(二)-8

 愛生にそう言われて、香は隣に置いてあった鞄を開けて中に手を突っ込んだ。しばらく何かを探っていたかと思うと、手を引き抜いた。そしてテーブルの上に置いた。シルバーのリングだった。

 愛生がリングを手に取り顔に近づけてまじまじと見ながら「これは?」と尋ねた。

 しばらく見て飽きたのだろうすぐに手を俺の方に突き出してきた。俺はそれを受け取ってよく見てみた。

 それはただ丸いだけのシンプルなものではなく、ハトの模様の入った、デザインとしてはとても変な、カッコ悪いデザインだった。若い子がするにはダサすぎる。しかし、このダサイ模様、どこかで見たことがある気がした。それにしても一体どこだろうか。


(続く)

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