必殺! エレキトリック・スパーキング!

 まだまだ寒さが続く季節、暖房が欠かせませんね。エアコンを使う方も多いことでしょう。

 そうなるとこの季節、乾燥、というヤツと無縁ではいられない……すると、ワタシの特異体質(?)は、静かに牙を剥くのである……。


 そう、ミナキマサオは静電気人間なのだ。


 着るものも影響しているかもしれない。この季節、ミナキの服は高確率でニットだ(ちなみに制服の職場ではない)。しかし、自宅ではたいしたことはないのに、職場ではやたら「パチッ」とくるのである。そりゃもう、ヒドイ。

 金属のロッカーの扉に触ると「パチッ!」。ドアノブをつかむと「パチッ!」。しかも、ミナキが職場で拝借しているデスクは、天板の縁取りが金属製だ(アルミかスチールか?)。立ち上がろうと、うかつに机の縁をつかむと「パチッ!」である。「うぉあおっ!」となる。いや、実際に声を上げてしまうこともある。どうかすると職場の人に「今、パチッて音がしたね」と言われる。

 暗闇では、静電気は火花が見えるそうである。自宅で試したことは何度かあるが、まだ目にする機会はない。やっぱり自宅より職場か。だが職場で真っ暗になる機会は今のところ、ない。どうなんだろう。


 対処法。

 まず、部屋の外に出る機会があれば、なるべくついでに手を洗う。手を洗うと、しばらく静電気はおさまってくれる(感染対策にもなって一石二鳥)。

 それと、なるべく指先でなく、てのひらとか広い面積で、物に触る。指先という狭いところで金属に触れようとするので衝撃が大きくなる、らしい。てのひらなら、衝撃はまだ軽くてすむそうな(パチッとくることにはかわりないのだが)。

 あと、壁に触って、静電気を逃がしてから、金属に触る。

 ……どれも、とっさに忘れそうな対策である。実際、忘れたことは数知れず。来客があったりして、あわてて立ち上がろうものなら、机の縁で「必殺! エレキトリック・スパーキング!」発動である。これが痛いの痛くないの。破壊力抜群である。もはや必殺技と呼んでさしつかえあるまい(つまり自滅技)。

 ちなみに、静電気を防ぐバングルというのは、毎日身に着けている。その上でこの体たらくである、と補足しておく。


 ヒドイときには、人の手に触っても「パチッ!」である。書類とかだと平気だが、小さなものとか、おすそわけのお菓子とか手渡そうものなら、たちまち「必殺! エレキ(以下略)」である。もう職場ではワタシの体質は知れ渡ったので、最近は断りを入れて、手渡さずに机に置かせてもらうことにしている。

 パソコン、スマホ、コピー機などが「飛んだ」ことはまだないのだが……静電気でそうした被害は、出るのだろうか。


 こうしてミナキマサオは、新たな必殺技を身に着けた。発動時のポーズを考えてみてもいいのだが、発動するのが突然なので、ポーズをとる暇はおそらくない。使う機会のないポーズを考えてもしょうがないのであきらめようと思う。


 ……アタシに触れると、シビレルぜ。

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