ミス

 菱木さくらさんは、神岡の秘書。俺と神岡のここまでの道のりを支え、応援してくれた人だ。強く賢く美しく、おおらかな優しさはどこか姉のようでもある。

 ……だとしても、こういうミスはどうなんだ俺?(汗)



柊「失礼します。

 菱木さん、先ほど依頼された資料をお持ちしました」

さくら「三崎さん、おはようございます。本日は副社長は夕方まで戻られませんので、私がお預かりいたしますね」

柊「あれ、そうなんですか?

(ちょっとむくれる)樹さん、今日は一日会社にいるって言ってたのに……アバウトなんだから」

さくら「……………」(驚いて思わず柊を見つめる)

柊「……(はっとして口を押さえ、一気に赤面する)あっ……。すっすみません、心の声がつい……

 ふっ副社長が戻られたらお渡しくださいっ!!」(真っ赤になってだっと走り去る)

さくら「(口元が緩みそうなのを必死に堪える)かしこまりました……

『うあー、プライベートでは「樹さん」……(//∇//) かっかわいー……!!』」



樹「菱木さん、今戻ったよ」

さくら「(微妙にニヤつく)副社長、お疲れ様でした。

 設計部門の三崎さんより、こちらの資料をお預かりしました。確認をお願い致します」

樹「ん、ありがとう。

 しゅ……(はっと気づき、慌てて言い直す)みっ、三崎君から他に伝言などは?」

さくら「……(ますますニヤケそうになるのを必死にごまかす)いいえ、特に……

 ただ、だいぶ怒っていらっしゃいましたよ」

樹「えっ、怒る!?」

さくら「ええ。今日あなたが不在なことを知らなかったって、ふくれてらっしゃいました。

 ……副社長、あんな可愛い方じゃさぞ……(ニヤニヤニヤ)」


樹「…………(一気に照れる)ちゃんと仕事しなさい、菱木さん」



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