第5話 初めての連絡

その日の夕方、私は紙に書いてあった連絡先を携帯に打ち込み「メモ見たよ来てくれてありがとう」とメールを送った。すると数分経ってから返信が来た。そこには「メールありがとう。これからは僕が部屋に行くから体調悪かったら言ってね」と書いてあった。私はくすりと笑い「ありがとう。」と返信して携帯をサイドテーブルに置いた。

「……誰かに連絡するのって久しぶりだな……」そう呟いて私は天井を見上げた。真っ白な天井はもう見飽きた程で。あとどれだけこの天井を見てればいいのかなんて考えていれば医師が入ってきた。


「涼宮さん体調はどうですか?」

「……先生。まぁ良くなってたら良いんですけどね。」

「良くなるよ。きっと」

「……先生」

「どうかしたかい?」

「1度でいい。1度でいいから……家に帰りたい」私がそう言うと医師は少し驚いた表情を浮かべたあと「あぁ……検査をして調子が良ければ1度家に帰ろう」と告げた。私はにこりと笑って頷き医師が病室から出ていくのを見送った。

「……帰れるといいな……」と呟いて置いたばかりの携帯を手に取り「検査次第だけど家に1度帰れるかもしれない」と彼に連絡をしたあと母にも同じようなメールを送った。すると梵くんから「良かったね。退院?」と返事が来た。私は「退院ならどれほどいいか……」と呟いたあと「違う。私のわがままなんだ」と返信した時に母から電話がかかってきた。

「もしもし」

『もしもし煌?家に帰れるの?』

「帰れるかも……だけどね。」

『そう……帰れるならすぐに言ってね迎えに行くからね』

「……うん。ありがとうお母さん」そう告げて私は電話を切りまたサイドテーブルに携帯を置いた。手元にある卓上カレンダーを見つめ次の検査の日を確認する。「……次の検査は明後日か……」と呟き私はまた目を閉じた。

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