第10話 コロコロ

「お〜い。助けてくれ〜。誰か〜」

「首は無理にねじれ、腕は変に曲げられ、服は汚れて洗っても貰えず。理不尽な要求は止む事もなし。日々連れ回され、ひどいときには屁を嗅がされる。どうにかしてくれ」

「押し潰され、ペッチャンコ。振り回され、何処かに飛ばされ、もうこれでこいつとはオサラバ出来ると思っていると、また捕まる。俺がいったい何をしたって言うんだ」


 ボブヘヤーで85キロくらいはあろうかと思われる女性が、真っ赤なシャツとジーンズ姿で椅子に座っている。目は何処と無く、おざなりで夢見がちと表現した方がいいだろう。化粧はアイラインをハッキリ書いたと表現すればいいのか。目の周りが青く、頬のあたりが赤い、唇は真っ赤。何と見つけやすい人相だろう。


 彼女の目的など、分かりはしない。ただ、自分よりも弱者に対して優しくない事は確かだ。老人や子供がいても座っているのだから。横に座っていた上品な女性は直ぐに立ち上がり、席から離れた。


ややあって、女の携帯が鳴った。出る女。

立ち上がり、のっしのっしと肩を揺らし、ケツも揺して何処かに行く。


見るとお尻のお肉の上に、潰されて、ペッチャンコになったような人形がヒモに吊るされ、肉の躍動に引きずられ、フラフラと手を振るように見える。


その時、人形の声が聞こえた。「助けて〜」

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この〜KYな奴〜!! @abeyu6629

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