(二)-7

 香と俺の関係は、香が言うように彼女の母親が俺を頼れと言ったことだけだった。香がそう言っているだけであり、それは言いがかりだ。

 とはいえ、香に身寄りがないのは、警察から電話がかかってきたことから言って間違いはなさそうだった。気の毒に思わずにはいられなかった。

 愛生にジッとにらまれ、俺はそれ以上何も言えずに黙っていた。

「で、あなた、どういうことなの」

 そう言うと愛生の意識と視線は香の方に向いた。俺は少し安心した。

 香は亡き母に俺を頼れと言われて、ここへやってきたと答えた。

「他にも男はいるでしょう。他の親戚とか、いなかったの?」


(続く)

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