第9話 中止になった家族との食事
私はため息を吐き多少イラつきを覚えながらリビングへと降りた。リビングでは両親が食事の用意をしていて私は小さく笑みを浮かべ「何か手伝おうか?」と問いかけた。
「煌!いいのいいの。煌は座ってなさい」
「あとはもう並べるだけだからな」
「分かった。」
「あっそうだ煌。ご飯の前にお薬飲みなさいね」
「はーい」母さんに言われ薬を取りに行こうと私は立ち上がった。するとぐらりと目の前が回った。あぁ……またか。そう考えながらそのうち来るであろう衝撃に目を瞑り備えた。
しかしいつになってもその衝撃が来ることはなく私はゆっくりと目を開いた。
「あっぶな……あっお姉ちゃん大丈夫!?」
「……彩波?」
「煌!大丈夫か?!」
「……大丈夫。少し眩暈がしただけ……」
「お姉ちゃん座って。私お水取ってくるから」
「……えぇ。」 私は支えられながら椅子に座り小さく息を吐いた。父さんは「落ち着いたようでよかった。薬取ってくるよ」と告げて私の部屋へ向かった。
「お……お姉ちゃんこれ。お水だよ」
「……ありがと。」手渡された水の入ったコップを受け取り私はゆっくりと冷えた水を喉へと流しゆっくりと息を吐いた。
「……もう大丈夫。母さんごめん……やっぱりご飯いいや。」
「……そう。後で果物持って行くわ。少しでも食べないと」
「ありがとう。」
「煌、薬持ってきたぞ」そう告げてきたのは父さんだった。私は立ち上がり「ありがとう」と告げて薬の入ったケースを受け取りそのまま薬を飲み私は部屋へと戻った。
部屋へ戻ったあと私はベッドに倒れ込みため息を吐いた。これじゃあ病院に居た方がマシだ……そんな事を考えながら真っ暗な部屋の中そっと目を閉じた。この心臓はあと何日……あと何年動けるだろうか。あとどれ位私は動くことが出来るだろうか。そう考えているとピロンと電子音が部屋に響いた。
「……梵くん……?」メールを見てみると楽しんでるかのメールだった。私は小さく笑みを浮かべ『楽しいよ。また帰れるように頑張らなきゃ』と返信して私はもう一度目を瞑った。
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