかったけど仕方がない。

そんなことより、早く本部に戻らないと……。

私は、急いで来た道を戻り始めた。

まさか、あんなにあっさり終わるなんて思ってなかったな〜。

でもまぁ、とりあえず終わったからよかったかな?…………ん?なんか忘れてるような気がするようなしないような?うーん……あっ!!そうだ!! あの廃ビルの中にまだ始末し忘れた奴が残ってるんだった!! 私は、慌てて引き返すことにした。

そして、先程の場所まで戻ってきたのだが……。

あれれぇ〜おかしいなぁ……。

そこには、誰もいなかった。

私は、周囲を見渡したがやはり誰の姿もなかった。

どういうことだ?一体どこに行ったんだ? 私は、不思議に思いながらも廃ビルから出て行ったのであった。

次の日、私は上司の元へ呼び出されていた。

昨日のことについて報告するためだ。

正直、あまり良い結果とは言えないので憂鬱である。

だが、行かないわけにはいかないので渋々向かうことにする。

コンッコンッ 私は、ノックをして扉を開ける。

中に入ると、既に何人か集まっていた。

その中には、特別行動班のメンバーもいた。

全員が揃ったところで、いよいよ話し合いが始まった。

まず最初に、上司が今回の事件についての説明を始めた。

それによると、髑髏マスク集団の目的はこの国の支配だということが分かったらしい。

つまり、彼らはその第一歩として魔法省の上等魔法少女たちから殲滅しようということらしい

そのため、私は狙われることになったのだ。特等はさすがに強すぎるのかな?

また、彼らはまだ他にも多くの仲間がいるらしく、これからさらに襲撃してくる可能性が高いとのことだ。

そこで、私はしばらくの間自宅待機になった。

はっきり言ってめちゃくちゃ嫌なのだが、そういう訳にもいかなかったので仕方なく従うことにしよう。

というわけで、私は家でゴロゴロすることにしました。

しかし、ただ待っているだけでは暇なので何かやろうと思った。

すると、突然インターホンの鳴る音が聞こえてきた。

宅配便とかが来たのだろうかと思ってドアを開けてみると、そこには見覚えのある人物が立っていた。

「アイちゃんと....フィーレア特等じゃないですか!どうしてここに?」

なんと、訪ねて来たのはアイちゃんとその父親であるフィーレアさんだった。

なんでも、私たちのことを心配して来てくれたみたいだ。

私は、2人を部屋へと招き入れた。

それから、しばらく雑談をしていたのだが、話が一段落したところで私は気になっていたことを質問することにした。

「前に人工MEAコアの手術を受けてから何か月か経ちましたけど、今はどんな感じですか?資格取れました?」

そう聞くと、彼女は少し嬉しそうな表情を浮かべながら答えた。

どうやら、無事に資格を取ることができたようだ。

その後、彼女の話を聞いているうちに時間が過ぎていった。

そして、夜になると私たちは近くのレストランで食事を取って帰ることにした。ハンバーグうまし

帰り道の途中、私はふと疑問に思ったことがあったので聞いてみることにした。

それは、彼が持っているアタッシュケースについてだ。

いつもは持っていないので、ずっと気になってたんだよねぇ。

私がそのことを尋ねると、彼女によるとこれは旧魔法省のころの魔道具の待機状態らしい。なんかかっこいいかも

本来は、旧魔法省に所属した際にもらえるものなのだが、彼は魔法省の古い倉庫に眠っていたものを譲り受けたらしい。

なるほどね。だから、彼だけ他の職員と違ってスーツじゃなくて白衣を着てるのか。旧魔法省の職員はスーツではなく白衣を着ていたらしい、なんでかわからないけどね。納得した私は、そのまま家に帰ったのであった。

次の日の朝、私は朝食を食べている時にテレビを見て驚愕していた。

「あの人帰ってきていたのか.......」

テレビには、魔法省で局長をしていた、元局長が映っていた。

モヒカン姿で........不良にでもなったのか?あの局長.....

局長の名前は有馬狭霧、有馬家現当主のボンボン......しかしその正体は実力派の筆頭で全盛期はSレート魔法師56人殺しのやべーやつ。

その後、彼の演説が始まり私はその内容を聞いていた。

彼が言うには、自分はもう過去の人間であり、今の時代は新しい世代に任せるべきだとのことだった。

まぁ、確かにそうかもしれないけども……。

その後も彼は色々と語っていたが、興味が湧かなかった私はチャンネルを変えることにした。

すると、ちょうどニュースをやっていたのでそれを見ることにする。

内容は、最近出没している髑髏マスク集団についてのものだった。

この国の支配を目論む謎の組織か……ほんと、厄介な連中が現れたものだ。

そんなことを考えていたが、あることが脳裏によぎった。……ちょっと待て、これでは、ほかの組織も動き出すのではないか?もしそうだとしたら、本格的にやばいことになるぞ。

私は急いで上司に連絡を入れることにしたのであった。

私は今、上司と共に警察庁の地下にある会議室にいる。

そこでは、先程から会議が行われていた。

議題はもちろん、髑髏マスクたちのことだ。

彼らは、現在日本だけではなく世界各地で暴れまわっている。

そのため、今後さらに被害が拡大する可能性が高い。

そこで、我々は対策本部を設置することになり、今日はその初会合というわけだ。

まず初めに、髑髏マスク集団のリーダーと思われる人物の映像を流された。

その男は、黒いローブを纏い仮面をつけており顔を確認することはできなかった。また、その男以外にも複数人がいて、彼らが髑髏マスク集団の幹部だということがわかっていた。

次に、髑髏マスク集団の目的について説明された。

彼らの目的は、この世界の支配。つまり、自分たちの理想郷を作ることだと言うのだ。

正直、何を言っているんだと思ったが、それが本当ならかなりまずい状況になるだろう。

しかし、ここで一つ疑問に思うことがある。彼らは何故こんなことをしようとしているのか? 彼らは、一体何者なのか?なぜ、このようなことを行っているのか?これらの謎を解くためには、やはり実際に接触する必要がある。

