第6話 帰宅許可
2日後、いつも通り検査を受けたあと私は病室のベットに寝転んでいた。すると軽いノックの後に医師が入ってきた。
「涼宮さん。検査の結果だけど……」
「…はい。」
「一時帰宅が認められたよ。」
「……本当に?」
「あぁ。ただし1日だけ」医師から告げられたその言葉に私は瞬きしたあと笑みを浮かべ「構いません」と答えた。やっと自分の家に帰れる。それだけで私は幸せだった。医師と少し言葉を交わしたあと出ていくのを見送り私は梵くんへメールをした。なんて打てばいいか分からなくて短い文章で【一日だけ帰れるようになったよ】と打ち込み送信するとすぐに返信が返ってきた。彼はとても喜んだ文章で【おめでとう!良かったね】と返ってきた。その返信に私は笑みを浮かべ両親にも【一日だけ帰宅許可が取れたよ】とメールをした。すると父から電話がかかってきた。私は瞬きをして慌てて電話に出た。
「も……もしもし?」
『煌!帰って来れるって本当か?嘘じゃないな?』
「こんな嘘ついてどうすんの……帰れるよ。明日には帰るから迎えに来てね」
『もちろんだ。帰ってきたら好きなもの沢山食べような煌』父はそう告げて電話を切った。私はその言葉に息を吐き「食べれたらいいけどね」と呟いた。あと何日私のこの心臓は動かせるのだろう。あと何日私は家族と笑えるだろう……いつ急変してもおかしくないこの制限付きの身体を少し憎みながら私はそっと眠りに落ちた。
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