(二)-2
一体俺が何をしたのか、さっぱりわからなかった。飯室という苗字にも身の回りにはいない。学生時代に付合った女性は、可部と中島だったし。
いずれにせよ、俺はこの少女のことを知らない。俺はポケットから長財布を取り出すと一万円札を取り出し、彼女に差し出した。
「君の母親が亡くなったことには同情するけど、ご覧の通り俺には妻と子どももいる。縁もゆかりもない君を引き取る訳にはいかないんだ。悪いがこれを渡すから、帰ってくれないか。地元の区役所に行って生活保護の申請をするなりしなさい」
(続く)
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