第7話 自宅へ
次の日、目を覚ませば窓から漏れる淡い光に私は目を細めた。私はゆっくりと起き上がり伸びをして机の上にあるカレンダーを見つめ小さく笑みを浮かべた。「やっと帰れる……」私はそう呟き、ベットから抜け出し窓のカーテンを開けた。空は清々しい程の青空で太陽は眩しいくらいに輝いていた。ゆっくり息を吸い込みそのまま吐き出せば心はスっと軽く感じた。するとドアを3回、ノックする音が響いた。
「涼宮さん。入っていいかな?」
「あっ先生……」
「お母さん達、もうすぐ来てくれるみたいだから準備しておいてね」
「分かりました。あ……あの!」
「ん?どうかしたかい?」
「帰宅許可……ありがとうございます……」私がそう告げれば主治医の先生はにこりと笑みを浮かべた。
数時間後、主治医の先生と入れ替わりで両親が病室へ入ってきた。「煌。準備は出来てる?」と母の問いに私は頷き荷物を持った。
「いつでも大丈夫だよ」
「ほら煌。その荷物貸しなさいお父さんが持つから」
「あ……ありがとう。」
「帰ったらご飯ね。何が食べたい?」
「なんでもいいよ。」 その言葉に両親は顔を見合せ笑った。本当に何でも良かった。お母さんのご飯が食べられるだけで。私は父に促されるまま車に乗り込み、自分の家へと向かった。
家に新しく増えた家族なんて私はまだこの時は知らなかった。母さん達にその子を紹介されるまで……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます