第3話 古傷、病棟、時々鏡の国
_____ケーキ屋シャルドーネ、復興完了。
さて、次はどこを直そうか。と三人と二人は話し合っていた。
「確かさ、ネムっちがねっつんと出会ってたんスよね。」
「あーそうそう。それでアンタらアスタローシェと出会ったんだ。」
フェリとラムネ、嘗てのフエラムネは再び手を取り合うように話し合う。
「じゃあさ」
「次はアスタローシェのミナル大学病院、復興するッス?」
「いやそれがさ」
ラムネはそう口を挟み、空を見上げる。
「アスタローシェの本拠地、なんか空からニョキって生えているんだよね。」
そう聞いたサニーとフェリは、空を見上げた。
そこにあるのは、確かに空から真っ逆さまに浮いている。といった方が正直合っている表現のミナル大学病院だ。
_____
「あ〜あ、ミナル大学病院にあのアーティノイズいたからバレないと思ったのに。」
「……まぁ……いずれはバレると……おもったけど……」
_____
しかし、サニーとセンヘルは何か違和感を感じていた。
「あの、空にあるミナル大学病院なんですが……」
「点対称図形みたいに綺麗に逆さまになっているのではなく、ただツールで上下反転だけさせたみたいな……」
「サニー、あんた絵師?表現うますぎて笑っちゃった。」
「確かに、サニーの言う通りあの大学病院ひっくり返したら左右逆になるよね。」
『それは私から説明するよ。』
空からCrysis Xの声がする。
『今はあの大学病院には関わらない方がいいさ』
『あそこにいるのは、鏡の国の偽モンたちだから。』
「……師匠、つまりソレって」
『さすが我が弟子、察しが早いね』
『つまるところドッペルゲンガーの巣窟って訳さ。』
「なるほどっス……。」
「では、本物のミナル大学病院は別途にある、と?」
『そういう事になるね。』
『ハイこれ今回の復興の欠片、無駄にしたら世界直んないからね』
『それじゃあ、また。』
_____
Crysis xの説明を聞いて納得するも、何故廃れきったこの世界にドッペルゲンガーがいるのか、四人にはまだ分からなかった。
「とりあえず、さ」
「ミナル大学病院あった所まで、行こうか。」
_____
ミナル大学病院
アスタローシェの本拠地で、一言に言えば倫理の欠けた病院。
院長はアスタローシェ副リーダーのフェリ。アスタローシェ部下は三階の病棟に寝泊まりしていた。
_____
スタ……スタ……
廃れた街を四人が歩き続ける。
目指すは町外れ。病院があったところだ。
「まぁ……あたしはあんたらに解剖されかけてあの病院トラウマなんだけど、さ。」
「今はこうして和解できて良かった、と思うの。」
「それがどんな形であれ。」
センヘルは小さな声でそうボソッ、と語った。
照れくさいのでサニーとフェリには聞こえないように。
_____
町外れ、到着。
ラムネはCrysis Xから貰った復興の欠片を白黒になったミナル大学病院に刺す。
『パァァァァ……』
ミナル大学病院、復興完了。
_____
「廃れた世界。星の灯らない宇宙。枯れた花。」
「そんな世界で生き残りがいるなんて知ったら、ヒアデスの長女たちはどう思うのカナ?」
「なーんて、ネ。」
_____……今、どこからが声がしなかったかい?
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