045

 自分の適性探しを続ける日々。

 精神的にすり減ってくるのを自分でも感じていた。

 AR値のときみたいにわからないことは後回し☆

 ・・・ってできりゃ良いんだけども。


 現状、具現化授業代わりの白魔法以外に訓練するものがない。

 せいぜい筋トレや走り込みだ。中学の頃と変わらねぇ。

 手持ち無沙汰になってしまう。

 時間を無駄にしたくない一心での部活巡りは空回りばかりしていた。



「武様。少しお顔が優れないご様子ですわ」


「ああ・・・そう見える? 先が見えねぇせいか、ちょっとな」



 夕食前、廊下でばったり会ったソフィア嬢に心配されてしまう。

 眉根を寄せて心配そうに覗き込んできている姿を見るに、本当に調子悪そうに見えるのだろう。



「ん~、これじゃ他のヤツにも心配かけるかな。部屋で寝てから出直すよ」



 鏡を見てくれば良かったと後悔してしまう。

 そんな俺を見かねたのかソフィア嬢が提案する。



「煮詰まっていらっしゃいますのね。そういう時は気分転換をされるとよろしいかと」


「気分転換ねぇ」



 前に香に言われたな。逃げ場ってやつか。

 俺がこの学園でできる気分転換ってなんだろな。

 凛花先輩の隣のベンチで昼寝、くらいしか思いつかねぇよ。

 今はあそこも休める場所じゃねぇしな。



「武様、ちょうど良い機会ですわ。お約束のお茶をいたしませんか?」


「約束? ああ、舞闘会の調査で引き換えのアレか」



 思考を巡らせぼうっとしていたところで振られたので、一瞬、何の約束かわからなかった。

 彼女の顔を見ればふっと穏やかな顔をしている。

 いつも強気な黄金色の瞳が優しげな色を湛えていた。

 俺はその表情に何だか許されたような気持ちになる。



「うん、それじゃそうしようか。いつにする?」


「すぐの方がよろしいでしょう。今夜はいかがですか?」


「あ~そうだよな、気分転換だし」


「ふふ、先ずはお休みになってくださいまし。夕食はわたくしが軽食をご用意いたしますから。今夜21時ごろに食堂でお待ちしておりますわ」


「ああ、わかった。色々とありがとうな」


「それでは。御免あそばせ」



 そうして彼女は華麗に身を翻すと食堂へ向かっていった。

 ・・・うん、大人しく部屋でひと寝入りするかな。

 ドロドロした気分も少しはマシになるだろ。



 ◇



 そうして仮眠をした後、訪れた夜の食堂。

 あまりこの時間に来る人はいないので広い食堂はがらんとしている。

 さてソフィア嬢はどこだ。

 入り口から遠い、いちばん端のあたりにその姿が見えた。

 あの金髪縦ロールは目立つ。この距離でも綺羅びやかなオーラさえ見えてしまうくらいだ。



「すまん、待たせた」


「いえ。こうしてお茶を愉しんでおりましたから」



 優雅にティーカップを置きふわりと微笑むソフィア嬢。

 ああ、うん。華麗だよ。

 ほんと逐一、絵になる所作だよな。

 ぼうっとその動きだけを見ていたい気分になってしまう。



「あら、どうしました? わたくしに見惚れてしまいましたか?」


「ん、ああ。華麗だなって」


「ふふ、貴族の嗜みでしてよ」



 目を閉じて口角を上げている。

 勢いでちょっと見惚れたなんて言ってしまうくらいに目を奪われていた。

 そしてやっぱり俺はラリクエの主人公たちが好きなんだなぁ、と改めて自覚した。

 こういう気持ちを抱く余裕もなくなってきているのが今は問題なのかもしれない。



「これもありがとな」


「頼んでおくだけですから。お気になさらず召し上がってください」



 席についた俺の前にはサンドウィッチと紅茶。

 ハムサンドとたまごサンド、カツサンドまである。