そこで、我々特別行動班に出動命令が下った。私と上司を含め10名の精鋭たちが選ばれることとなった。メンバーの中には、他課の特等方とフィーレア総隊長の姿もあった。

さすがに特等級の2人は必要ないと思うんだけど……まあ、仕方ないか。

2人の実力は本物だしね。それに、いざとなった時のために待機しておいてもらった方がいいかも知んないし。

その後、私たちは作戦についての説明を受けた。

今回の任務の内容は、髑髏マスク集団のアジトに潜入し、その全貌を暴くというものらしい。

また、今回潜入するのは私たちだけでなく、警察の中でも腕利きの者たちが派遣されるとのことだ。

最後に、今回の任務で死んだとしても一切責任を取らないとことだ。

それを聞いた私は、少し不安になった。しかし、それと同時にワクワクしていた。

それは何故かって?決まっているじゃないか。この作戦で得た魔核は私の好きにしていいそうだ。

やったぜ。私は、他の特等方やフィーレア総隊長と一緒に車で現場へと向かった。ちなみに最終作戦で古巣のアインザッツグルッペンも参加するらしいから荒れるなこれ。まぁ敵が死のうが私には関係ないんですがね。現地に着くと、私たちは早速準備を始めた。

と言ってもほとんど終わりかけていたが。

だって、もう敵のアジトは目の前にあったし。

「まさか、ここまでとは……」

隣にいた特等の1人である天堂さんが呟いた。

私は、彼女の言葉を聞きながら眼前に広がる光景を眺めていた。

そこには、巨大な城があった。

私たちは、事前に渡されていた地図を頼りに目的地へと辿り着いたのだが、そこは山の中ではなく立派なお屋敷だった。

「これは、どう見ても大型マンションだな」

「ああ、しかもここはかなり広いぞ。下手したら敷地が東京ドーム3個分くらいはあるかもしれんぞ」

他の特等も困惑した様子で話していた。

確かに、こんなところに拠点を構えているんか.....ていうかなんで見つからなかったんだよ。私は、そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。

振り向くとそこには、白衣を着た男が立っていた。

「あなたたちは、魔法省の方ですね?ようこそいらっしゃいました。私は、このアジトの管理を任されています有馬松里です。以後よろしくお願いしますね?」

そう言って彼は微笑んだ。その笑顔に一瞬ドキッとしたがすぐに冷静に戻った。

なんか、見た目とか雰囲気が局長に似ている気がするけど気のせいかな?

私は、彼に案内されてそのままアジト内に入った。ん?なんかおかしくね?

