イタリア系

柊「お呼びでしょうか、社長」

樹の父・充「ん。まあ座りなさい。いまコーヒー持って来させるから」

柊「……あの……俺、何か仕事でミスでもありましたか……?」

充「いや、特に大した用事はないんだ」

柊「は?」

充「この間、樹に大事なプリンを食べられたそうだね。……あいつ、その後君にちゃんと買ってきたかい?」

柊「あ……いえそれはまだ……でも、俺もそんなのすっかり忘れてたし……」

充「全く、だからあいつはダメなんだ! やっと手に入れた恋人を大切にしないでどうする?

 私がさっき外出ついでに例のプリンを買っておいたから、ここでゆっくり食べていきなさい」

柊「えっ……」

充「それに、たまに家に招いても、あいつがいつも睨みを利かせてるしな。こうでもしなければ、二人きりでゆっくり話もできないじゃないか。

 ……ね、少しくらい、いいだろ?」

柊「…………」



(その夜)

柊「あの、樹さん……神岡家には、どこかでイタリア系の血とか入ったりしてます?」

樹「えっ、イタリア系? いや、そんな話は一度も聞いたことないけど……どうしたの急に?」

柊「いえ……

『お父さん口説き上手ですね……なんて死んでも言えない……』」


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