 そういえば彼女の好きなものってサンドウィッチだったな。

 よく食事でも見かける。

 寝起きの今はこのくらいのものが食べやすい。


 まずは腹ごしらえ。遠慮なくいただきますと食べ始めた。

 うん美味い。お腹がすいているぶんだけ味も増している気がする。

 彼女が笑みを浮かべてこちらをじっと見ているのが少しくすぐったいが。



「武様。たまには先のことを忘れて昔話をするのも一興ですのよ」


「ん? 昔話?」


「ええ。お互いを知るには今のことだけでなく、今の礎となる昔を知ることも大切ですわ」



 ふむ。

 確かにソフィア嬢とは語り合うような機会はなかった。

 ゲームで知っているとはいえ攻略ルートを書き出した以上の情報を俺は知らない。

 キャラとしてだけじゃなく、人として交流するなら知っておいても良いと思う。



「そのまま召し上がっておいでくださいまし。わたくしからお話いたしますから」


「うん」


「では。先ずはクロフォードを知っていただくために・・・」



 話をしてくれるというのなら任せよう。

 俺はゆっくりサンドウィッチを口に運びながら彼女の言葉に耳を傾けた。



 ◇



 第三次世界大戦の終結後。

 戦勝国となったドイツは大きな政治改革を迫られた。

 第二次世界大戦の反省から健全な民主主義を信奉していた人々が民主主義を否定したのだ。

 なぜなら強権的な政治体制が大戦下で国を勝利へ導いたからだ。

 その事実は民衆が強力な指導者を欲しているという証だった。

 もちろん一党独裁の苦い記憶は生かされたうえで。


 憲法は改正され、人々は勝利へと導いた指導部のアンハルト一族をその中心に据えた。

 再生されたのはハプスブルク家の血筋を継ぐアンハルト=ハプスブルク家。

 いわゆるアンハルト王朝の誕生であった。

 立憲君主制とはいえその権力は絶大でアンハルト一族は次々と政治改革を進めた。

 そうしてアンハルト王朝のもとドイツ王国は戦後大いに発展した。

 自然多発的に、かつての貴族制度下にあった血筋や身分も復活していった。

 クロフォード家もそのひとつだという。


 だが中央集権で得た平和と発展は長くは続かなかった。

 2158年、魔物の襲来。

 いわゆる大惨事が起こる。

 その大混乱の中で血筋が断絶し、幾つもの家が没落していった。

 さらに世界戦線の確立に伴いAR値の高い者達は次々と戦地へと赴き、そして散っていった。

 クロフォード家はその中で突出して優れた人材を何度も輩出した。

 このためアンハルト王朝内で発言権を増し、やがて公爵に叙勲される。

 そうして生まれたのがクロフォード公爵家という。



 ◇



「なるほどね。由緒あるクロフォード家が実力をもって公爵家となったわけだ」


「ええ。わたくしのひいお祖父様の代から世界戦線で活躍しておりますゆえ」


「ソフィアもそのクロフォード家の長女として期待されている、と?」


「はい。ですが最初にわたくしを認めていただいたのは一族の者ではなく、カール様ですわ」


「カール様?」


「ええ、カール=アンハルト=ハプスブルク様。王位継承権第一位。次期王位ハインリヒ六世となる予定のお方ですわ」


「え!?」



 事もなげに説明するソフィア嬢。

 いや、貴女。もしかしてと思ってたけどお姫様候補じゃん!



「クロフォード公爵家はその能力者を輩出することから王家と懇意にしておりますの。ですからわたくしも幼少期からカール様と勉学を共に学んでまいりました」



 はー。

 お嬢様設定は知っていたけれど、ここまで本気のお嬢様だと思わなかった。

 つーか文句なしのお姫様候補だし。王子様と最も懇意なんでしょ?