中に入ると、豪華な家具が置かれていたり、美術品なども飾られていたりとかなり凄かった。

中を見回っていると、ある部屋の前で立ち止まった。

そして、彼は扉を開けて中に入るように促してきた。

私が中に入り他のメンバーも続いて入って行った。

すると、中には先客がいた。

私は、その姿を見た瞬間に固まってしまった。

そこに居たのは、髑髏マスクを被った女性だった。

彼女は、私を見てニヤリと笑った。

私は、冷や汗を流しながらも平静を保つことに成功した。

それから、私は彼女と会話を交わした。

彼女の名前は『アリス』。

髑髏マスク集団の幹部であり、このアジトの責任者であるとのことだ。

その後も色々と話をしたが、正直何を言っているのか理解できなかった。

しかし、彼女が言うには髑髏マスク集団は、元々私たちと同じ組織に所属していたということが伝えられた。裏切り者じゃん。始末しなきゃ

私達は驚きを隠せなかったが、同時に納得もしてしまった。

何故なら、彼女からは異様なオーラを感じていたからだ。

恐らくだが、この女は特等級に匹敵するほどの力を持っているだろう。

だからこそ、私は彼女に質問をした。

「貴方の目的は何ですか?どうして、このようなことをしているのですか?」

私の問いに彼女は答えてくれた。

それは、あまりにも衝撃的な内容であった。

髑髏マスク集団の目的。それは、この世界を支配をして自分たちの理想郷を作ることだというのだ。前に聞いたけど。

正直、何を言っているのか全くわからなかった。

しかし、それが本当なら非常にまずい状況になるだろう。何せ、既に世界中で被害が出ているのだから。

私は、何とか彼女を説得できないかと試みたが無駄に終わった。

結局、私たちは戦闘態勢を取ることになった。

前衛は鎧持ちの特等方が担う。後衛はフィーレア総隊長率いる他の特等が担当する。

また、私の役目は遊撃隊として動くことだ。

私は、いつでも動けるように準備をしていた。

その時、部屋のドアが開かれた。

そこから現れたのは、髑髏マスクを被った男達だった。

彼らは、私たちに襲いかかってきた。

私は、咄嵯の判断で剣を抜き放ち彼らを迎え撃った。

しかし、彼らの動きはとても速く攻撃を当てることができなかった。

しかも、相手の方が人数が多く徐々に追い詰められていった。

このままではマズイと思った私は、他の特等たちに援護を要請しようとした時、 突然、壁を突き破って何かが現れた。

それは、巨大なドラゴンのような生き物だった。否ドラゴンの姿をもした生物兵器だ。

その後ろから、更に2体の怪物が姿を現した。

1体は、全身が真っ黒な毛で覆われており、顔には大きな傷跡があった。

もう1体も同じく黒い体毛に覆われていたが、こちらは背中から翼が生えていた。

どちらもかなりの巨体を誇っており、

明らかに人間ではないことが見て取れた。

私たちは、いきなりの事態に混乱していたがすぐに落ち着きを取り戻して臨戦体制を取った。

特等たちもそれぞれの武器を構えていた。

私は、他の上等がやられる前に自分が突っ込むことにした。

そして、真っ先に攻撃を仕掛けてきた漆黒のせ型のモンスターを斬りつけた。

すると、斬撃が当たった場所が黒く変色しそのまま消滅した。

それを見た私は、思わず絶句した。

え?これ勝てるんじゃね? そう思ったのか特等方は、次々に攻撃を繰り出していき次々と敵を屠っていった。

その様子を見ていた私はは唖然としていた。

まあ、無理もないよね。だって、特等方が通った後は死体しか残らないんだから。

私は、あまりの出来事に呆気に取られてしまったが、すぐさま気を取り直して目の前にいる敵に意識を向けた。

さっきの攻撃を見る限りだと、あの敵はかなり強いと思う。

それに、まだ他にもいるかもしれないし油断はできない。

そう思いながら私は、敵の懐に飛び込んでいった。それからは、一方的だった。

特等の方々がどんどん倒していき、残りが1人になったところで私はその人物に話しかけた。

私は、彼に何故こんなことをするのかと問いかけると、彼はこう答えた。

彼は、自分の力を試したいだけだというのだ。

確かに彼の力は凄まじかった。

私でも、まともに打ち合うことができないほどの強さを持っていた。

ただ、それでも私は負けるわけにいかないのだ。

私は、彼に向かって剣を振り下ろした。

すると、彼は素手で受け止めてしまった。

私は驚愕したが、そのまま押し切ろうとした。

しかし、彼が手を離すと私は吹き飛ばされてしまった。

壁に激突してしまった私は、痛みに耐えながらも立ち上がった。

それからも、何度も挑んで行ったが全て返り討ちに遭ってしまった。

流石にこれ以上はまずいと思い、特等は撤退命令を出した

私以外の上等は全員撤退し、私はどの彼と対峙することになった。

正直、勝ち目は無いに等しいがやるしかない。

私が覚悟を決めて剣を構えると、彼は私に興味を失ったのか背を向けて歩き出した。

どうやら見逃してくれるようだ。

私はホッとしたと同時に、ある疑問を抱いた。

何故、私を殺さなかったのだろうか? 普通なら、確実に殺しに来ていたはずだ。

私は、そのことを問い質そうとしたが、彼は既に姿を消してしまっていた。

私は、しばらくその場に立ち尽くしてしまった。

しかし、いつまでもここに居る訳にも行かずに私は、仲間と合流すべくその場を後にした。

その後、私たちは無事にアジトを脱出し本部に帰還したのであった。

帰還してから数日後、私達は会議室にいた。

そこには、フィーレア総隊長を始めとした各隊の特等たちが揃っていた。

全員が揃ったことを確認した私は、早速会議を始めた。

議題はもちろん先日の件についてである。

まずは、フィーレア総隊長が話し始めた。

彼は今回の件の首謀者と思われる髑髏マスク集団の幹部と思わしき女と戦闘を行ったらしい。

その結果、特等級の上等数名とフィーレア総隊長を含めた数人の特等が死亡したそうだ。

私は、フィーレア総隊長の話を聞いて愕然となった。

まさか、そこまでの戦力を有しているとは思ってなかったからだ。

次に、髑髏マスクの男がどのような力を持っているのかを話し始めた。


男の能力は、自身の肉体を別の生物に変化させる能力だということが分かった。

また、変身できるのは自身だけじゃなく他者にも及ぶことができるらしく、 更には、複数の生物の能力を使うことができるのだという。

私は、そんな馬鹿げた能力を持つ存在がいることに驚きを通り越して呆れてしまった。

しかし、これで髑髏マスクの男の目的が何なのかが分かった。恐らくだが、この世界を支配することだろう。

私は、それを聞いた時にある考えが浮かんだ。それは、もし仮に奴らの目的が達成された場合の世界だ。

まず間違いなく人類は滅びてしまうことになるだろう。

そうなってしまえば、私の夢も潰えることになるため絶対に阻止しなければならない。そのためには、何としてでも奴らを倒さなければならないのだが、現状では打つ手がない。

そこで、私は特等たちに協力を要請した。

彼らは快く了承してくれたので、私は感謝の言葉を述べた。

そして、これからの方針を話し合い解散することとなった。

私は、自室に戻りベッドの上に寝転がった。

「今日も色々とあったなぁ〜。」

私は、天井を見つめながら今日の出来事を思い返していた。

すると突然、扉の向こうからノック音が聞こえてきた。

誰だろうと不思議に思いながらも返事をすると、中に入って来たのはアメリアさんだった。

彼女は、私を見ると微笑みを浮かべて近づいてきた。

私は、彼女の行動に疑問を抱きつつも起き上がり椅子へと座らせた。

それから、彼女から話を聞いた。どうやら、私が心配になって様子を見に来たらしい。

私は彼女にお礼を言いつつ、少しの間話をした。

そして、彼女が部屋から出て行くと私は再び横になった。

私は、目を瞑りながら今後のことを考えていた。

あの男を倒すためには、どうしても力が足りない。

あの男は、特等たちを簡単にあしらうほどの実力を持っていた。

今の私だと、全く歯が立たないと思う。

それに、他にも強敵はいるかもしれないし油断はできない。

私は、そう思いながらも眠りについた。

次の日、私はいつも通り訓練場へと向かった。

そこでは、多くの上等が汗を流しながら鍛錬を行っていた。

私は、その様子を眺めていると後ろから声をかけられた。

振り返るとそこに居たのは、フィーレア総隊長だった。

彼は私に挨拶すると、そのままどこかへ行こうとした。

私は、慌てて彼を呼び止めた。

何故なら、彼の身体からは血の匂いが漂っていたのだ。

