終わりの道
青斗 輝竜
第1話
私は今とても長い階段を上っている。
虹色に光り輝く幻想的で神秘的な階段。
どこが終わりなのか全く想像が付かないけれど、不安にはならない。むしろ心地が良かったりもする。
ふわふわした気分のまま鼻歌を歌うかのように私は光の方へと向かう。
疲れはしない。
私にその機能はないから。
でも、なんで――
私という存在はもう消えたはずなのになんでだろう。
体は無くなってしまったのにすごく気持ちがいい。
その疑問も感覚もすぐに消えた。
目の前にはどこまでも続く空と海。
海からは色とりどりの花が咲いており、私の事を歓迎しているみたいだった。
私は笑って階段を駆け上がる。
「あれ……今なんで笑えたんだろう。――あっ」
体はないのに笑うことも喋ることも出来た。
思っただけで実際に出来ていたか分からないけど……。
「きっと神様のおかげだね」
うん、きっとそうに違いない。
この階段という道の先がどこに繋がっているのかは分からないけど。
天国でも地獄でも私を歓迎してくれるんだったらどこでもいいかな。
生きてる間は皆に迷惑かけちゃったから今度こそは誰にも迷惑かけずにいたい。
お母さん、お父さん17年も病気を患った子を授かって大変だったよね。
私がいなくなった瞬間、微かに泣き声が聞こえたけどあれはどっちの声だったんだろう。
でもすごく嬉しかったし愛されてるんだなって思えた。
先に逝っちゃうけど、どうか怒らないでほしい。
会いたい気持ちはあるけど、あと百年後くらいに来てほしいな。
病室で聞いたような楽しいお話を聞けることを楽しみにしています。
思っていたことが次々と自分から溢れ出てくる。
それでもきっと思いは届かない。
涙は……流れなかった。
「あ……」
色んなことを思っていると階段に終わりが見えた。
辺りは言い表せないような光景に包まれている。
ただひたすらに心地がいい。
光がより一層強くなり私は全身を包まれた。
次の瞬間、私は何も考えられなくなる。
生を終えた瞬間だった。
終わりの道 青斗 輝竜 @KiryuuAoto
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