第8話 ええカッコしい

「お父シャン。オク、もう疲れた」

「そうか、オンブしたろ。今日はぎょうさん歩いたからなぁ」


少し歩いていくと、「元気なったわ。降りるわ」

「そうか」と、下ろす。


「やっぱりあかんわ。しんどいねん」

「そうか」


「元気になったわ」

「?」


急にしんどくなり、急に元気になる。不思議なことが起こってます。

そう言えば、元気になる時、前から小学生が歩いて来たなぁと、思い返していると、丁度前の方から小学生がやって来た。

「下りるわ。元気なってん」

「そうか。こっちの道から帰ろか」と小学生の下校ルートを歩かせる。


元気に歩く歩く。けど、もうすぐ下校ルートから外れるなぁと思っていると、一人も小学生が見えなくなった。辺りを見回すオク。困った事に小学生が見えなくなると、すぐに疲れて来るオク君は、もう歩けないと言い出す。


「それじゃあ。ここからは家まで駆けっこで勝負をしようじゃないか?」

「うん!」

「用意〜ドン!」

走る走る。あんた疲れてたんと違いますのかと聞きたいくらい走ります。

前を走る余裕からか、後ろをチラ見して来ます。自分の左後ろにいると思っているようで、チラ見をして来ます。家が見えて来て勝てると思っているようです。すっと右に体を移して横を抜き去り、勝ってやりました。

「もう少しで勝てたのに。惜しかってん」


疲れてしんどいはずやのに、自分の走りを熱く語ります。

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