私は、彼に怪我をしているのかと問い質すと、彼は大丈夫と言い残して去って行った。

私は、その背中を見送った後、自分も鍛錬を始めようとした。

しかし、何故か集中することができなかった。

それからも何度か試みたが、上手くいかなかった。

私は諦めて、一度休憩することにした。

近くのベンチに座って休んでいると、誰かがこちらに向かって歩いて来ていることに気付いた。

そちらの方を見てみると、そこには後輩の後藤さんの姿があった。

彼は、私を見つけるなり話しかけて来た。

彼は、私に何か用があるのかと思い聞いてみたが、特にないと言われてしまった。

私は、どうすればいいか分からずに困ってしまった。

しばらく沈黙が続いたが、彼は唐突に質問をしてきた。

私は、何を聞かれるのだろうかと不安になりながらも答えた。

すると彼は、私に剣を教えて欲しいと言ってきた。

私は困惑したが、断る理由も無いため承諾した。

しかし、何故急に弟子入りしたいと思ったのかという疑問を抱いたため、それを尋ねてみる。

すると、彼が言うには強くなるために手段を選んでられないという事だった。

私は、それを聞いて納得してしまった。

彼は、自分の強さが足りていないと自覚しているようであり、だからこそ必死に強くなろうと努力をしていたようだ。

ただ、それでもまだ弱いと思っているようで更なる高みを目指しているのだという。

私は、そんな彼を応援しようと思った。

それからは、彼との修行が始まった。

最初は基礎的なことを教えていたが、次第に実戦形式の戦い方を教えるようになっていった。彼は、私の教えを吸収していきどんどん強くなっていった。

そんな日々を過ごしていくうちに、あっと言う間に月日が流れていった。

ある日のこと、私は総隊長に呼び出されて会議室に向かった。

そこで待っていたフィーレア総隊長は、私を見るなり真剣な表情で話し始めた。

私は、嫌な予感がしながらも話を聞くことにした。

話の内容は、髑髏マスクの男が動き出したというものだった。

しかも、髑髏マスクの男が狙っているのは私達だという。

私は、どうして狙われているのかを尋ねたが、詳しいことは分からないと言われた。

そこで私は、髑髏マスクの男について知っていることを全て話すように要求する。

それを聞いた彼は、渋々といった様子だったが教えてくれた。

まず、男の能力は変身能力だということだ。

また、複数の生物の能力を使うことができるらしい。

私は、そんな存在がいることに驚きを隠せなかった


次に、男の素顔を見たことがあるか聞いたところ、あるとのことだ。

何でも、数年前に起きたとある事件の際に見たのだという。

私は、どんな顔をしていたか聞く。

すると、男は不気味な笑みを浮かべていたという。

そして最後に、男の名前を聞き出そうとしたところで、突然会議が中断された。

何が起きたのだろうと思って外を見てみると、巨大な魔物が街へと向かっている姿が見えた。

私は、すぐに外へと出て確認して見ると、その正体はドラゴンだった。

私は、急いで他の特等たちと共に現場へと向かう。

到着すると既に戦闘が始まっており、特等たちが応戦していた。

私も参戦しようとしたが、総隊長に止められてしまう。

その理由は、私の力では足手纏いにしかならないからだと。

確かに彼の言っている事は正しいため、私は大人しく見ているしかなかった。

それからしばらくして、ようやく戦いが終わった。

しかし、その場にいた全員が満身創痍の状態となっていた。

そして、街の中へと逃げ込んだはずのドラゴンは消えていた。

その後、特等たちは全員病院送りとなった。

私は、彼らの回復を待つ間、ずっと考えていた。

一体誰が、あの化け物を呼び出させたのだろうかと。

私は、その犯人に心当たりがあったため、総隊長に許可を取ってからその場所へと向かった。

そこは、特等たちの宿舎だった。

私は、扉を開けるなり部屋の中にいる人物に話しかけた。

「あなたですね? こんな事をしたのは」

私がそう言い放つと、部屋の奥から一人の人物が姿を現した。

それは、有馬元局長だった。

彼は私を見ると驚いたような顔になった。

しかし、それも一瞬の事であり直ぐに元の顔に戻った。

私は、何故このような事を起こしたのか問い質す。

彼は、今回の件は自分ではないと言い張った。

しかし、私はその言葉を信じなかった。

なぜなら、彼の口元は歪んでおり、明らかに嘘だと分かったからだ。

私は、彼に詰め寄って本当の目的を話すように促すが、何も言わない。

それどころか、この場にいるのは不味いとでも思ったのか、窓から飛び出して逃走した。

私は、慌てて追いかけようとしたが、それよりも先に誰かに腕を掴まれた。

振り返るとそこに居たのは、後藤さんの姿があった。

彼は、何処へ行くのかと尋ねてきた。

私は、彼に向かって走り去ってしまった人を追いかけると答えた。

すると、彼は自分も行くと言ってきた。

最初は断ろうとしたが、彼がどうしてもと言うので仕方なく連れて行くことにした。

私達は、急いで後を追ったが、見失ってしまう。

どうしようかと考えていると、彼が何かを見つけたらしくそちらの方へ駆けて行った。

私は、彼が向かった方角を見てみると、そこには瓦礫の山が出来上がっており、その上には一つの死体が転がっていた。

私は、それが誰なのかを確認するために近づいてみた。

すると、その人物はなんと髑髏マスクの男であった。

私は、まさかと思いながら辺りを見渡した。

すると、少し離れた場所で彼がこちらの様子を窺っているのが見えた。

私は、彼を睨みつけるようにして問いかける。

すると彼は、自分はただ頼まれてやっただけだと言ってきた。

私は、それを聞いて怒りを覚えて殴りかかろうとするが、それを止めた者がいた。

それは、後藤さんだ。

彼は、私を止めると冷静になるように言ってきた。

私は、その言葉で何とか落ち着きを取り戻すことができた。

そして、髑髏マスクの男がどうしてここに居るのかを聞く。

すると、髑髏マスクの男は自分が呼び出したのだと言った。

私は、どうしてそんなことをするのか尋ねる。

髑髏マスクの男が言うには、自分の邪魔をする奴らを始末するためだという。

私は、そんな理由で街を破壊しようとしたことに腹が立ち、思わず怒鳴りつけてしまった。

髑髏マスクの男は何も答えず、そのまま立ち去って行こうとする。

私は逃さないように捕まえようとするが、またしても後藤さんの制止を受ける。

彼は、今はそっとしておいた方が良いという。

確かに彼の言っている事も一理あると思った私は、素直に従う事にする。

しかし、このまま放置しておくわけにもいかないため、私は髑髏マスクの男の後を追う。

そして、見つけたら必ず捕えるように命令を出した。

私は、それを聞いた後にその場を後にし、総隊長の元へと向かうのだった。

俺は、目の前の光景を見て絶句していた。

理由は簡単だ。

俺の視界に映るのは崩壊した街と大勢の怪我人たちだからである。

一体何が起きたのかというと―――

話は数時間前に遡る。

いつものように朝起きてから、朝食を食べようとリビングに向かったのだが……何故か誰もいなかった。

不思議に思いながらも、とりあえずテレビを付けてニュースを見てみる。

すると、とんでもない映像が流れ始めた。

何でも、巨大なドラゴンが現れたのだという。

しかも、街を襲い始めているらしい。

それを見た瞬間、嫌な予感がしたので急いで着替えて家を出た。

そして、現場へと向かう途中、突然後ろから肩を叩かれた。

振り返ってみると、そこにいたのは後藤さんだった。

「やあ、おはよう」

彼は爽やかな笑顔を浮かべながら挨拶してきた。

それに対して、俺も同じように返す。

それから、一緒に歩き出したところで、彼は真剣そうな表情になり話しかけてくる。

「昨日、君に頼んだ事覚えているかい?」

「えっと……確か、特等たちを病院送りにした犯人を捕まえろっていう話ですよね」

「ああ、そうだよ」

「それで、その犯人が見つかったんですか? それと、特等たちは大丈夫ですか? 結構酷い状態だったみたいですけど……」

「うん、見つかったよ。それに、彼らは全員無事だよ」

「そうだったんですか。良かったぁ……ん? あれ、じゃあさっき言ってた頼み事というのはどういう意味なんでしょうか?」

「それは、もういいんだよ。それよりも、さっきの話に戻るんだけど、その犯人は君の知り合いなんだよね。だから、ちょっと話を聞かせてもらえないかなって思って声をかけたのだけど」

それを聞いて、俺は首を傾げた。

(俺の知り合い?)