「そのカール王子様とは婚約してねぇのか?」


「あら? わたくしはクロフォードの者ですわ。この持てる能力を生かすべく模索しておりますのよ」


「生かすべく・・・?」


「高いAR値、魔力適合を持つ者の責務。ノブレス・オブリージュですわ」



 ノブレス・オブリージュ。貴族の、持てる者の責務。

 確かに彼女は貴族だけれど、その身分だけではなく能力までもがその責務に含まれると考えている。

 ・・・いやいやいや。それ、個人に依存する問題だろ?

 持てる者ってそういう意味じゃないと思うんだが。



「ん? それが婚約しねぇ理由になんのか?」


「ええ。持てる者はより人類に貢献すべく、より能力を生かす方法を模索します」


「・・・もしかしてレゾナンス効果を最も得られるような1番をってこと? 相手も能力者である必要があるって?」


「ほほほ、ご明察」



 ばっと扇子を広げ目を細めながら彼女は話を続けた。



 ◇



 アンハルト王家とクロフォード公爵家は血筋を紡ぎ、より強い後継者を残すことを考えている。

 だがそこにノブレス・オブリージュが立ちはだかる。

 つまるところ、クロフォードの高いAR値を生かすために相手にも相応の能力が必要になる。

 たとえ王家が相手であっても能力がなければ「1番」としての婚約ができない。

 王家側にその能力が見いだせないときは、「1番」の相手を別に迎えた後に王家の人間と婚姻するという。



 ◇



 は? ・・・それなんてラリクエ倫理?

 王家とは「1番」でなくとも血筋が残せればそれで良いって?

 ちょっと! 理屈ではわかんだけどさ!!

 いくら側室ありって言ってもね!?



「要するに今は1番を探してるってことか。それだけの理由なら進学先はキャメロットでも良かったろうに」



 北欧のキャメロット。東亜の高天原学園と同等の新人類フューリーのための訓練学校。

 欧州の人ならそちらへ進学する方が自然だろう。

 って、ラリクエ主人公が高天原に存在する理由を否定するようなこと聞いてんな、俺。



「ふふ。確かに白人至上主義の方は未だにいらっしゃいますから、わたくしがキャメロットに進学すべしといった声もございました」


「ならどうして・・・」


「武様。前にお話させていただいたときにさくら様をライバルとして意識しているとお話しました」


「ああ、うん。言ってたな」


「わたくしは彼女を1番にすべく、こちらを選んだのですわ」


「・・・は?」



 さくらを? 1番に? 女同士?

 あ、そっか。1番は異性である必要がない。

 血を残せば良いのは王子様とだけなのだから。

 それにさくらは実力もあり、あの白銀の容姿は西欧人にも受けが良さそうだ。

 だけどわざわざそれを目的にして高天原まで進学するものなのか?

