ティーチャークエスト

※本項では、昭和末期〜平成初期の学校の光景に言及しています。現代からでは考えられないことですが、かつてこういう時代があったという実経験に基づく記述となっております。ご了承ください。



 我が子セシル(仮名)は最近、国民的なRPGシリーズの、レトロなタイトルにハマっている。私はそのシリーズわからんのだけど、昔それをやりこんでいた夫ニコライ(仮名・絶賛腰痛持ち)と親子で話がはずむのはけっこうなことだ。


 そんなセシルによると、学校の先生にはとんでもない魔法使いがたくさんいるらしい。眠くなる魔法を使う先生。混乱する魔法を使う先生。幻を見せる魔法を使う先生。マヒとか猛毒の特殊攻撃を使う先生もいるとか……それってどういうことかと聞いてみたら、嫌味を言ってくるという意味らしい。なるほど。それらの合せ技を使う先生もいるのだとか。一度に複数の効果を発動してくるそうな。ちなみに担任の先生は回復魔法を使ってくれるということだ。


 ゲームの具体的な呪文はよくわからんけど、効果としては納得がいって、大笑いしてしまった。思い起こせば私が学校に通っていた時代には、魔法使いばかりか戦士系の先生も多くいたものだ。竹の棒を装備し、必殺の一撃を放ってきた先生。チョーク投げという特殊攻撃を使う先生。寒ーい冗談で教室を氷漬けにする先生。生徒の所持品検査(?)を行うシーフ系の先生もいた。授業でいきなり「次の問題答えてみなさい」とあてる、不意打ちくらわす先生も。気がつくとドア付近に現れていた、バックアタックくらわせる先生とか。あの時代にはとんがった生徒もけっこういたけど、彼らをうまくあしらう猛獣使いの先生もいたなあ。


 こう考えると、学校の先生ってなかなかにモンス……いやいや💧生徒のいろんな耐性鍛えてくれたものですな。もちろん、上手に生徒の能力を上げてくれた先生も大勢でしたが。疑問点をわかりやすく解説して攻撃力アップしてくださったりとか。アドバイスという呪文で防御力を上げてくださったりとか。あと……あと……ええーとまあその……生徒数やたら多い時代だったので……。もちろん、お世話になりましたという感謝の気持ちは変わりません。ただ、まあ、たまにイロモノ……いやいやいや💧いろんな先生がおられたものです。


 時代は変わりましたが、今も昔も教師という職業が激務であることに異論はありません。社会の中で生きていく人間を育てる、ほぼ根っこに近い部分に大きく関わるという大切な仕事。そして「たいへん」の内容が大きく変わってきてはいますが、生徒への対応が神経を削ることは間違いないです。

 ほめて伸ばす型。俺の屍を越えてゆけ型。伸びたければ食らいついてこい型。授業ではわからない長所にさりげなく水と肥料を与える園芸型。タイプはいろいろでも、この先力いっぱい生き延びてほしいと、生徒ひとりひとりに願っておられることと思います(たぶん)。

 先生方、毎日おつかれさまです。ありがとうございます。


 そして生徒たちも、経験値を蓄積しまくってレベルアップして、社会という新たな世界に旅立つのです。


 セシル、がんばれよ。

 この先元気に生きていくことが、最大の恩返しだぞ。

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