第6話 明けない夜

この日もダミアは泣いていた。

「大丈夫だよ、ダミア。明けない夜はないから」

優しく包み込むようにシェリーが歌う。しかし、ダミアの涙は止まらなかった。

「ダミア、無理をしないでね。全部、全部受け止めるから」

そう言ったシェリーに対し、ダミアは呟く。

「…一人に……しないで」

その日ダミアが泣き止むまでシェリーはずっとダミアの隣にいた。

「おやすみ、ダミア。今日は寝れるといいね」そう言いながらシェリーは後ろ手で扉を閉めた。


そのまま扉に背を預け、座り込む。

「ごめんね、ごめんねダミア」

私では、貴方のことを救えない。そう言って啜り泣く。私が暗闇から連れ出せたらよかったのに。私は、私は貴方をこんな檻に閉じ込めている。

「あぁ、ダミア。どうか、どうか許して。

「ダミア、私は……貴方が好きよ」


ダミアはシェリーが出ていった扉を徐に眺めていた。一人になったせいでいつもより辺りが黒く、沈んで見えた。

「ごめん、シェリー」

僕が、僕がずっとこんなだから、君はここに来てくれる。僕が、君をこんな檻に閉じ込めている。

君の声しか、救いがないから、僕は月の代わりに、君を歌わせてる。いつまでも、いつまでも僕は壊れたことに気づかないから、君をこうして苦しめてた。ねぇ、シェリー。明日も守ってくれるんだろう?僕の足を引きずり込む暗闇から。君は真昼のような澄んだ声で希望を歌ってくれるんだろう?でも、もうダメなんだ。ごめん、ごめんねシェリー。僕はもう、耐えられない。

「明けない夜は…ここにあったよ…」

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ダミアと歌姫 アイズ @aizsanmaosi

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