 ソフィア嬢を主人公にしたときにそんな話はなかった。

 ・・・そりゃそうか、攻略対象が変わったら矛盾するし。



「そりゃまた随分と遠出したな。世界中の見込みのある人から選んだってことか?」


「ふふ、そこは秘密ですわ。ですがこちらに通ってみると想定外が多く。今はこのような状況になっておりますの」



 そうして頬杖をついて俺の顔を覗き込むソフィア嬢。

 少し砕けたその格好も妖艶な笑みも麗しい彼女にかかれば高貴な雰囲気になる。

 ・・・その容姿で見つめられるとドキドキなんですが。

 露骨に狙ってますって雰囲気出さないで。堕ちちゃう。


 ごほん。と、ともかく。

 そう繋がるわけね。



「あ〜・・・。そのさ、何度も話してるんだが俺は凡俗だぞ。言葉遣いなんてコレだし、庶民だし。お前らに勘違いされて良さげに見えてるだけだって」


「・・・」



 ぐしゃぐしゃと頭をかきながら俺は続ける。



「今日だって自分の出来ることが少なくて落ち込んでただけだからな。ソフィアみたいに高尚な理由で在学してるわけでもねぇ」



 何度も説明している、俺のモブ一般人主張。

 それこそ最高のパートナーを探しに極東まで来た彼女が相手にすべき人間ではないと思う。

 だが彼女は表情を変えずに俺を見るばかりだ。



「やっぱりレオンかさくらだろ。あのふたりを狙うなら協力してやんぞ?」


「ふふ。武様、やはり貴方はご自身の可能性に気付いてらっしゃらない」


「あん? 可能性?」



 大きく肯首するとソフィア嬢は紅茶を口にする。

 思わせぶりなだけだろ、とその所作を見ていると、今度は目を閉じたまま穏やかな笑みを浮かべた。



「そう、可能性ですわ。持てる者は責務がありますが、持たざる者はしがらみもなく選び取る自由があるのですから」


「・・・」



 なんだそれ。

 できることが定まっていない俺だから自由にできるって?



