頭のネジ

御厨カイト

頭のネジ


「お前、頭のネジ外れてんな」


「……はっ?」



ある授業内での班活動中、班員が急に俺に向かってそう言ってきた。



「……いきなりなんだよ」



何だかんだよく話す奴からのそんな不意な一言に少しイラっとする。

結構考えた案について発言をした直後だったから尚更。



「いや、ちょっと気になったから言っただけさ」


「気になった?どの部分が?」


「どの部分って言うか……見たまんま、かな」


「……意味分かんねぇ、俺の発言がおかしかったなら素直にそう言えば良いだろ」


「……うん?あっ、別にそういう意味で言ったんじゃなくて――」


「はっ?今更言い訳すんのかよ。……マジで腹立つな」



今更言ったことを取り繕うとしてくるアイツにマジで腹が立ってくる。

それでもまだ何かを言ってこようとしてくるから、ジッと睨んで「……チッ」と舌打ちしたら静かになった。


他の班員も何故かアイツを庇おうとしてきたが、完全に無視した。



それから少ししてチャイムが鳴り、授業が終わる。

「ふぅ……」と息を吐きながらサッサと帰る準備を始めた。



「なんか荒れてんな、お前」


「……蓮か」



荷物をカバンに入れながら、チラッと横を見る。

そこには友人の蓮が呆れた顔をしながら立っていた。



「また喧嘩でもしたのか?やんちゃはほどほどにしとけ」


「別に今回は俺は悪くない。ていうかお前はオカンかよ」


「ハッ、お前みたいなやつを産んだ記憶はねぇ。まぁ、あまり気にすんなよ」


「……分かってるさ」



荒んでいた心が少し楽になっていくのを感じながら、俺はカバンを背負う。

そして、帰ろうとしたその時――



「それにしても、お前、頭のネジ抜けてねぇか」


「っんだよ!蓮までそんなこと言ってくんのかよ!……クッソ」



まさか、友人の口からもそんな言葉を聞くだなんて思ってもいなかった俺は悪態をつき、足早に教室を去る。

後ろから蓮の呼び止める声が聞こえた気がしたが、また無視した。









はぁ……チッ……なんだよ……

そんなにおかしいこと言ったかな……



個人的には結構しっかり考えた案だっただけに悔しいし、腹が立つ。

あとちょっぴり悲しい。




……まぁ、気にしても無駄か。



最終的にはそう考え、もう一度「はぁ……」と息を吐く。





それにしても……マジでロボットの数が増えたな。

技術が進歩して、ロボットさえも人間と同じように生活できるようになったらしいけど……こんなに増えるもんかね……




道行く人及びロボットたちを見ながら、俺はぼんやりとそんな事を思う。












さっきまでの怒りとかがいつの間にか消え、のんびりと色々なことを考えていたらあっという間に家の前に着いた。

そして、玄関のドアを開けようとした時、自分の体の異変に気付く。




……何か、頭がグラグラする?

それに合わせて視界もぐわんぐわんと揺れている。



「何だろう」と思い、自分の頭に手を近づけようとした次の瞬間、







バキッ








そんな異音が鳴ったと同時に、視界が今度はどんどんと地面へと近づいていく。








あっ、『頭のネジ』ってソウイウコトダッタノカ……








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頭のネジ 御厨カイト @mikuriya777

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