回り道
平野
第1話
物心がついた時から国語の授業が嫌いだった。国語という教科は、勉強をしているだけに見せかけて、僕たちの中に大人達の共有するものを刷り込ませようとする。大学生になってあんな授業がないのが救いである。
大学の講義はいい。余計な統一感や押し付けが全くない。ただ本質だけを汲み取っているような感覚を味わえる。この授業もそうだ。机や椅子の無機質さ、講義を受ける学生たちの統一感のない淡白さに安心させられる。
だが、最近この空間に一つだけ不純物が入り込んでしまっている。その秩序を乱している女は、黒板から見て,二列目の一番左の席にいつも陣取っている。
陣取っていると言っても、ただ座っているだけかもしれないが、彼女の放つ異質さはそう表現したくなるほど攻撃的なのだ。
回り道 平野 @sakanade16
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