(三)

 あれは一六年前、俺が高校一年のことだった。

 俺はサッカー部に入り、一年でレギュラー入りを目指して毎日猛練習していた。

 一学期の学期末テストも終わり、終業式の日のことだった。学校が終わり、着替えて部室を出てグラウンドへ行こうと思っていた矢先、部室棟のところで、女子生徒に声を掛けられた。それが木坂緑だった。

 彼女とは同じクラスだった。中学でも一年と三年の時に同じクラスだった。

 木坂は大人しい子だった。回りには言ってはいなかったが、俺の好きなタイプだった。だからといって声を掛けたりとかそういうことは全然なかったのだが。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る