二人の問題児
紅月輝夜はピンチに陥っていた。
人生始まって以来の、羞恥と言えばいいのか。
「ダメよ、紅月さん。課題は自分の力でやらないと」
「……はい」
学校の休み時間、教室で輝夜は担任に呼び出されていた。理由はもちろん、今日提出した課題である。
昨晩、輝夜は黒羽とのバトルを行うにあたり、カノンとアトムの二人に課題の代筆をやらせていた。しっかりと、筆跡を真似るように指示をして。
だがしかし、結果はご覧の有様である。
「わたしね、字の個性とかを見るのが好きで、クラス全員の筆跡を判別できるんだけど」
それはそれで異常である。
「今日の紅月さん、ちょっと字が”綺麗すぎた”かな?」
「……」
輝夜は赤面する。
カノンたちは頑張ったのだ。主の命令に従って、できるだけバレないように努力をした。
しかし、輝夜の字が素で汚すぎた。
「ちょっと、適当に書くのが癖なのかな? テストだとそれが原因でバツになったりするから、気をつけるように」
「……はい」
教室の中で、こんな恥ずかしい内容を暴露されて。まさに、穴があったら入りたい状態。
しかしながら、クラスメイトたちは微笑ましい表情で眺めていた。もはや萌キャラを見ているように。
うつむく輝夜を見て、教師は微笑みかける。
「大丈夫よ、紅月さん。少しずつ覚えていけばいいの。みんな、あなたの味方だから」
輝夜は幼少期より入院しており、学校に通うのはこれが初めて。だから勉強も苦手で、人付き合いや、細かな常識などが欠如している。周囲の人間からは、そう認識されていた。前世由来の知識が有るなど、知っているのは影沢くらいなものである。
落ち込む輝夜が不憫に見えたのか、課題はこれで大丈夫という事になった。
輝夜は、果たして反省しているのか。
◇
「うがああぁぁぁ」
昼休み。輝夜は屋上でうなだれる。
この鬱憤を晴らさねば、昼食など食べられない。
「かぐち、今日荒れてんね」
「まぁ、先生に怒られてたから」
うなだれる輝夜の様子を、善人と桜の二人が見つめる。
「紅月さん、リアクションが面白いね」
そして今日は、黒羽えるも一緒であった。
ひとしきり鬱憤を吐き出し、輝夜たちは昼食を食べる。
多少落ち込んだとしても、輝夜の食欲は消えはしない。
「そういえば。上履き、戻ったんですね」
「あぁ、まぁな」
「ちなみに、盗んだのはわたしです」
「「えぇ!?」」
黒羽のカミングアウトに、善人と桜は驚愕。
「まぁ、色々と事情があったんだよ」
輝夜は気にする様子もなく食事を続ける。
「事情があったって。それでも、一緒に昼休みを過ごすかな」
桜の指摘はごもっともである。
「上履きを隠した罰として、こいつにはやってもらうことがあるからな」
ソロモンの夜を教えるためとはいえ、上履きを盗むのはいただけない。
それを許すための交換条件が、”これ”であった。
弁当を食べ終えて、レジャーシートの上にノートと筆記用具が置かれる。
「よしっ」
みんなが見守る中、輝夜はお昼の勉強タイムに突入した。
「紅月さんの苦手な部分とか、重点的に作ってあるから」
黒羽が付きっきりでレクチャーする。
これが、輝夜の提示した罰。テストが終わるまで、自分に勉強を教えること。
放課後に軽く教えてもらったり、輝夜はそれくらいの内容を想定していたが。思ったよりも、黒羽はやる気だったらしく。一晩で特製の問題集を作り上げ、輝夜に渡してきた。
――何というか。紅月さん、このままじゃヤバそうだったから。
紅月輝夜。
自分で思っている以上に、彼女は”問題児”であった。
しばらく、教えられながら問題を解く輝夜であったが。
思い出したように、善人に声をかける。
「そういえば。お前も指輪を持ってるのに、アプリに名前がなかったな」
「アプリ、ですか?」
善人は意味が分からないと首を傾げる。
「ソロモンの夜だよ。お前、もしかして指輪失くしたのか?」
「指輪なら、ありますけど」
なんてことのない様子で、善人はポケットから王の指輪を取り出し。それを輝夜たちに見せる。
輝夜と桜にとっては、見覚えのある代物。
