第6話ベヒーモス・スタインの討伐に

 ベヒーモス・スタイン狩りに行くのはフリルだけではないようだ。

 リモネもアラリスも付いて来る。

 フリルは剣を使うが、リモネは槍、アラリスは斧のようだった。


「別にわたし一人でも大丈夫なのに」

「フリルを一人では行かせられないでしょう」

「わたしたちもまぁ、力を貸すわよ」


 なんだかんだで美しい仲間意識のようだった。ちなみに俺=鎧の色は白銀に戻っている。


「なんなんでしょうね、その鎧。色が変わるなんて」

「いやらしい鎧ね」


 アラリスとリモネに好き勝手言われるが、いやらしいことを考えているのは事実なので俺は反論できない。反論したくてもする口がないが。


「ひどいこと言わないでよ二人共~。この鎧はわたしを守ってくれるんだよ」


 フリルがそう言って信頼を寄せてくれる。

 この信頼は裏切れないな、と思う。

 ベヒーモス・スタインでもなんでも倒してやろうじゃないか。


「それにしても峠にベヒーモス・スタインが棲みつくなんてね」

「何か悪い予兆なのかな」


 リモネとアラリスがそれが気がかりだ、と言うように呟く。

 俺はこの世界のことがよく分からないからさっぱりだが、悪い予兆のような気はする。

 だって、ベヒーモス・スタインとか、名前からして明らかに強そうだし。

 そして、峠とやらに到着すると、


(嘘だろ……?)


 俺はそう思ってしまった。

 全高10メートルはある巨大な動物がそこに居座っていたからだ。


「うわ、本当にベヒーモス・スタイン!」


 フリルが驚きの声を発する。


「やっぱり今から逃げた方がよくないですか?」


 アラリスがそんな提案をするが、それももっともだろう。

 こんな化け物相手に勝てる気がしない。


「それでもいつかはこいつを退治しないといけないし。ここは商人たちの御用達の道でもあるし」


 リモネはやる気のようだ。


「それじゃあ、わたしが先陣を切るよ。鎧さん。お願いね」


 フリルが俺に語り掛けて来る。

 それに応えてやるつもりだった。


「やあ!」


 フリルが駆け出す。俺はフリルに力を、と念じた。

 瞬間、フリルの体が加速する。その勢いで一気にベヒーモス・スタインに接近する。

 そして、斬撃。


 ――――グギャアア!


 ベヒーモス・スタインの悲鳴が響く。

 一撃で倒すとはいかなかった。しかし、ダメージは与えた。


「凄い……!」

「これもあの鎧の力だって言うんですか?」


 リモネとアラリスが後ろで驚いている。

 その隙にベヒーモス・スタインが反撃に角を振るう。

 それはフリルに当たりフリルの体が地面を転がるが、


「ダメージは……ない。この鎧のおかげだ!」


 どうやら俺は防御力低そうな鎧の割に防御力は高いようだった。

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