全く心当たりがなかったからだ。

しかし、彼の言い方からして、どう考えてもその人物とは俺の事を指しているようだ。

そこで、俺はハッとなる。

後藤さんは、その人物が誰かを知っているような口ぶりだ。

という事は、つまり―――

そこまで考えた時、後藤さんが話しかけてきた。

「おーい、聞いているかな?」

「あっ、はい。すみません、少し考え事をしていて……。あの、一つ聞きたい事があるのですがよろしいですか?」

「別に構わないよ。僕で良ければいくらでも答えるよ」

彼は、快く了承してくれたので早速質問をしてみた。

「ありがとうございます。では、まず最初に確認したい事があります。それは、その人物は髑髏マスクを被った男であっていますか?」

すると、後藤さんの目が見開いた。

どうやら、正解のようである。

だが、まだ疑問が残っていた。

「なぜ、あの時引き留めたんですか?」

「……君は何か勘違いしているんじゃないかと思ってね」

彼は、少し間を空けて答えてきた。

その言葉の意味がよく分からなかったので、詳しく聞こうとしたその時、遠くの方で爆発音が聞こえたので、そちらに目を向ける。

すると、そこには煙が上がっており、さらに複数の建物が崩れ落ちていた。

それを見て、すぐに理解した。

今、街が襲われているという事に。

「まさか、こんな時に現れるなんて……!」

後藤さんが苦虫を噛み潰したかのような顔をしながら呟いた。

その様子から察するに、かなり不味い状況になっているという事が分かる。

「後藤さん、早く行かないと大変なことになりますよ! だって、街には大勢の人が居るんですよ!? そんなところにあの生物兵器なんかが襲ってきたりしたら……」

「分かっている。だからこそ、急がないといけない。君も付いてきてくれ」

後藤さんが走り出し、その後を追うようにして私も駆け出す。

そして、数分後。ようやく街の入口まで辿り着いた私たちだったが、既にそこは地獄絵図となっていた。

至る所から火の手が上がっている。

さらには、逃げ惑う人々の悲鳴や怒号が響き渡っていたのだ。

それを見て思わず足を止めてしまう。しかし、ここで立ち止まっているわけにもいかないので再び動き出そうとしたところ、後藤さんに止められる。

そして、彼は私に向き直ると真剣な表情を浮かべながら言ってくる。

お前は先に行けと。

私は一瞬何を言われたのかよく分からないといった感じになったが、すぐにその意味を理解する。

恐らく、この場に残っている人たちを助けに行くつもりなのだろうと。

確かに、ここに残っている人たちは怪我をしている人が多い。

助けられるなら、そうした方が良いだろう。

しかし、私にそんな事ができるだろうか? 正直、自信がない。

それでも、やるしかないのだと自分に言い聞かせて覚悟を決める。

そして、後藤さんに向かって力強く返事をする。

任せて下さいと。

それを聞いた後藤さんは満足そうにして、その場を後にし、ドラゴンの元へと向かって行った。

私は、それを見送りながら自分のやるべきことをするために行動を開始するのだった。

私がまず向かったのは、怪我人の手当てを行うための場所だった。

何故その場所を選んだかというと、それは至って単純な理由である。

なぜなら、そこに多くの医療器具があるからだ。

おそらく、そこならば治療に必要な物は全て揃っているはずだと考えたからである。

私は急いでそこへ向かい中に入る。

すると、そこでは数人の医者らしき人物たちが必死に処置を行っていた。

その光景を見た瞬間、心臓が大きく跳ね上がる。

もしかすると、間に合わないかもしれないと思ったからだ。

だが、今は考えている暇はない。

とりあえず、手近にあったベッドの上に横たわった男性に声をかけてみる。

その男性は、頭を強く打ってしまったらしく意識を失っていて、呼びかけても反応がなかった。

なので、脈を確認してみると、弱々しいもののちゃんとあるようだったので一先ず安心したが、このまま放置しておく訳にはいかないので、すぐさま適切な対処を行う。

それから、次に重症そうな女性を見つけ、同じようにして応急措置を施した。

だが、やはり一人だけでは限界があり、全員を助ける事はできなかった。

そこで、俺は一旦外に出る事にした。

外に出る前に、他の場所の様子を確認するためだ。

すると、どうやら私が考えていた通りだったようで、建物の倒壊によって怪我をした人や瓦礫の下敷きになって身動きが取れなくなっている人などが大勢居た。

それらを見かけたら、すぐに駆けつけて回復魔法で治していく。

しかし、いくら傷口を塞ぐ事ができたとしても、失った血までは戻すことはできないので、失血死してしまう可能性があるので、それも注意しながら行う必要があった。

私は、それらの作業を行いながらも街の中心部へと向かうのであった。

◆ あれからどれくらい時間が経っただろうか。

気が付けば、辺りはすっかり暗くなっていた。

それだけ長い時間、救助活動を行っていたという事になるのだが、未だに犠牲者の数は増える一方で一向に減る気配がなかった。

しかも、厄介なことにあの怪物が暴れているせいで、街中の建物が次々と破壊されていき、その度に多くの人が犠牲になっていたのだ。

そのおかげもあってか、今ではもう街のあちこちで火の手が上がり、さらには爆発音なども頻繁に聞こえるようになっていた。

また、いつの間に現れたのかは不明だが、巨大な蜘蛛のような生物が街を徘徊しており、人々を襲っていたのだ。

その生物は、どうやら人間を好んで襲う習性を持っているようなので、今も尚、人々が襲われ続けている。

そのせいもあり、街に居る人々はパニック状態に陥ってしまい、我先にと逃げ惑う人々で溢れかえっている状態だった。

当然のことながら、そんな状況ではまともに避難などできるはずもなく、次々と被害が増えていく一方だった。

そして、今現在も目の前で人が襲われようとしているところを目撃してしまい、咄嵯に助けようと駆け寄ろうとしたその時、その人は地面に倒れてしまった。

俺は、慌てて駆け寄り容態を確かめる。その人物は、腹から大量の出血をしており、明らかに危険な状態であった。

(くそっ! こうなったら……)

