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灯台へは、細い急坂を少し登る。車は通れないと思ったが、ある程度登ったところで駐車場が現れた。車は、今は停まっていない。
駐車場に自転車を停めて、灯台へ向かう遊歩道を進む。
背の低い草が、海風に揺れている。
天気は悪くないが、晴れてもいない。風だけが強い。
全く気付かなかったが、近くで見ると塗装が異様に新しい。
建造自体はかなり古いはずだが、内側はよほどしっかりしていると見える。
中だけでも強ければ、外も見繕えるのかもしれない。
建物より先は岬のようになっていて、少しだけ先まで進めた。
ごつごつとした足元を足裏に、念のため手すりをつかんで水平線を見る。
眼下で砕ける波に東映を思いながら、落ちるまでの時間を目算する。
風を切る音に、時間差で聞こえる波の音。
次第に加速する身体と、不意に暗くなる視界。
痛みがあるのかはやってみないとわからない。
もとい、自分にそんな度胸はない。
少し風にあおられながら、踵を返した。
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