「それ、何もできないってのを言い換えただけじゃねぇの?」


「何もできない方が、高天原学園に主席で在籍し、舞闘会で勝利を収められるとお考えですか?」


「え? あ、いや・・・」


「はぁ。武様、貴方はどうも自己評価が低いようですわ」



 また扇子で顔を隠しながら彼女は流し目を送る。

 う~ん。そんな責めるように言われても。

 2世紀前の日本人なんだからこんぐらいが当たり前なんだって。

 それに現実問題、戦闘技能って意味では至近距離固定砲台だしなぁ。



「貴方という人間性に勝る興味を、現在わたくしは持ち合わせておりません」


「・・・そこまで言われるとくすぐったいんだが」



 祝福ブレスで自己肯定が大事なのはわかっていてもなかなか考え方は変えられない。

 だけどこんだけ否定しても肯定してくれる。

 なんだか昔、さくらに肯定してもらった時のような感じ。

 そりゃ嬉しいよ、鼓動が強くなったくらいに。

 ちょっと頬が熱くなっている気がする。



「武様。もしよろしければ、貴方のお話もお聞かせくださいませ」


「俺の話?」


「ええ。以前、桜坂中学校での1番の方のお話は伺いました。わたくしはもう少し、貴方のお話をお聞きしたく思います」


「俺の話、か・・・」


「その。中学時代をどのように過ごされていたのかだけでも、お話いただけると嬉しいのですわ」



 穏やかな笑みとともにお願いされる。

 これ、純粋に俺への興味があるということだろうな。

 う~ん・・・さくらとレオンは俺のAR値の事情を知っているから色々話したけれど。

 他の主人公にはそこまで説明したくねぇんだよ。

 下手すると既に崩壊しかけているシナリオにトドメを刺しかねない。

 話せるとしたら勉強の話と、さくらや御子柴くん、花栗さんとの4人組の話くらいだな。



「そうだなぁ。あんまし面白くねえぞ? だって俺、勉強ばっかりしてたからな」


「ふふ。世界語を含め勉学に励むのは、この学園への登竜門ですから」


「ああ。俺、中学に入学するまで世界語を話したこともなかったし、もっと体力も無かったんだよ」


「さくら様とはいつ出会われたのですか?」


「彼女とは寮に入ったときから、だな。最初は食堂で相席したときだ」



 そうして。

 俺は桜坂中学の思い出話をつらつらと話した。

 桜坂中学の3年間。

 まだ卒業して2か月だというのに、ずいぶんと昔の話に思える。

 自分の口から語る話がそう聞こえてしまうのは、それだけ新しいことがあったからだろう。



 ◇



 興が乗ったせいか、かなり勢いで話してしまった。

 ソフィア嬢はたまに相槌を打つ程度で、微笑みながら口を挟まず聞いていた。


 御子柴君の猪突具合だとか、花栗さんのイメチェンだとか。

 林間学校でさくらを含めダメダメだったカレー作りの話。

 香主導のアバターカラオケで打ち解けた話。


 桜坂中学の3年間、俺は勉強だけで過ごしたつもりだった。

 だけれどもこれだけのことをして過ごしてきていたのだと、自分でも驚いた。



「あ、長話してすまん。もうこんな時間じゃないか」



 一方的に話しすぎたと、時計の針が重なったのを見て反省する。

 夢中になると見えなくなる。俺の悪いとこだ。

 こういう根本的な性格は転移しても変わらない。



「武様、お話いただきありがとうございます」


「うん」



 遅くなっていたので切り上げようとしたところ。

 穏やかな顔つきでソフィア嬢が呼びかけてきた。



「貴方はそれだけのものを作り上げていらしたのですね」


「ん、そだな」



 何もない。そう、何もなかった。

 この転移直後に俺は何も持っていなかった。

 あったのは勉強する環境とこの世界ラリクエ攻略面の知識だけ。

 それがあったからといって楽ができたわけじゃない。


 だから俺はあがいた。

 その結果、今がある。

 語ってみて、言われてみて、ようやく少し実感できた。

 彼女は「出来ることが少ない」と言う俺に、俺の持てるものを示したのだ。

 それに気付いたとき心の中がじんわりと暖かくなった気がした。



「お話いただいたものは、確かに貴方の血肉となり、力になっていらっしゃいますわ」


「・・・そうかもな」



 うん。

 こういうことをしてくれると、香のような聡さをソフィア嬢に感じる。

 ゲームじゃ見られない人間性だよな。

 単なる推しではなく、人として好感を抱くに足る。


 あ~、ソフィア嬢、素敵!

 ほんとになぁ。好きになっていいなら流されたい。

 ってそれ、香がいる今は浮気じゃねぇかよ! 俺!



「そう、自らが作り上げたものを否定せず、肯定して愛してあげてくださいませ」


「愛する、ね・・・!?」



 ぐっ!?

 にこりと破顔したのそ笑顔!

 きっと社交界では見せないような、本当に嬉しそうな顔!

 さっきの外行きの笑顔とは違う表情。

 いきなりだよ!

 なんか琴線に触れた!?


 どきりとしてまた鼓動が強くなるのを感じてしまう。

 どうしてそんな無邪気そうな笑顔を俺に向けんの!?



「そうして貴方が愛するものが、わたくしも同じように愛しいのですわ」


「・・・!?」



 嬉しいセリフだよ!!

 嬉しいし心に響くんだけど・・・それ、ソフィア嬢でリアム君を攻略するときに言うセリフ!!

 なんかもう、嬉しさと恥ずかしさと焦りと、ないまぜになってしまった。

 顔が火照っているのは自覚済み。

 また頬杖をつき目を細め俺を見つめるソフィア嬢。

 そんな彼女を直視できず、俺は慌てて立ち上がった。



「はは、ありがとな。遅いからもう行くぜ。よく眠れそうだよ」


「ふふ、お休みなさいませ」



 彼女は誤魔化せてない俺を愛おしそうな顔つきで見送る。

 ・・・ああ・・・ドキドキが・・・。

 やばいよこれ・・・。





 ソフィア嬢が提案したとおり互いの昔話をしただけ。

 それでも互いに言葉を重ね、時間を重ねるだけで生まれるものがある。

 そうしたものたちが無力感に焦っていた俺を不思議と宥めてくれたのは間違いない。

 だから「何も出来ない」という不安感は寝るときには払拭されていた。


 されていたんだけど、こんどは意図せぬ攻略が進んでいることに焦りを覚えた。

 俺、どうして彼女に攻略されてんのさ。

 ソフィア嬢に大したことしてないと思うんだけどなぁ。

 やっぱシナリオ崩壊してんじゃねぇの?

 もしそうならセリフが勝手に出てるだけで気持ちは連動してないと思いたい。

 早く他の主人公に目を向けさせねぇと・・・。



 ◇



 このごろは身体の訓練ができていないせいで体力が有り余っているのか寝付きが悪い日が多かった。

 けれどもこの日の寝付きはとても良かった。

 翌朝、寝起きにこっそり「ありがとな」とひとり呟いたくらいには。




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