俺は覚悟を決め、その人に手をかざす。そして—— 《ヒール》 心の中でそう唱えると、淡い光が放たれ男性の体を包み込む。

すると、見るからに苦しそうだった顔が徐々に和らいできたように見えた。

そして、数秒後。彼はゆっくりと目を開け、起き上がったのだ。

それを見て、ホッと胸を撫で下ろすと同時に、ある事に気が付く。それは、さっきまで聞こえていたはずの爆発音が聞こえなくなっていたのだ。

「1番隊、前へ!」

「1番隊!来てくれたんだ!」そんな声と共に、大勢の足音が近づいてくる。

そして、私の前に姿を現したのは、なんと病院にいたはずの特等たちの姿があった。

彼らは、それぞれ魔道具を構えており、いつでも戦えるといった様子である。

そんな彼らの姿を見て、私は思わず安堵のため息を漏らした。

これで助かると。だが、次の瞬間、信じられない光景を目にする。

それは、後藤さんがドラゴンに向かって突っ込んでいったのである。

後藤さんは剣を振り下ろしたが、それをドラゴンは簡単に避けてしまう。

それどころか、逆に尻尾による一撃を受けて吹き飛ばされてしまっていた。

それでも、なんとか体勢を立て直すと、再びドラゴンへと向かっていく。

しかし、今度はブレスを吐かれて攻撃どころではなく、防ぐのに精一杯なようだった。

その光景を見た瞬間、全身の血の気が引いていったが、私もいつまでもボーッとしているわけにはいかない。

今は、少しでも多くの人を救わなければならないからだ。

だから、急いで行動を開始する。

まず最初に行ったことは、後藤さんの回復である。

先ほどと同じように回復魔法を使うが、残念ながら傷口が完全に塞がりきらなかった。

おそらく、内臓の一部が損傷しているのだろう。

なので、すぐさま別の方法を試みることにしたそれは、体内にある魔力を直接操って傷口を塞いでしまおうというものである。

だが、これには大きなリスクがある。

もし失敗すれば、最悪命を落とすかもしれないからだ。

だが、迷っている暇はない。

一刻を争う事態なのだから。

そこで、意を決して実行に移すすると、私の手からは眩しいほどの光が発生し、それが患部を覆うように広がっていき、やがて消えてなくなった。

どうやら上手く成功したようだ。

その後、後藤さんの様子を見てみると、先程までの苦悶に満ちた表情が嘘のようになくなり、安らかな寝顔をしていた。驚くべきことが起きたのである。

突然、後藤さんが起き上がり、そのまま立ち上がってしまったのだ。

しかも、それだけではない。

なんとその体は、まるで別人のような姿へと変貌を遂げていたのであった。

その姿は、一言で言うなら人型の竜という感じだろうか。

背中には翼があり、腕は二本だが指は四本で鋭い爪が伸びていて、とても人間とは思えない容姿をしていた。

しかも、体つきは細身でありながら筋肉質で、そのせいか見た目以上に力強さを感じさせる。

また、頭部にも角のようなものが生えており、まさにファンタジーに出てくるような魔物そのものといった外見をしている。

(これは一体……?)

そんな疑問が頭を過る中、目の前にいるドラゴンが動き出した。

どうやら、こちらを警戒しているようである。

そこで、私はハッとする。

今、この場で一番危険なのは、あの怪物がいつ襲ってくるか分からないということだ。

いくら特等の人たちがいるとはいえ、万全の状態でなければ勝てる相手ではないだろう。

ならば、ここは私が囮になってでも注意を引き付けるべきではないかと思ったのだ。

そして、すぐに行動へと移す。

私は、わざとらしく大声で叫びながら、ドラゴンに攻撃を仕掛けた。

当然のことながら、ドラゴンは私にターゲットを変更してくる。

その隙に、特等たちが後藤さんに駆け寄っていくのが見えた。

それを確認したところで、私は更に激しく攻撃を繰り返す。

だが、その甲斐あってか、何とかドラゴンの気を引くことに成功し、しばらくの間は激しい攻防が続いた。

そして、どれくらい時間が経った頃だろうか。

不意にドラゴンの動きが鈍くなったように見えた。

(もしかしたら、もうすぐ倒せるかも!)

そう思った時だった—— 突如、背後から凄まじい殺気が伝わってきたのだ。

慌てて振り返ると、そこには今まで見たことのないような巨大な化け物が立っていたのだった。

それは、一見すると熊のように見えるのだが、明らかに違う点が一つだけあった。

それは、体が真っ黒だということだ。

そして、何よりも異様な雰囲気を放っていたそれこそ、今戦っているドラゴンなんかとは比べ物にならないほどに……

そんなことを考えていたその時である。

なんと、その黒い巨体の口から炎が吐き出されたのだ。

私は咄嵯に飛び退き難を逃れるが、それでも完全に避けることはできず、左腕に大きな火傷を負ってしまう。それこそ、今戦っているドラゴンなんかとは比べ物にならないほどに……

そんなことを考えていたその時である。

なんと、その黒い巨体の口から炎が吐き出されたのだ。

私は咄嵯に飛び退き難を逃れるが、それでも完全に避けることはできず、左腕に大きな火傷を負ってしまう。すると、なんと私の体に異変が生じ始めていたのである。

それは、皮膚が黒く変色し始め、さらには鱗のようなものまで現れ始めたのだ。

そのことに戸惑っていると、今度はドラゴンがブレスを吐いてきて、私に直撃した。

それにより、さらにダメージを負ってしまうそれでも必死に抵抗しようとするが、もはや限界のようだった。

意識が遠退いていき、視界が霞んでいく。

そんな中、誰かの声が聞こえてきたが、何を言っているのか聞き取れない。

ただ、なぜか妙な安心感に包まれていることだけは分かった。

それから程なくして、私は完全に意識を失ったのである。

◆ 目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。

どうやらベッドの上にいるようで、窓から差し込む太陽の光が眩しい。

それにしても、ここはどこだろう? なぜ自分がこんなところにいるのかさっぱり分からなかった。

とりあえず起き上がろうとするが、何故か全身が怠くて思うように動かない。

仕方なく首だけを動かし周囲を見回してみる。

すると、すぐ近くに見知った顔があった。

それは、私の担当医であり、今回の任務の責任者でもある佐々木先生であった。

彼は椅子に座って眠っていたようだ。

なので、起こさないようにそっと声をかけてみることにした。

ところが――

私の呼びかけに対して反応がない。

(おかしいわね……)

もう一度試すが、やはり同じである。

どうやら熟睡しているらしい。

仕方ないので、今度は体を揺さぶってみることにする。

だが、これも駄目だった。

(困ったわねぇ……そうだ! 確か、後藤さんは大丈夫ですか?)

ふとした思い付きで尋ねてみると、なんと返事が返ってきたのである。

(えっ!?)

予想外の出来事に驚きながらも、ゆっくりと目を開ける。

そして、最初に飛び込んできた光景は、心配そうな表情でこちらを見る佐々木医師の姿であった。

その瞬間、私は全てを思い出した。

(あぁ……そうか……あの後、ドラゴンと戦って……それで…………あれ?)

そこで、ある疑問が浮かぶ。

(じゃあさっきのは夢?)