しかし、黒羽にとっては……
「……あり得ない」
誰にも聞こえないほど、小さな声で呟いた。
「それ、本物か? アミーを召喚してみろ」
「えっ、でも」
「大丈夫だ。黒羽も指輪を知ってる。……まぁ、わたしが奪ったが」
一応、正当な方法で輝夜は黒羽の指輪を手に入れた。
今頃、自室の引き出しにでも入っているだろう。
「じゃあ、喚びますけど」
善人が指輪に念を込めて、すぐ側に魔法陣が発生。
そこから、熱血の悪魔ことアミーが召喚された。
短パンにタンクトップという、あまりにもラフな格好で。
その手には、分厚い漫画雑誌が握られていた。
「……ニートか、お前の悪魔は」
輝夜の心無い一言が突き刺さる。
「相棒。今週のジェントル刑事は面白いぞ」
「本当? それは楽しみかも」
このコンビは、相性良くやっているらしい。
「じゃあな、俺は飯を炊かねばならん」
「うん、よろしく」
そんなやり取りをして、アミーは消えていった。
「ふむ。指輪は機能してるのに、アプリに名前が載ってない。なんでだ?」
輝夜は黒羽に尋ねる。
「……どう、なんだろうね。わたしも詳しくないから。アプリの不具合かも」
「まぁ、そうか。ったく、いい加減なアプリだな」
全ての遺物を集めろという話なのに、そこに”抜け”があったら意味がない。
そんな話をする中、黒羽は妙に深刻な表情をしていた。
「もしかしたら、お前の指輪はパチもんかもな。ほら、変な露店で買っていたし」
「あれは、輝夜さんも一緒じゃ……」
「わたしの場合、ちょっと事情が複雑なんだよ」
輝夜のイヤリングは、元々普通のイヤリングであった。
魔界でアモンと出会い、約束を交わしたことで遺物と同化した。
「知ってるか? 本物にはワニのマークが付いてるんだが」
「えっ、そんな!?」
輝夜の嘘に、善人は見事に惑わされる。
そうやって笑う面々だが。やはり、黒羽は静かに善人の指輪を見ていた。
それに輝夜が気づく。
「おい、どうかしたのか?」
「えっ? ううん、何でも」
指摘され、黒羽は焦りを見せる。
「……何なら、指輪を返そうか?」
「いやいやいや。わたし、指輪を集めることには興味ないから」
「そうか?」
指輪に未練はないと、黒羽は改めて明言した。
「そういえば、昨日召喚したあの悪魔は? 何か、凄い悪魔とか言ってたけど」
「あぁ、バルバトスか」
輝夜は何ともない様子で街の様子を見る。
「自由にしていいぞ、と。朝に言ったきりだな」
「え?」
輝夜は放任主義であった。
◆
姫乃の繁華街。
飲食店が建ち並び、人通りの多い場所に魔王バルバトスはいた。
大剣こそ持っていないものの、漆黒のドレスという目立つ格好。周囲の視線を浴びながらも、バルバトスは何食わぬ顔で街を行く。
尻尾を露わにしていたり、異能を使ったりしない限り、誰も彼女を悪魔だとは疑わないだろう。
そんな彼女を、尾行する者が二人。
「ちっ、面倒くせぇな」
「仕方ねぇよ。あいつが何かしたら、お嬢に迷惑がかかっちまう」
浅黒い肌に、人殺しのような目付きをした男と。人間離れした筋肉を持つ、巨漢のスキンヘッド。アトムとゴレム、輝夜の使役する悪魔である。
二人は律儀にも、バルバトスが面倒事を起こさないように監視を行っていた。
二人とも、服装はいつものギャングファッションではない。街に溶け込むように、ちょいワル程度の格好を与えられていた。立派な半グレである。
(しっかし、よりにもよってバルバトスか。あいつも面倒なの喚びやがったな)
内心、アトムは悪態をつく。
(共存派か殲滅派か。思想も不明な、謎多き魔王)
そんな事を考えていると。
「ア、アニキ」
「なんだぁ?」
「……その、見失っちまった」
「……あ?」
適材適所。
この二人に、尾行などできるはずがなかった。
◇
放課後。いつも通り、影沢の迎えで帰ろうとする輝夜であったが。
校門に立つ人物を見て、思わず足が止まる。
白銀の長髪に、美しき漆黒のドレス。
その強さを抜きに考えても、彼女は目立つ存在であった。
――何あれ、モデル?
