タンポポ


―――


君の周りは輝いていて

ただ見ているだけの俺には、伸ばした手さえ届かない


美しい花弁と匂いに誘われて

触れる事が出来る蜂にさえも、嫉妬の念を抱いてしまう


この世にはこれしかない事を

知ってしまった


美しいものと、そうでないもの


どんなに綺麗に磨いても

君には絶対に敵わない


どんなに声高く叫ぼうと

君は絶対に振り向かない


いつかただの雑草が、大輪の花を咲かせたなら

君の笑顔が見れますか?

この溢れるくらいの想いに応えてくれますか?


思っているより二人の距離が近い事

俺はいつか気付くのだろうか



踏まれて蹴られて、道端で倒れているタンポポは

ひまわりにはなれないけれど

君を守る盾にはなれる

隣でなくてもいい、唯一君の前を歩く事ができるのなら


君がぴったりと、俺に寄り添ってくれている事

俺はいつ、気付くのだろうか……



.

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