確かに、よく考えてみればあり得ない話だ。

何せ、ドラゴンなんて空想上の生き物でしかないのだから。

とはいえ、あの時の感覚は今でもはっきりと残っている。

あの時、私は間違いなく死にかけていたはずだ。

なのに、こうして生きているということは、つまりそういうことなのだろうか。

(まあいいか……今は生きてるということは、つまりそういうことなのだろうか。

(まあいいか……今は生きてるんだし……)

そんなことを考えていると、突然、目の前に水の入ったコップを差し出された。

驚いて視線を向けると、そこには笑顔を浮かべた佐々木先生の顔がある。どうやら、わざわざ持ってきてくれたようである。

それを有り難く受け取り、一気に飲み干す。

そして、お礼を言うために口を開いたのだが—— 私は思わず固まってしまった。なぜならば、彼の目が赤く腫れていたからだ。

(もしかして泣いていたのかな……)

そう思うと申し訳ない気持ちになると同時に、心の底から温かいものが込み上げてくる。

この人は本当にいい人なのだ。

だからこそ、私も全力を尽くしたいと思う。

私は意を決して、彼に話しかけようとした。

だが、それよりも早く彼が言葉を発したため、タイミングを逃してしまう。

しかも、その内容は驚くべきものだった。

それは、私のことを好きだという告白だったのだ。

これには流石に驚いたものの、不思議と嫌な感じはなかった。むしろ嬉しく思っている自分に気付き、戸惑ってしまうほどである。

そして、私はそんな彼を受け入れ、二人は恋人同士になったのだった。

その後、私は改めて自分の体を確認してみた。

すると、そこには見慣れぬものが存在していた。

それは、まるで爬虫類のような鱗と尻尾である。

そのことに戸惑いつつも、私は一つの結論に達した。

おそらくだが、私はドラゴンに変身できる能力を得たのではないか、と。

そこで、早速確かめてみることにした。

まず、頭の中で強く念じてみる。すると、徐々に体が熱くなり、それと同時に変化が始まった。

最初は腕だけだった鱗が全身に現れ、さらに巨大化していく。

やがて、それはドラゴンそのものへと姿を変えていったのである。

そのことに感動しつつ、次にブレスを吐いてみた。

すると、それはドラゴンのブレスと全く同じだったのである。

どうやら完全にドラゴンに変化したようだ。

それならばと思い、今度は翼を羽ばたかせて空を飛んでみることにした。

その結果、なんと簡単に飛べたのである。

あまりのことに呆然としてしまうが、すぐに気を取り直して地上に降り立つ。

そこで、自分の姿を確認してみると、やはりドラゴンになっていた。そこで、今度は人間に戻るイメージをしてみる。

すると、一瞬にして元の姿に戻ったのである。

どうやら、意識すれば自由に戻れるらしい。

そのことを確認できただけでも大収穫だった。

それから、私は何度もドラゴンになっては戻りを繰り返した。

その度に、新たな発見があり、とても楽しかったのを覚えている。ただ、残念なことに、ドラゴン以外の生物には変身することができなかった。

それでも十分だったが、いつか他の動物にもなってみたいと思っている。

◆ そんなある日のこと――

いつものように一人で散歩をしていると、前方に一人の男が現れた。

どうやらこちらに向かって歩いて来ているようだ。(ん? 誰だろう……)

知らない人だった。

なので、少し警戒しながら様子を見ていると、彼は私の前で立ち止まり、いきなり土下座をしたのであった。

一体、何事かと思って見ていると、男は顔を上げ、こう言った。

――どうか、僕と結婚しください! あまりにも唐突な出来事だったので面食らうが、とりあえず事情を聞いてみることにした。

なんでも、私が以前助けた女性というのは、彼の妻だったらしい。

そして、命を助けられたことで惚れてしまい、ずっと想い続けていたそうだ。おい、浮気しているんじゃねぇぞ

そんな折、偶然私のことを見つけ、こうしてプロポーズしに来たのだという。

(うーん……困ったわね……)

正直、私としては別に結婚する必要はないと思っていた。

なぜならば、相手はもう既に愛する人と結ばれていたからだ。

しかし、そうは言っても、ここまでしてくれて断るのは気が引け......いや普通に断ればいいか、不倫はいかんぜよそんなわけで、丁重にお断りすることにした。

ところが、何故か彼は引き下がってくれない。

どうしても私と結婚したいと懇願してきたのである。

その理由は、彼が既婚者でありながら、別の女に恋してしまったからだという。

その話を聞き、私は思わずぶん殴ってしまったそして、思いっきり説教をする。

すると、ようやく反省してくれたようで、今後は二度としないと約束をしたのである。

ちなみに、最後に彼の名前を尋ねたところ、伊藤という苗字を教えてくれた。

どうやら、それが彼の本当の名前だったようである。

まあ、今となってはあまり興味はないが……さて、そんなこんなで一件落着したのだが、ここで一つ問題が発生した。

というのも、このままでは私は家に帰れないからである。

何故なら、今の私の体はドラゴンなのだ。

もし、この姿で家に帰ってしまえば大変なことになる。下手したら家族に危害を加えてしまうかもしれないのだ。まだ制御できないしそうなる可能性は高いと思う。

という訳で、私はしばらくの間、野宿をすることになったのだった。

その後、しばらく旅を続けていると、ある山奥に辿り着いた。

そこは深い森に覆われており、人里からは離れているようだ。

私はこの山に住処を作ることにした。勿論土地は買い取ったぜ

理由は二つあり、一つ目はここならば誰にも迷惑をかけずに済むと思ったから。

二つ目の理由としては、単純に森の中を探検してみたかったというのがある。あと一年くらい休暇とってあるので復帰するまでに制御できるようになりたいところ

そして、私は早速行動を開始した。

まずは拠点となる場所を探すことにする。

だが、中々良い場所は見つからない。

仕方がないので、適当に歩き回っていると洞窟を発見した。しかも、かなり広い上に奥行きもあるようだ。「これは....唯の洞窟じゃないな.....何かの研究所か?」

中には沢山の機械が置かれていた。

どう見ても普通のものではないのがわかる。

おそらくだが、何らかの研究施設だったのだろう。

とはいえ、今は誰もいないようなので、そのまま使わせてもらうことにしよう。

それから、暫くの間、私はそこで暮らすことになったのである。

◆ ある日のこと――

今日は特に予定もなく暇だったので、久しぶりに人間の姿に戻ってみる。

すると、そこには見慣れぬ少女がいた。

どうやら、いつの間にか人間の姿になっていたようだ。そこで、改めて自分の体を確認すると、やはり鱗があったり尻尾が生えていたりする。どうやら完全にドラゴンになってしまったらしい。

それから、色々と試した結果、どうやらドラゴンの姿になったり人間に戻ったりと自由に変身できることがわかった。

そのことに満足しつつ、私は再びドラゴンへと変身する。

すると、今度は翼だけドラゴンになった。

そして、その状態で空を飛んでみる。

その飛行能力は凄まじく、まるで自分が空を飛んでいるかのような感覚だった。

ドラゴンとは、かくも素晴らしいものなのかと感動する。

そんな風に感動していると、突然目の前に一人の少年が現れた。

私は驚きつつも、咄嵯にブレスを放つ体勢に入る。

しかし――

その瞬間、私の頭にある考えが浮かんだ。

(待てよ……よく考えたら別に殺す必要はないんじゃないか?)