――芸能人じゃない?
学校の校門で、バルバトスは死ぬほど目立っていた。
輝夜は、面倒くさそうにため息を吐き。仕方がないので、近づくことに。
「おい。どうしたんだ?」
校門の外には、車と一緒に影沢が待っている。
とはいえ、今はバルバトスの相手が先である。
「……」
しかし、バルバトスは何も言わない。
じーっと、輝夜の制服姿を見つめている。
――嘘、何あれ。
――もはや芸術。
「ちっ」
周囲の視線もあるので、輝夜は少し恥ずかしかった。
「一緒に帰るのか? 車に乗ってもいいぞ」
「?」
なぜそこで首を傾げるのか。輝夜には意味が分からない。
「言いたいことがあるなら、さっさと――」
その瞬間、バルバトスは輝夜を抱きかかえ。
お姫様抱っこの格好に。
「え」
あらゆるものを置き去りに、その場から飛び去った。
◆
輝夜を抱きかかえたまま、バルバトスは建物の上を駆けていく。
人間とは違う、悪魔の身体能力。この程度の芸当は朝飯前である。
とはいえ、運ばれる者からすればたまったものではない。
「おい! お前、正気か?」
「……何が?」
「何が!?」
輝夜は確信する。こいつはとんでもない奴だと。
バルバトスは、しばらく無言で跳躍を続け。
ようやく口を開く。
「……見てみたい、景色があるの」
「景色?」
「ええ、景色」
ようやく話し始めたものの、やはり要領を得ない。
「一人で見るのも、ちょっとあれだと思ったから。その……」
「……わたしと一緒に、見ようって?」
「ッ」
なぜなのか。
バルバトスは顔を赤くして、再び口を閉ざしてしまう。
「だったら、先に言えばよかっただろう。無言で連れ去るか? 普通」
「言おうと思ったけど、その」
「その?」
「……なんて言ったらいいのか、よく分からなかったわ」
「……」
輝夜は、言葉を失った。
呆れ、もしくは驚きか。
そして、一つの仮説へと辿り着く。
(こいつ……)
何を考えているのか分からない、ではない。
澄ました顔をして、”何も考えていない”。
とてつもなく単純な性格をしていると。
今となっては、もはや理由を知る術がないが。前回の時、輝夜と出会ったバルバトスは、なぜか輝夜の持つイヤリングに執着した。
何の脈絡もなく奪い、返せと言われても拒否する。意味の分からない行動に、輝夜は困惑していたが。その答えは簡単である。
気になる相手に”いじわる”をしてしまう。
まるで、幼児のような思考から来る行動であった。
最強の悪魔とも呼ばれる彼女。
しかし、それほど警戒する必要はないのかも知れない。輝夜がそんなことを考えていると。
”目的地の手前”で、バルバトスは立ち止まる。
辿り着いたのは姫乃の中心地。姫乃タワーの目の前。
彼女はタワーを見たかったのか。
いや、目的地はまだ先である。しかし、”先へ進めない理由”があった。
建物の屋上。二人の人物が、輝夜たちを待ち構えている。
