道の創造
清河ダイト
第1話
私はとある専門高校の生徒だ。
私は将来、社会を支えるためのインフレ設備や環境保護などで活躍するための学科、土木科を専攻している。
2年生になりそろそろ進学か就職か、一人暮らしか自宅から通うのか、己の将来を決める分岐点の1歩前まで来ている。
まあ、進学にしろ就職にしろ何かしらの資格を持っておいて損は無い。
だから私は先生に勧められるがまま、[小型建設機械]いわゆる[小型ショベル]の免許を取った。
その講習を受けるために必要な金額は約1万円。
かなり大きな金額だ。
それに私は兄弟姉妹が多く、もちろんみんな学校や幼稚園に通い、週末は大きなショッピングモールに行き買い物や食事を楽しむ。
昔は全く気にしてはいなかったが、最近自分が就職してお金を稼ぐようになったらどうだとか、を考えているうちに、なぜ親はこんなにも私たちにお金を出してもらえるのだろうと疑問に思った。
話は戻るが、前述した通り、私ほ講習を受けるために1万円を親に払ってもらった。
「これは将来仕事で役立つから必要な経費だ」 そのように考えれば、この1万円にも意味がある。
だが、最近私は将来土木に関係ない仕事に就いてみたくなり始めた。
その候補は小説家や国会議員、ラーメン屋など土木に全く関係の無い職種である。
もしこれらの職種に進んでしまったら、今土木の専門学校に通う意味も、必要も、時間も、知識も、お金も、全てが無駄になってしまう。
だからその事はまだ親には伝えられてはいない。
いや、そもそも私自身が何をしたいのか、私は何が好きで何が嫌いか、何が得意で何が苦手か、どうすれば満足のいく人生を過ごすことができるのか、それが全く分からない。
それに例え定職に着いたとしても、その仕事が永遠に続く保証はないし、今の常識が未来の常識と同じである可能性は全く無いし、そもそも働ける環境があるのかですら定かでない。
いちおう先生にはそれとなく話を濁して言ってみた。
そしたら「別に土木に関係しなくても就きたい仕事に就いたほうが良いよ! まあ、先生は清河くんには土木の仕事に就いて、いつかここで先生をして欲しいけどね!」と仰った。
つまり仕事を選ぶのは自由だ、自分自身で決めれるのだということだろうか。
だが、その自由が私を悩ませる。
周りの人やその期待が私を縛る。
「清河くんは○○であるべきだ」「○○をしたら伸びる」「○○をしたら将来安定だ」「□□なんて危なっかしい」
結局自由があるというのは物理的なものであって、精神的には日本に自由なんてものは無い。
それは日本人特有の周囲のの目や評価を気にして周りに合わせる感性が精神的に縛る要因である。
我が道を進もうと思っていても、心のどこかでその感性が私の自由を妨げる。
自由というのはなんだろうか? 物理的なものだけなのだろうか? いや、きっと世界常識的に自由とは物理的なものであり、本来精神的な自由というものは皆持っているのであろう。
だが精神的な自由は国の感性や文化的に左右され人を縛る。
だが、その不自由というのは決して悪いことではないのではないか。
もし人が物理的にも精神的にも自由になったとしたら、各々が好きなことを好きなだけする、社会性知性的に欠けた存在になってしまうのではないか。
哺乳類や鳥類、魚類などある程度の知識がある生物は少なからずの社会性があり、特に弱いものは同じ種類で群れを作り、身を守っている。
それは人間も同じだろう。
もし人間1人が突然野生に放り込まれたら、持ち前の頭脳を使ってそこそこは生きるだろう。
だが圧倒的な肉体よ脆弱さは余程の知識と体力と技術力がなければ覆せない。
一般人なら1年も経たないうちに死んでしまうだろう。
そんな脆弱な人間がいま、地球の覇者となっている。
それこそが自由を縛ることによって社会性を産み、弱い者同士が寄り集まり、それぞれがそれぞれの役割をこなすことによって、人間は繁栄してきたのだ。
英雄には平民が必要で、平民には英雄が必要なように、人間が生きるためにも有名人とそれを支持する人が必要で、もっとも必要なのは支持する人、支える人だろう。
……たけれど。
それでも私は大きな事がしたい。
夢を持ちたい。
歴史に名を残したい。
ただの平民が夢を語ってもただの幻想にしかならず、実現できるはずもないだろう。
でも、それでいい。
ただの幻想でも良い、それでも私は夢や希望を捨てたくない。
そうしなければ、人はただの奴隷となってしまうだろうから。
せめて、学生の時までくらいは夢を持っても良いんじゃないか。
道の創造 清河ダイト @A-Mochi117
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