そう思った私は攻撃をやめることにした。

それに、どうやら彼は敵ではないようだし……

そう思って様子を窺っていると、彼はこちらに向かって話しかけてきたのである。

◆ 僕は、今とても困っていた。

それは何故かというと、目の前にいるドラゴンの女の子(多分)が僕を食べようとしているからだ。

彼女は僕を見つけるなり、いきなり襲いかかってきたのである。

当然、僕としては逃げるしかない。

そして、必死に逃げているうちに、ここに迷い込んでしまったのだ。(一体何なんだ……どうしてこんな目に……)

そんなことを考えながら逃げ続けていると、とうとう追い詰められてしまった。

もう駄目だ……そう思い、諦めかけたその時、彼女が急に動きを止めたのである。

いったいどういうことかと思っていると、彼女はゆっくりと近づいてきた。そして、僕の顔を見つめてくる。

(えっ……もしかして見逃してくれるのか……)

そう思っていると、彼女は僕の顔を舐め始めた。

さらに、背中に乗ってくる。

(ちょ……ちょっと……なんなの……?!)

困惑しつつも抵抗しようとすると、何故か力が抜けていく感じがした。どうやら魔力を吸われているようだ。

そして、しばらくしてようやく解放される頃には、すっかりぐったりしていた。

すると、今度は頭を撫でられる。

どうやら気に入られたようだ。

とりあえず殺されなくてよかった……

そんなことを思いつつ安堵していると、不意にある疑問が生まれた。このドラゴンは何者なのだろうか……

そして、どこから来たのかという二つの問題である。

そこで、恐る恐る尋ねてみたのだが、その答えは意外なものだった。

なんでも彼女曰く、ここは元々別の人がもっていた土地だったが、休暇の際にこの場所を買い取り、たまたま迷い込んできた僕を見つけて興味を持ったのだという。それで、しばらく観察していたが、どうにも人恋しくなってきてしまい、つい襲ってしまったということだった。

ちなみに、何故人里から離れたこの場所にいたのかについては、特に理由はないらしい。おしえてくれないだけかもしれないけど、

でもまぁただ単に気まぐれで散歩をしていただけだそうだ。

それを聞いて、思わず呆れてしまう。

本当に自由な人だと思う。

という訳で、結局は勘違いだったということだ。

だが、それでも彼女に食べられそうになったのは事実なので、文句の一つくらいは言っておくことにする。すると、案外素直に謝ってくれたので許すことにしたのであった。◆ その後、僕は彼女に名前を教えて欲しいと言われたので、仕方なく教えることにした。

正直あまり教えたくはなかったが、仕方がない。

そして、僕は自分の名前を告げた後、彼女のことも尋ねることにした。

すると、彼女は少し悩んだ後、自分の名前は教えられないと言う。

どうやら警戒心があるようだ。

そして、名前がないと不便だということを伝えると、ならばつけて欲しいと言ってきた。

そこで、僕は少し考える。

ドラゴンの名前ってどんなのがあるんだろうか……

そんなことを考えていると、ふと一つの案が頭に浮かんだ。

それをそのまま口に出すと、意外とあっさり了承された。

どうやら、割と気に入ったらしい。

そこで、僕はその名前を口にする。

それは――ドラゴニアという名前だった。

由来はもちろん花言葉から取ったものである。

すると、彼女はは嬉しそうな表情を浮かべていた。

どうやら喜んでくれたらしい。

それから、僕たちは一緒に暮らすことになった。

◆ それから暫くして、私はまだこの田舎ではどこへも行ったことがなさそうな彼に色々なものを見せてあげることにする。

まず最初に見せたものは真っ青な海である。海は好きだぜ

私は空を飛ぶことができるため、そこまで遠くまで行かなくてもいいと思ったからだ。

しかし、彼は初めて見る光景に驚いているようだったので、私は満足感に浸っていた。

次に、私は彼のために様々な料理を作ってあげたりした。

ドラゴンの姿では調理が難しいからである。

すると、彼はとても美味しいといって食べてくれた。

それがとても嬉しい。

そして、最後に私は自分の秘密を打ち明けることにした。

実は私はドラゴンではなく元は人間なのだということを。

すると、彼は驚きつつも受け入れてくれる。

私はそのことがとても嬉しかった。こうして、僕と彼女は幸せな日々を過ごしていった。

しかし、ある日のこと――突然彼女がいなくなってしまったのである。

最初は何かの冗談かと思っていたが、いくら待っても帰ってこなかった。

僕は必死に探したが見つからない。

(いったいどこにいったんだ……)

僕は途方に暮れていた。

◆ 私はある場所へと向かっていた。

そこはかつて私が暮らしていた場所である。

私はそこでとある人物に会うつもりだ。

そして、遂にその場所へと辿り着く。

そこには一人の少年がいた。

彼は私を見ると驚いたような顔をする。

恐らく私のことを覚えていてくれているのだろう。

そして、彼は私のことを抱きしめてきた。

その温もりはとても懐かしくて心地よい。

だから、しばらくの間そうしていた。

やがて、落ち着いたところで話を切り出そうとするが、先に彼が口を開く。

どうやら、既に察していたようだ。

流石は彼だなと思うと同時に申し訳なく思う。

勝手にいなくなってごめんなさい……と……

すると、彼は気にしていないというように首を振ったあと、優しく微笑んでくれる。

そして、改めてこう言ったのだ。

ただいま……と……

◆ 僕は彼女と一緒に家に帰ることにした。。もう二度と離れないようにしっかりと手を繋いで……

彼女と出会ってからどれくらいの月日が流れただろうか? 僕は今年で18歳になるが、未だに彼女が何者なのかは分からない。

だけども、それでも構わないと思っている。

だって彼女は僕の大切な人なんだから……

そして、これから先もこの幸せが続きますようにと願うのだった。

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