(二)-3

 俺はそう言って立ち上がった。彼女も立ち上がった。俺は右手で公園の出口の方を刺して、彼女を立ち去るように誘導した。彼女はそれに従い、出口の方へ歩みを進めた。

 俺は諭すように「申し訳ないけど、俺ができることは、このくらいなんだ。すまないね」と穏やかに言いながら、彼女を公園の出口まで送った。彼女は出口を出ると、一礼してスーツケースとともに駅の方へと歩いて行った。

 俺はベンチまで戻ると、砂場で山を作るのに夢中になっている二人の子どもを置いたままにした愛生がベンチの所まで戻ってきて「それで?」と聞いてきた。


(続く)

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