カモネギ風

(父・充の誕生日を一週間過ぎた土曜の夕方)

樹「……あーやばい……先週土曜って親父の誕生日だったじゃん……思いっきり忘れてた……

 親父、何気にイラついてるぞこれは……んーどうしよ……」


(約15分後)

樹「準備はよし、と。

 あとはこの前ちょうど買っといた取っておきのワインを……すごく惜しいが適当にラッピングして……」(ごそごそ)

柊「樹さん、さっきからなんだか落ち着きませんね。どうしたんですか?」

樹「(ギクリとしたように振り向き)あっ柊くん。えーっと、突然なんだがこれから実家へ顔出そうか。夕食用意してくれてるらしいから」

柊「え……いいですけど……なんかあったんですか?」

樹「んーいや別に……(ごにょごにょ)とりあえず柊くんはこのワインを持って。今日はこの最高級品を思いっ切り飲んでくれ! 運転は僕がするからさっ♪」

柊「?」


(樹の実家)

柊「こんばんはー。なんか突然お邪魔しちゃってすみません。あのこれ、ワイン持ってきましたが……」

充「おお〜〜柊くん!! よく来たねっ♡♡

『今日はなんだかお義父さんとゆっくり飲みたい気分だから、これから実家へ連れてってくれませんか?』なんて可愛いことを樹におねだりしてくれたそうじゃないか〜! 先週は誕生日を完全スルーされて実は怒り心頭だったが、そんなのはもうどーでもいいな! さあおいで♡♡(柊をムギューーっと熱烈ハグ)」


柊「……(ハグされながらキッと樹を見る)」

樹「……(申し訳なさそうに手を合わせる)『これ以外に父の怒りをなだめる方法がなかったんだ……頼む許してくれ柊くんっっ!!』」


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