まるで、タワーへの行く手を阻むように。
「やっぱり、来ましたね」
「……ああ」
いつも通り、渋い表情をしたスーツの男と。
陽気そうなアロハシャツの男。
輝夜の父親である”紅月龍一”と。
その仲間、”ウルフ”と呼ばれる男である。
ひとまず、輝夜は地面に下ろしてもらう。
ウルフは懐からタバコを取り出し、ライターで火を付けた。
「龍さん、吸います?」
「……娘の体に悪影響だ。今すぐ捨てろ」
「へいへい。もう吸わないんすね」
そう言って、ウルフは火の付いたタバコを素手で握り潰した。
「龍一、何だそいつは」
「こいつはウルフ。お前を護衛するために、俺が呼び寄せた男だ」
「どうも。初めまして、お嬢様。あなたを守るイケメン騎士です」
ウルフは、飄々とした態度を取り。
輝夜はちょっと機嫌が悪くなる。
「嫌いなタイプの男だな。女を平気で泣かせるような。……いや、平気で暴力を振るうタイプか」
「……へ?」
辛辣すぎる言葉に、ウルフも面を食らってしまう。
「もしかして俺、いきなり嫌われました?」
「当然だ。俺の娘なら、もっと誠実な男を好むはずだ」
「……きもいぞ龍一」
そんな無駄話が続くも。
何の理由もなしに、これほどの者たちが集まることはない。
「……輝夜。召喚した悪魔を制御できないなら、そのイヤリングは相応しくない」
「……あぁ?」
龍一の一言に、空気がピリつく。
「上級程度ならまだしも、そんな化け物が街を徘徊していると、こちらとしても気が休まらん」
「……しっかりと手綱を握れ、ということか?」
まるで、ペットの世話を咎められているような。
完全に子供扱いしてくる龍一に、輝夜は内心キレる。
「いやぁ。それにしても、二人ともレベル高いっすよね。輝夜お嬢様だって、かなり発育が」
ウルフの視線は、輝夜の胸や腰に行き。
輝夜は無意識に身体を隠す。
「おっと、その反応もいいねぇ」
(……殺す)
輝夜の心は、地獄の業火のように燃えていた。
すると、ずっと黙っていたバルバトスが口を開く。
「あの男、昨日の夜もわたし達を監視してたわよ」
「なに?」
「おっと、バレてたか。流石は魔王だねぇ」
何の断りもなく、勝手に監視を付けていた。
その事実が、輝夜の意思を決定づける。
「……なぁ、バルバトス。お前はどこに行きたかったんだ?」
「……あそこよ」
バルバトスが指差すのは、姫乃タワーの頂上。
輝夜を連れて、彼女はあそこへ行きたかったのだ。
「ふっ」
そんな可愛い理由に、輝夜は微笑み。
怒りは、邪魔者たちへ。
(なぁ、聞こえるか?)
(ええ)
イヤリングを通じて、輝夜はバルバトスと話す。
(左側のスーツの男は、わたしの父親で、正直お前と同じくらい強い)
輝夜の言葉を聞き、バルバトスは龍一を見つめる。
(わたしが一言、あいつを油断させるから。お前はその隙を突いて思いっきりぶっ飛ばせ)
(……あなたの父親なのに?)
