自転車で、海のほうへ降りていく。

線路を西に折れて駅を過ぎると、車は一気に少なくなった。

道路沿いに建物はあるが、独特の静けさがあたりを包んでいる。

人は住んでいるのだろうが、姿を見ることは少ない。こちらは、総じてそういう土地が多い。


港の西側は岬になっている。

断崖沿いに伸びる細い道にぽつぽつと点在する集落の先には、灯台や水族館、かつての漁師町が少し残っていた。

旧道であった道や閉塞されたトンネルが、いくらかの過去を運んでいる。


国道とのY字路を過ぎてからは、交通量はほとんどなかった。

新しめのトンネルを歩道からいくつか抜けて左カーブを曲がると、思ったより近くに灯台が見えた。こちら独特の、赤と白の縞模様の柄だ。


少し下りになった道を、ハンドルの力を少し抜いてゆっくりと滑っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る