The Sky Diary

しーちきんサラダ

第1話

帰り道に突然雨が降り出した。

カバンのポケットから、折りたたみ傘を取り出し、開いた。


今日は部活がないから、早く帰ってゲームをしようと思っていたのに、雨のせいでやる気が下がってしまった。

登下校の雨が1番めんどくさい。

傘を持つのが億劫おっくうになり、傘自体が浮いて自分についてきてくれればいいのになと、雨が降るたびに思う。

前を歩いている中学生が傘を閉じていく。

僕は傘の外側に手を出して雨が止んだのを確認し、少しだけ濡れた傘を閉じた。


今日は何を考えようか。

僕は1人で帰る時は何もすることがなくて暇だから、考え事をする。だけど、思いついたことをすぐにメモ出来ず、家に帰った頃にはほぼ忘れてしまっている。

いいアイディアが思いついた時に限って、短時間で忘れてしまうから、この問題を解決出来ないかと今悩んでいる。


今日は、気分が乗らないし、どうせ考え事をしていても忘れるから、久しぶりに空を眺めながら帰ることにした。

今日の空はとても神秘的しんぴてきだ。

さっきまで雨が降っていたからか、東には大きな重いねずみ色の雲。西には水色の空に小さな白い雲がいくつも浮かんでいる。

空が地獄と天国に分かれていた。

帰る方向は東だ。僕は今から地獄に行くのか。

北にはもくもくと立体的で映画の風景にありそうな白い雲があった。この雲を僕は勝手に3Dスリーディー雲と読んでいる。

こんなに3Dスリーディー雲があふれていることはあまりない。

僕は360度空を眺めた。

数分歩くと、さっきまで雲に隠れていた太陽が顔を出した。

だんだん、白色の雲が増えていき、空は水色から鮮やかな青のグラデーションになっていた。

僕はこの景色を写真に収めたいと思った。


人間たまに空を見るのもいい。

と言うか、見た方がいいと思う。

人間は気持ちが変わりやすい。

空の景色も常に変化している。

嬉しい時は明るく、悲しい時は泣く。

怒っている時は怒りをぶつけ、しんどい時はどんよりする。

人間と空は似ているのかもしれない。

雨が降っている時は、空が僕らの悲しい気持ちや苦しい気持ちを吐き出している。

雷がなっている時は、僕らのストレスやイライラをぶつけてくれている。

そのほかにも、空は細かな表情の変化を僕らに見せる。

もしかしたら、空は人間より繊細なのかもしれない。

空だって僕らと同じように、いろんな気持ちをもって日々生活してる。

今日の空はどんな表情をしているのだろう。

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