(大丈夫だよ。多分、死にはしないだろ)
(分かったわ)
輝夜たちの、ちょっとした”悪巧み”が開始する。
前に一歩出て、輝夜は一言。
「――なぁ、龍一。実はわたし、彼氏ができたんだ」
「ッ!? なん、だと」
明らかな動揺。バルバトスはその隙を見逃さない。
全速力で突進し、拳に力を。
龍一の腹にぶち当てる。
おそらく、世界で最も重いパンチであろう。
その威力に、龍一は遥か彼方まで吹き飛ばされた。
「なっ」
最強最速の一撃。それは隣りにいたウルフにも反応できず。
目の前で起きた衝撃映像に、言葉を失っていた。
「ナイスパンチだったぞ」
「……ありがとう」
本音を言えば、自分の手で殴りたかったが。
早速、バルバトスは役に立ってくれた。
「で、お前はどうする?」
「……あの人が死んでないか、見てきますよ」
そう言って、ウルフは龍一が吹っ飛んでいった方向へと向かっていった。
輝夜たちの完全勝利である。
「さて、お前の行きたかった場所に行くか?」
「ええ」
邪魔者はもういない。二人は、姫乃タワーを見上げた。
◆
姫乃の中心、この街を象徴する建物でもあるタワー。その最上部に、輝夜とバルバトスはやってきた。
当然、正規の方法で頂上に登るわけにもいかないので。物理的に跳んできたのだが。
「うっ」
これほどの高所に来るのは、輝夜としても初めてであり。恐怖と吐き気に襲われていた。
「高いところが好きなのか?」
「そうね。そうかも知れないわね」
バ○と煙は高いところが好き。輝夜の頭に、そんな言葉が浮かぶ。
「あれを見たかったの」
そう言って、バルバトスが指し示す先。そこにあるのは、真っ赤な太陽。
なんてことはない、”夕焼け”の風景である。
心地の良い暖かさを感じる。見ていると、ちょっと眩しい。
輝夜にとってはその程度のものなのだが。バルバトスにとっては違った。
「これほど美しいものは、生まれて初めて見たわ」
完全に、心を奪われている。
「……美しい。美しすぎると言っていい」
魔界の常識を、輝夜は知らない。
悪魔にとってはそれほど驚く光景なのか。それとも、彼女がそれだけ純粋なのか。
「魔界で、今まで色々な光景を見てきたけど。これには到底敵わないわ」
「いや、それは流石に言い過ぎだろう」
バルバトスは、一つも冗談を言っていなかった。彼女の口から出るのは、本心ばかり。
「これが毎日見られるなんて、とっても贅沢ね」
「ふぅん」
輝夜の知っている魔界に、確かに太陽はなかった。
ルシファーの光という、神秘的な光の柱がそびえ立ち。悪魔たちはその光を頼りに生きている。
「……太陽が、欲しいのか?」
なんとなく、輝夜は尋ねた。
もしも、人類と悪魔が戦争になって、悪魔が地上を手に入れれば。全ての悪魔が太陽を拝めるようになる。
そんな話を輝夜に聞かされるも、バルバトスは変わらずに夕日を見る。
「ただ、これを見たかったから」
「……そうか」
このバルバトスという悪魔は、何を考えているのか分からない。というより、何も考えていないのだろう。
その行動に、深く理由を求める必要はない。
単純な奴。
つまり、輝夜の好きな人種である。
「物を壊すのは簡単だけど、作るのはとても難しいわ」
「何の話だ?」
「この街。いいえ、世界と言うべきかしら」
彼女が美しいと思うのは、この夕焼けだけではない。目に見える全てが、彼女には尊いのだろう。
「綺麗なものは、そのままの形がいい」
それで、言葉を言い尽くしたのか。バルバトスは膝を抱えて、ただ夕焼けを眺め続けた。
輝夜にとっては退屈極まりない時間だが。こういうのに付き合うのも、たまには悪くない。
「わたしの本名、”ドロシー”って言うの」
「ドロシー?」
魔王には、似つかわしくない名前である。
「バルバトスというのは、アガレスに付けられた名前。”お前はその名に相応しい”、とか言ってたわ」
「……」
ずっと夕日を見ていて、輝夜は少し眠くなっていた。
もはや、話もろくに聞いていない。
しかし、かろうじて言葉を返そうとして。
「まぁ。ドロシーのほうが、可愛くて好きだな」
「……急に、何を言うのよ」
遺物によって紡がれた絆。果たして、この先どのような道を辿るのか。
夕日に照らされ、世界は真っ赤に燃えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます