父の書斎(いろいろな意味で危険です)
(一週間遅れの父の誕生日祝いのディナーの後。樹は母・麗子とキッチンで皿洗い)
樹「(片付けを終え、リビングを見回す)……あれ、父さんと柊は?」
麗子「あら? さっきまでいたんだけど……一緒に書斎にでも行ったのかしら?」
樹「……書斎……
なんで二人だけで書斎……(表情がざわつく)」
(充の書斎の前。樹、こっそり様子を窺いに来る)
樹「いやそんなおかしな心配なんかこれっぽっちもしてないし。二人とも結構酔ってたし、なんだかいい雰囲気になってた気もしたけどそんな予想外の展開などあるはずがないのはわかってるんだ……あるわけないだろっっ!!
ただ、ほら一応、というかなんというか……(自分の行動の後ろめたさを必死に自分自身にブツブツ弁解しつつ、ドアに聞き耳をたてる)」
(ドアの奥の会話)
柊「……あ、お義父さん……そこは困ります……」
充「困る? ここからが楽しいんじゃないか。
——実は以前から、君のそういう顔が見たくてたまらなかったんだよ」
柊「……意地が悪いんですね……でも、ここで逃げたりはしませんから」
充「その勝ち気さがたまらなく可愛いな、君は。
でも、そうやって抵抗しても無駄じゃないのかな?……ほら、こんなところも隙だらけだ」
柊「あっ……ダメです……こんな激しい攻められ方……っ」
充「ああ、君が相手だと、何だか歯止めが効かなくなりそうだ……どうした柊くん? もう降参か?」
柊「——まだです。
あなたの弱点、見つけましたよ……ほら、ここ……どうです?」
充「あっ……君そこは……
ああ、なんということだ……見る間にこんなにも色が変わってしまって……。
参ったな、こんな風に一気に攻守が入れ替わるなんて……君は可愛い顔をして随分と残酷なんだな」
柊「ふふっ、さっきまで俺を煽ってたのはお義父さんでしょう?」
充「——仕方ないな。悔しいが、私の負けだ。
じゃあ……約束通り、何でも君の言う通りにしよう。君の望みを言ってごらん」
柊「(甘い声で囁く)……それなら…………」
樹「…………(我慢の限界に達し、バンっとドアを開ける)
ちょっと待てえーーーー!!!!!
何やってんだよ二人でっっ!!??? はあ!?攻守が入れ替わる!!?? 柊くん、僕とやるときは入れ替わったことなんか一度もないじゃないか!? 親父とはチェンジで楽しめるってどういうことだっっ!!? そして父さん、柊は僕のものだ!! やっていいことと悪いことがあるだろぉっっっっ!!!」
(柊と充、いきなり入ってきた樹の凄まじい形相をキョトンと見る)
充「……どうした樹?
今柊くんとオセロやってたところなんだが。負けた方が罰ゲームやるって約束で。……攻守入れ替わったのがそんなにまずかったか??」
柊「(冷ややかな眼差しで樹を見る)……人を生け贄みたいに使っておいて……なに想像しちゃってんですか。やらしいですね」
樹「…………(顔を覆う)『人生でこんなにも自分自身を恥じたのは初めてだ……!!!!』」
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